018 マルガリトvsモズリー [Jan 24, 2008]

WBA世界ウェルター級タイトルマッチ展望(2008/1/24、ロサンゼルス ステイプルズセンター)
アントニオ・マルガリト(メキシコ、37勝27KO5敗) -450(1.2倍)
O シェーン・モズリー(アメリカ、45勝38KO5敗) +300(4.0倍)

何とか見に行きたかった試合であるが、行けなかった。そうしたら、なんとWOWOWでタイムリー・オン・エア中継される(もう一試合はリッキー・ハットン!)。すごくうれしい。個人的には、デラホーヤvsパッキャオの倍、楽しみである。

WBAは、前チャンピオンのミゲール・コットからタイトルを奪取したマルガリトをいきなりスーパーチャンピオンにして(マルガリトはすでにIBFを返上している)、ユーリ・クズネンコ(ウクライナ)を新たな正チャンピオンとした。こういうことをしているから、ビッグマネーファイトの世界タイトル離れが起こるのではなかろうか。

それはそれとして、ポール・ウィリアムスが階級を上げた現在、マルガリトがこの階級最強であることは確かである。そしてマルガリトに次ぐ実力者は誰かというと、アンドレ・ベルト(WBC王者)でもジョシュア・クロッティ(IBF王者)でもなく、シェーン・モズリーということも衆目の一致するところであろう。

最近のモズリーはスーパーウェルターでの試合が多く、ロナルド・ライトに僅差判定負け、フェルナンド・バルガスに2連続KO勝ち、そして昨年9月にはリカルド・マヨルガにKO勝ちという実績は、マルガリトを上回る。懸念されるのは37歳という年齢と、ウェルター級の試合でミゲール・コットに押されての判定負けを喫しているということである。

そしてマルガリト、そのコットをKOして獲得したタイトルの初防衛戦ということになるが、すでにこの階級ではWBO、IBFのタイトルをそれぞれ取っているので、実績面では申し分ない。こちらの問題は、名うてのスロースターターであることと、打ち合う相手には強いけれども、動く相手は必ずしも得意としていないということである。

試合はマルガリトが前に出て、モズリーが足を使ってかわし細かいパンチを当てていくという展開が想定される。ここでポイントとなるのは、マルガリトの前に出る圧力にモズリーが耐えられるかということである。モズリーに減量の影響がなければ、マヨルガやバルガスを寄せ付けなかったモズリーのスピードに分があるとみるが、デラホーヤもそうだったように、ある程度の年齢になると減量の影響は顕著に出るようだ。

そうなるとマルガリトということになってしまうが、試合に出てくる以上それなりの体調であると仮定すると、むしろこのオッズならモズリー逃げ切りを買ってみたい。いずれにしても、どちらかの一方的な試合にはならないはずである。

 

WBA世界ウェルター級タイトルマッチ(1/24、ロサンゼルス)
シェーン・モズリー O KO9R X アントニオ・マルガリト

モズリーに減量苦がなければスピードで上回るだろうとは思っていたが、ここまで一方的な試合になるとは予想しなかった。これで+300(JRA流にいうと、4.0倍)はうれしいオッズ。

こういう展開になった理由をマルガリト側からみると、やはり歴戦のダメージが蓄積しすぎていたのではないか。マルガリトはどんな相手とやっても、相手のパンチをまともに受けて下がらない。シントロンやコットの強打をまともに食らい、なおかつ前に出ていたけれども、さすがにこのスタイルで通すことは難しい。マルガリトも人間だったということである。

モズリーはバルガスやマヨルガ(ともにスーパーウェルター級の元チャンピオン)をKOしているくらいで、1クラス上のパンチ力がある。それでも、マルガリトが十分な試合間隔をとり、ダメージを抜き切って戦ったとしたら、あれほど失速することはなかったはずである。その意味で、マルガリトの適正な試合数は二年に3試合くらいで、ウィリアムス戦以降2年1ヵ月の間に6試合というのは、あの打たれ方からするとちょっと多すぎたのではないか。

一方モズリー側の最大の成功要因は、パンチ力やスピードでなく、インサイドワークだったような気がする。モズリーというと、アップライトスタイルで打っては離れ、ハンドスピードで勝負するのがこれまでのやり方だったはずが、今回はあえて接近し、頭を相手の顔に近づけて嫌がらせ、またクリンチをうまく使っていた。

これは、リングサイド6列目あたりから試合中ずっと立ち上がって指示を送っていた、同じゴールデンボーイ・プロモーションの重役仲間バーナード・ホプキンスのよくやる手であり、おそらくマルガリト対策としてかなり念入りに準備したと思われる(だから、亀田一家のやり方はダメなのである。比較するのもおこがましいが・・・)。

1Rからハンドスピードよりもパワーを重視する作戦をとっていたので、もしマルガリトが万全なら後半スタミナ切れとなる可能性もあったと思われるが、そうなった場合でも何とかごまかせる自信があったのだろう。

もともとシェーン・モズリーは無敗のままデラホーヤに勝って2階級を制覇し(その後3階級まで制覇)、世界最強と評価されておかしくない選手であった。それが一気に評価を落としてしまったのは、2002年のパーノン・フォレストに対する連敗、それも完敗といっていいダウンを奪われての判定負け(初戦)であった。

その後フォレストがマヨルガに連敗したため、マヨルガ>フォレスト>モズリーという評価が確立してしまったが、もともとウェルター級あたりでは安定した成績を示す実力者であり、そうでなければあのロナルド・ライト(3階級王者トリニダードをKO)と接戦できるはずはないのであった。

昨年マヨルガをKOし、今回マルガリトをKOしたことで、再びモズリーの評価が高まることは間違いないが、それではミゲール・コットと再戦すれば勝てるかというと、それはまた別の問題かもしれない。モズリーはどうやら相手による得手不得手がはっきりしており、フォレストに連敗、ライトに連敗と、キャリア5敗のうち同じ相手2人に4敗なのである。これでコットに連敗すれば3人に2敗ずつで6敗となり、それはそれでモズリーらしいことになる。