002 丹沢大山[May 20, 2012]

養老渓谷で大バテした後、家の近所を4~5時間歩いて調整し、5月20日はいよいよ久しぶりの山である。選んだのは丹沢大山。普通に行けば頂上まで1時間ちょっとの行程のはずで、自分としては安全策をとったつもりなのだけれど、やっぱり話はそう簡単ではなかった。

何しろ、十数年ぶりなのである。30代の頃は車でヤビツ峠まで行ったのだが、50代のいまでは上り下りした後に高速で帰るのはとても無理。大事をとってアプローチは公共交通機関にすることに決めている。この日も4時起きして、5時台の電車で都心へ。新宿を経由して小田急で伊勢原まで。

大山ケーブルに向かうバスの中で、隣のグループがヒルについて話している。ここ十年ほど、大山周辺にはヒルがはびこっていて、そのうちに里まで下りて来そうな勢いなのだそうだ。だから、ヒルの苦手な塩水を登山着に浸み込ませないと、気が付かないうちに服の中に入ってくるらしい。これを聞いてちょっとあせる。丹沢にクマが出たというのでクマ避け鈴は用意してきたが、ヒル対策はしていない。なるべくヤブに近づかない他なさそうだ。

ケーブルカーで下社まで行く。ヤビツ峠からだと大山は塔の岳の向かいにある山塊という印象だが、南から入るとなるほど信仰の山だということがよく分る。目の前に、深い山々が迫っているのである。ケーブル駅に向かう門前町は「コマ参道」と呼ばれる旅館+商店街。通り沿いには、江戸時代から戦前の大山講や寄進の記録が残されている。よく見ると家の近所のものもあった。

午前9時20分に歩き始める。下社からの上りは石段がきつい記憶があったので、日向薬師方面からの尾根道に抜けることにする。どこかに、小学生でも大丈夫と書いてあったからである。ケーブル駅が海抜600mほど、大山山頂は1252m。約600mほどの上りになる。コースタイムは2時間弱。まあ、何とかなりそうだ。

大山なので一人になる事はないだろうと思っていたら、予想に反してこちらの道は私だけである。さっそくクマ避け鈴の登場である。見晴台まではきつい傾斜もなく30分で到着。ここで小休止の後、大山頂上への尾根道に入る。鎖場もあったり結構きつい上りが出てきたが、大きなトラブルもなく1時間ほど上る。

ただ、海抜1000mを超えるあたりから、やけに呼吸がつらい。急登のたびに息がきれて小休止になる。視野が狭く気が遠くなるような気がする。そろそろ頂上だろうと思っていたら、道標が出てきて残り0.6kmである。見晴台で残り2kmだったから、まだ1/3しか上っていない。すでにコースタイムは過ぎている。体調は最悪。引き返すべきかどうするか、動かない頭で必死に考えた。


コマ参道入口あたり。両側に山が迫り、信仰の山らしい雰囲気です。

まず急にバテた原因を考えた。相当に汗をかいているので脱水症状がありうるが、こまめに給水しているので考えにくい。最も怖いのは低血糖なので、とりあえずブドウ糖を出してコーヒーで流し込む。少し楽になる。それでも、5分ほど休んだのに立ったままの休憩しかとれないためか、呼吸が苦しいのがあまり改善しないのは気がかりである。

中高年の山登りだから、頂上にこだわらずに引き返すことも当然想定しなければならない。とはいえ、来た道を引き返すのは勇気がいる。山の距離は平地の4~5倍といっても、0.6kmなら30分で頂上である。頂上に行けばゆっくり休めるし、ビールも売っている。引き返しても休憩所まで1時間、しかもプラス30分歩かないと売店はない。

最も気になったのは水の残りがあまりないことで、やはりあと30分登ってみることにする。地図をみると、しばらく先からは鞍部のようだから、登りっぱなしということはなさそう。気を取り直して、再び登りに向かう。それでも、10歩で小休止のペースが続く。

5分ほど歩くと、右手上方に見覚えのある頂上の電波塔が見えた。目の子であと標高50mくらい。地図どおりに鞍部が出現して少し楽になる。最後の急坂を登り、鹿避けの金網トンネルを抜けると、ようやく大山頂上に到着。先ほど撤退を検討した地点からは20分、見晴台の休憩所からは1時間15分のコースタイムを、1時間50分かけて登ったことになる。

頂上ではビール休憩を20分ほど。用意していたお昼もとることができず、具合がこれ以上悪くならないうちにと早々に下る。ところが下りの急坂を思うように進むことができず、下りですらコースタイムを大幅に超えてようやく下社へ。最後の石組急階段は本当にバテた。ケーブルカーの行列に並んで立っているのすらしんどかったくらいである。

後から調べたら、中高年の場合1000mを超えたくらいでも高山病類似の体調異変があるそうだ。結局この日は、小田急の駅に着いてゼリー飲料をとるまでおかしかったので、年齢からくる高山病類似疾患ということにしておこう。考えてみれば、海抜1000mでも当然空気は薄くなるのだ。

結局今回の山登りも急激にバテてしまい、若い頃の体調に戻っていないことを再確認することになった。次の試合(山登り)まで、また練習(家の近所で歩く)しなければならないけれど、それにしても長年の不摂生から体を元に戻すのはかなり厳しいことだなあと思ったのでした。


大山登山道・見晴台休憩所。ここから小学生でも楽勝という1時間15分のコースを、2時間弱かかるとは・・・。

この日の経過
ケーブル下社 9:20
9:50 見晴台休憩所 10:05
11:50 大山山頂 12:15
13:55 下社

[May 23, 2012]