002 ストライキ [Apr 9, 2005]

最近はほとんどなくなったが、昔はこの季節になるとストライキで電車が止まることが多かった。当時国鉄だったJRと、その他の私鉄とは大抵日にちをずらしてストを打つのだが、何かの具合で両方止まったりすることもあって、それがまた大変だった。

電車が止まったからといって会社が休む訳にはいかないので、そういう日には会社が宿泊場所を用意した。それが、女子職員はホテルなのだが、男は勤務先に畳と寝具を持ち込んでの泊り込みである。当時はまだ若くて、おっさんたちと泊まるのも嫌だったので、遅くまで女の子たちと飲んで(彼女たちも家に帰る必要がないので)、都心に寮のある人の部屋に泊まったりしたこともあった。そういえば、村上春樹の短編で、線路に挟まれた土地に家を借りてうるさくて仕方がなく、ストの日は天国だったなんてのもありますね。

国鉄にはストライキの他に、順(遵)法闘争というのもあって、これはまたやっかいだった。細かい理屈は覚えていないが、要は本当に諸法令や規定を守って運転するとダイヤ通りにはできないそうで、それをわざとやることにより経営者に嫌がらせをしよう、というものである。実際、始発からそれをやられると、ラッシュ時には相当な遅れになり、電車もホームもあふれ返ってますます安全確認に時間がかかってダイヤが乱れて、というようになる。全く止まってしまえば他にやりようもあるが、なまじ動いているだけに利用者も使わざるを得ず、たいそう迷惑したものだった。

ストは電車だけではなく、競馬の厩務員ストなんてものもあった。それで実際に開催がつぶれたこともある。トウショウボーイが勝った皐月賞(昭和51年)は府中で行われているのだが、これは中山開催がストでつぶれて、翌週の府中にずれ込んだことによるものである。当時は今ほど競馬人気はなかったのだが、それでも由緒あるクラシックレースの日程をストでずらすとは何事か、といった論調もあった。

でも、よく考えてみれば、毎年給料が上がっている時にさんざんストをやっておきながら、給料は上がらない、リストラで雇用も守れないという時にはほとんど何もしない、というんだから、組合だの何だのってのもほとんど信用ならない。昔から「労働貴族」なんて言葉もあるように、彼らは彼らで一種の特権階級なんだろうとは思うし、それが世間だということもこの頃ようやく分かってきたけれども。

[Apr 09, 2005]