027 房州アルプス [Feb 1, 2014]


この図表はカシミール3Dにより作成しています。(× 通行止、? 難)

2月は引き続き房総の山である。あまり疲れない山なら奥さんも一緒に行くと言うので、いろいろ調べて房州アルブスを選んでみた。名前はすごいが、房総のハイキングコースとしてはたいへんポピュラーなところである。

鋸南保田インターを出て長狭街道を東へ。横根峠の先を県道に入って鹿原(しっぱら)林道入口を目指すのだが、見つからない。ずいぶん先まで行ってしまってからおかしいと思って地図を見ると、通り過ぎていた。林道は県道と鋭角的に交差しているため、北からは分かりやすいが南からだと見えないのである。林道入口の反対側に、駐車スペースがある。

身支度をして山歩きのスタートである。やや時間を食ってしまったけれどまだ8時半前、お昼過ぎには下りてこられるはずである。

林道は舗装されているが、小型車しか入れないようにガードレールが狭くしてあるので、途中で1台オートバイとすれ違った他は車は通っていない。結構な登り坂で、標高差で200mくらいある。いきなり大汗をかいてダウンジャケットを脱ぐ。奥さんには、「何でそんなに汗をかくわけ?」と言われてしまった。これは体調がいい証拠で、全く問題ないのである。

風もなく暖かな日である。景色が開けると、房総のおだやかな山々を望むことができた。北に見えるのは林道の終点・鹿原集落で、20軒ほどの家々が見える。そこだけ見るとのどかな田舎の風景なのだが、山の向こう側は東京湾で、はるかに川崎あたりの工業地帯が見える。都会は目と鼻の先なのである。なんともアンバランスな印象の風景であった。

林道の登りで1軒だけ、突然という感じで比較的新しい家が現れた。他に人家は見当たらない。駐車場のコンクリートも新しいし、機械や備品も古いものではない。なのに入口にはロープが引かれ、しばらく人が通っていない気配。別荘かもしれないが、房総に別荘を建てて冬に来なければ、他に来る季節はない。

奥さんは、田舎がいいと思って家を建てたのだけれど、不便なので結局住まなくなってしまったという意見である。そうかもしれない。電気も電話も線が引いてあるし、灯油タンクやプロパンガスもある。こんな山の上にせっかくインフラを整えたのに、誰も住まないとはもったいないことである。

林道入口から40分ほど歩くと、房州アルプス登山道入口の案内板が立っている。作ったのは「まつど遠足クラブ一年さくら組」で、WEB情報では少なくとも7、8年前にはこの場所にあったようだ。字を見ると小学校1年のようなのだが、奥さんは老人クラブの1年生だと主張する。確かに、小学校1年が歩くには厳しいコースかもしれない。

房州アルプスという名前を誰が付けたのかは定かではないが、正確にはここは房州(安房)ではなくて総州(上総)である。標高200~300mの低山ではあるが山々が連なっているところから名付けられたと思われる。主峰は志駒愛宕山(225m)と無実山(267m)になるが、1/25000図には標高のみで山名は記載されていない。

しばらくは砂利道が続き遊歩道のようだ。しかし途中から、落石や倒木がやや目立つようになる。15分ほど歩いて志駒愛宕山の分岐まで来ると、WEBに出ていたのとは違った光景が広がっていた。神社に上がる鉄パイプの足場に登れないようになっていて、そこには「老朽化して危険なため撤去しました」と書いてあるのだ。


鹿原林道を登ると、のどかな山村の風景を望むことができます。山の向こうは東京湾で、川崎から羽田にかけての建物も見えるところが房総らしいところ。


志駒愛宕山への階段は、老朽化により使用できません。神社への参道も、トラロープで通行止になっていました。

志駒愛宕山の分岐点。建築現場でよく見かける鉄パイプでできた足場の階段は、下の部分が撤去されて登ることができない。足場のところには「右側50mのところから登ることができます」と書いてあるが、右側に行こうとするとトラロープが張ってあり「通行止」と掲示されている。どこが危険か不明であるが、ハイキング客は立入禁止という意味のようだ。

房州アルプスの主峰の一つである志駒愛宕山は仕方なくスルーして、先に進む。ここまでは遊歩道くらいの道幅であったが、ここからは道幅が狭くなり砂利も敷いていない。このコースは標高200m位でなだらかな稜線歩きとなるので、とても気持ちがいい。左右にはまだ秋のすすきが残っているが、日当たりがいいため緑の新芽も見える。

小ピークをいくつか越えると、左側(東)が切り立った眺めのいい場所に出る。ここを「地獄のぞき」というらしい。名前はすごいけれど、遠くまで見通しがきいて気持ちのいい場所である。正面に見えるのは、昨年末に歩いた高宕山あたりだろうか。ただ奥さんに言わせると、石が滑りそうでこわいということで、確かに足もとが心細いのでさらに進む。

無実山が近づくと、ちょっと傾斜がきつくなる。それでも大して登らないうちに頂上だ。登山道入口から約1時間。かわいい山名表示の立札があり、WEBで見たのとは違って周辺の下草を刈って手入れをしてある。何組も一緒にはいられないが、幸い他に登ってくるグループもなかったので、ここで軽く休憩をとった。

