032 断水恐怖症~せいうち日記32 [Sep 8, 2009]

長いこと、少しばかり不便な思いをしてきたことがあったのだが、このところのハードスケジュールがきっかけとなって克服されつつある。

それは、飛行機や山登りなど、簡単に水分補給ができないようなシチュエーションにおかれると、過剰に飲み水を確保しようとすることである。山行の際には、通常想定される分量に加えて2リットルのペットボトルは余分に持って登っていたし、たった1、2時間の飛行機でも500のペットボトルを持たないと心配でいられなかった。

「断水恐怖症」とでも名付けられるような、一種のパニック症候群である。普段、通勤で1時間半かけているのに妙なことといわざるを得ないが、これにははっきりとしたきっかけがあって、それは、高校生の時の林間学校であった。

浅間山の近くに、みずのとやま・かごのとやま(水ノ塔山・篭ノ登山)という2000mくらいの山がある。いたって普通の初心者向けの山である。そしてこの山を登った時に、たまたま水をあまり持っていなくて、しかも午前中の早い段階ですべて飲み尽くしてしまったため、午後一杯たいへんに苦しい思いをしたのである。

以来、どんな時でも、水がなくなることを極端に恐れるようになった。山登りに2リットル=2kgの余計な荷物を持つと大変な負担になるのだけれど、水がなくなるという不安の方が大きかったのだ。

そして飛行機である。飛行機に頻繁に乗るようになったのは、大阪に転勤になってからのことであるが、ちょうどその頃、JAL123便という帰省した東京出身者が仕事場の大阪に帰る指定便ともいうべき飛行機が、墜落したのである。この事故以来、非常事態になるとスチュワーデスも飲み物を持ってこない。自分で水分を確保するしかない、と思い込んでしまった。

その後今日に至るまで、搭乗前に飲み物を買って用意しておくというのがマイルールになったのである。とはいえ、水平飛行に移れば飲み物のサービスは回ってくるし、ほとんど1口か2口飲むだけでほとんど残してしまうというのがいつものことで、いい加減にやめたいなあ、やめられないかなあというのが本音ではあった。

そして、最近のハードスケジュールである。週に2回飛行機出張なんてことが頻繁になってくると、なんだか通勤も飛行機出張も同じような気がしてきた。そこで、先日意を決して何も持たずに飛行機に乗ってみたところ、全くパニックは起こらなかったのである。

その時は心が弱くて、帰りの便ではやっぱりペットボトルを買ってしまったのだけれど、先週の出張では遂に、行き帰りとも水を用意せずに通すことができたのである。正直なところ、このままずっと直らないのかもしれないと思っていたので、大変うれしい。ハードスケジュールもしんどいことだけではないのだなあ、とちょっと思った。

[Sep 8, 2009]