004 反射神経と持久力(ハットンvsチュー) [Jun 4, 2005]

IBFスーパーライト級タイトルマッチ(2005/6/4、米ラスベガス・MGMグランド)
リッキー・ハットン O TKO11R終了 X コンスタンチン・チュー

先週のボクシング、コンスタンチン・チューvsリッキー・ハットン戦をWOWOWでみてからずっと、持久力と反射神経について考えている。

この試合の背景をおさらいすると、チュー35歳・遠征・カウンターパンチャー・長期休養明け2戦目、ハットン26歳・地元・猪突猛進ファイター・長期ブランクなし、試合開始午前2時すぎ、観客はすべてハットン応援という状況である。

試合開始から展開はほぼ同じで、ハットン突進→腕が絡んで双方打てず→クリンチ→もみ合い→レフェリーが入ってブレイク→ハットン突進→・・・の繰り返し。7、8Rくらいからチューが消耗して急に失速、それほど打たれてはいないのだが11R終了後に試合放棄でハットンTKO勝ちという結果となった。「すごい試合でした」と高柳アナウンサーやゲストの長谷川穂積(WBC世界バンタム級チャンピオン)は言っていたが、正直あまりいい内容ではなかった。同日放送のライト級統一戦、コラレスvsカスティージョの試合の方が10倍くらい良かったと思う(あの頑丈なカスティージョが最後白目をむいて「落ちた」)。

チューは反射神経に優れ、また目のいい選手で、相手の動きのスキをみごとにとらえてカウンターを取る。その右ストレートは一発で決めてしまうパンチ力があるので、ザブ・ジュダーのような速い選手でもチューには敵わなかった。そのチューがただ前に突っ込んでくるだけのハットンに対応できなかったのは、年齢や遠征というだけでなく、午前2時という試合時間が大きく影響しているように思う。

もちろんプロであるから、試合時間に合わせて体調を整えているはずではあるが、ボクサーの場合試合直前まで減量というもう一つの戦いがあるので、昼夜をひっくり返したような生活はたぶんできなかっただろう。人間には体内時計があって、太陽の出ている時間には活動的になり、出ていない時間には休むようにできている。その休む時間に動かなければならない場合、主に影響を受けるのは反射神経なのではないか。素人が考えても、眠くなる時間に例えば射撃をやれば、的中率は下がるはずだからである。

一方、持久力については、全く影響を受けない訳ではないだろうが、その度合いはそれほどではないと思われる。オリンピックのマラソンが、早朝にやったり夕暮れにやったりするけれども基本的には強い奴が勝つように。だから、ハットンの若さと持久力がチューの反射神経を上回ることができたのではないかと思う。