さて下りである。頂上から急な斜面を突っ切って登山道にショートカット。そこからこれまでにない急勾配の坂道が始まる。もっとも、これまでの登りに比べれば急ということで、他の山なら普通にある傾斜である(遠くから見ると、無実山の南斜面は急で北斜面はなだらかで、ちょうど直角形の三角定規に似ている)。

急勾配を下りきると今度はやせ尾根、続いて斜めっているトラバース道である。ここは本来平らであったと思われるが、長年にわたり山側の土砂が流れてきたために、道自体が左に傾いている。まっすぐ立つことが難しく、足を滑らせると登山道から転落してしまうが、落ちても2~3m下だからちょっとは安心である。1ヵ所だけ、手がかり用のロープが張ってあった。

この斜めったトラバースが断続的に続いた後、道は大きく右に折れていく。右ということは西だ。目的地は、南ないし東だから逆方向である。道を外れてちょっと進んでみると千葉県の境界柱があり、そこから先、左(東)に道が続いている。ここがおそらく1/25000図に載っている県道に向かう登山道のはずである。

しかし進んでみると、いきなり倒木に行く手を阻まれる。これを乗り越えると、今度は道の真ん中に木が生えている。道らしきものは続いているものの、左右の木々から枝が伸びていて、かき分けて行かないと進めない。一人であれば冒険してもいいけれど、奥さん連れでは無理なので戻ることにした。


志駒愛宕山の分岐(跡)を過ぎると、山らしい道になります。


無実山の山頂。三角点があります。周辺は草刈りなどの手入れがされていて、1組くらいならお昼休憩できそうです。

旧登山道と思われた通行困難な道は、帰ってからGPS記録を調べてみると思った通り1/25000図の点線と一致したので、かつてはちゃんとした道だっただろう。このあたりの山は1時間くらいで登れる山がほとんどだから、昔は子供たちの遊び場だったのかもしれない。ちなみに駐車場近くにあった小学校は、かなり大きいのに廃校となっていた。

分岐点に戻って西に向かう。一見、目的地とは逆方向だ。こちらは道の真ん中から木が生えているようなことはないが、引き続き、斜めっている道でバランスを取るのが難しい。太い枝が折れて道をふさいでいるので、どけながら進む。5分ほど進むと、深くえぐれた道に出た。道なのか水の流れた後なのか分からないなあと思いながら進むと、木の間から水仙の畑が見える。

登山道から一段高くなっている道の脇に上がってみると、そこは斜面に作ってある畑で、周囲には夏みかんの木が、中央には水仙が栽培してあった。畑はかなりの勾配で下に広がっており、7、80m先の平らになったところに人家があった。林の奥深く歩いているように思っていたのだが、意外と人里に近かったようである。

畑の中を突っ切るのは気が引けたので、えぐれた登山道に戻る。20mも行かないうちに並行して通っている舗装道路が見えた。まだ傾斜が急なので、転ばないように気をつけてそこまで下りる。このあたりは内台という集落である。先ほど見えた畑の下の家を過ぎて、あとは舗装道路を歩けば駐車場に戻れるはずである。

これも帰ってから調べたことなのだが、実はこの日下りてきた道は正しいルートではなかったらしい。本当はもう少し東に下りるのが正しく、そうすると下山口には登山口と同様に「まつどハイキングクラブ」の立札があったらしい。えぐれた道はやはり水の流れたところだったのかもしれないが、深い林の中でなかったので大きなトラブルにはならず助かった。

ここから県道まで20分ほどかかるが、その間に人家は3、4軒しかない。左手には、今しがた歩いてきた無実山がひときわ高くなっているのが見える。穏やかな冬の陽の中でゆっくりと下り坂を下りて行くと、突然という感じで車通りのある県道に出る。

ここから、工事中の急斜面を抜け、集落の間をショートカットし、廃校前を通ると、スタート地点の鹿原林道入口に戻る。休憩を入れて約4時間と、前回の津森山・人骨山とほぼ同じ。ちょっと残念だったのは、スタートからゴールまで、ゆっくり腰を下ろして休めるスペースがなかったことである。あるいは、立入禁止の志駒愛宕神社にあったのかもしれない。

来た時は他に車はなかったのに、帰ってきたら他に3台止まっていた。さすがに、ポピュラーなコースである。


無実山を過ぎると、やせ尾根、急坂、ななめった登山道など、けっこうハードな道になります。


下山路の内台集落付近。写真上方向の森から、水仙/みかん畑の脇を通って出てきました。

この日の経過
鹿原林道口駐車場 8:20
9:10 登山口 9:12
9:25 志駒愛宕山下 9:30
9:40 地獄のぞき 9:45
10:10 無実山 10:20
10:40 旧登山道分岐 10:50
11:00 内台 11:00
11:25 県道(日吉神社) 11:35
12:30 鹿原林道口
(GPS測定距離 10.2km)