011 出し抜く [Oct 31, 2006]

出し抜く[だしぬ・く] 他人の油断につけこんだり、相手をだましたりして、人より先に物事をする。 例:「同業者に―・かれる」

高校の必修科目逃れについていろいろ考えていて、おそらく本質はこういうことなのだろうと思う。もっとも、学校で受験科目を多く教えたところで大して身にならないだろうと思うし(本気で受験勉強しようと思ったら学校で教える速度では遅すぎる)、見つかった以上は1日10時間世界史やったら?と思うだけだけれど、最近の風潮として、少しでも他人より有利に、少しでも他人より楽に、という傾向が強まってきているようなのは残念なことである。

生徒の立場に立ってみれば、現代社会をやろうが地学をやろうが、そんなものは受験のみならず実社会においてほとんど役に立たないことは確実だから、習わずにすむものであればその方がいい。ただ、教える側の学校がそれではいけないのであって、たとえくだらないルールであっても一応はそれに従うのが大人の対応というものである。それをしないのは、おそらくどこの大学に何人入れたのどうだのということが、職場における評価、ひいては出世や給料に結びついていたからなのだろう。

私自身は現代の日本に生まれてきたこと自体がかなり幸運なことと思っている。世界には住むところもろくになく、お腹いっぱい食事することのできない国はたくさんあるし、日本だってそういう時代は長かった。上を見ればきりがないけれど、いま普通に毎日食べている食事は、王侯貴族とまではいかないけれど世界的にみればかなり恵まれた部類に入るし、昔の殿様だってこんなにいいものを食べていたとは思えない。

加えて、普通に働いていれば海外旅行をするのだって、いまやそれほど難しくはない(かえって国内より安い)。そんなふうに恵まれた境遇にあるのに、さらに他人を出し抜こうというのだから、考えてみればご苦労様である。私は基本的に怠け者なので、そこまでしたいとは思わないし、そこまでする人たちの気持ちも実はよく分からない。昔から割り込みやずるいことをされると「なんだこいつは」と腹は立つのだが、自分でそうしようとは思わなかったのである。

今回の話は例えていえば高速道路で渋滞しているときにきちんと並ばないで路肩を突っ走り、気がついたらパトカーが待ち構えていたようなもので、ドライバー(学校)のみならず同乗者(生徒)もそれなりの不利益をこうむるのは仕方がない。これを機に、もう少しのんびりした世間になればいいのにと思う。たぶん無理だけど。

[Oct 31, 2006]