050 井岡、3階級制覇ならず[May 7,2014]

IBF世界フライ級タイトルマッチ(2014/5/7、大阪ボディメーカー・コロシアム)
アムナット・ルエンロエン O 判定(2-1) X 井岡 一翔

私の採点は116-111アムナット。謎だったのは、とてもポイントが取れているとは思えない覗き見スタイルで戦った井岡陣営の作戦である。まさか倒れなければ判定で勝てると思っていた訳でもあるまいが、そう勘ぐるくらいに不可解であった。

ライトフライまでの井岡の戦い方は、まるで相手は打ってこないと決めてかかっているようにガードに意を用いず、その分自由奔放に攻めることができた。ところが今回は、最初からガードを高く上げて手数を出さず、ただ前進してプレッシャーをかけるという作戦であった。かつて、日本人挑戦者が連敗の山を築いた作戦である。

事情としては単純にアムナットが技術的に上回っていたということなのかもしれないし、序盤2Rあたりに受けたアッパーが最後まで効いていたのかもしれない。いずれにせよ、最初から最後まで堅苦しい動きに終始したのは、井岡の力不足だけでなく陣営に何かの計算違いがあったのではないかと思われる。

もしかすると、アムナットのみせかけ減量ミス作戦に引っかかって、序盤はポイントを取られてよしという読みだったのかもしれない。だとすれば、相当の甘ちゃんである。本気で減量をミスってふらふらになるのは宮崎だけであり、勝つためにはそうした手段をとることだってありうると予測していないとすれば、プロという名にふさわしくない。

もともと井岡は、ロマゴンの指名戦をカネ払って逃げたくせに、自分が最強だの伝説だのとぬかす態度が大嫌いであった。ボクシング一家などと言われるが、もともと叔父さんだって大したチャンピオンじゃなかった。それを勘違いして強い相手を避ける間に、本来もっと伸びてよかった実力が頭打ちになってしまった。前にも書いたように、この試合の前の時点ですでに井上に抜かれてしまったと思っている。

これも前に書いたけれど、最短での三階級記録なんてものに全くと言っていいほど意味はない。意味があるとすれば、強い相手としのぎを削り、すばらしい試合を見せてくれることだけである。内藤元チャンピオンのコメントどおり、フライ級で体の違いを感じているヒマがあったら、チューンナップマッチの1試合でも2試合でも挟むべきなのだ。それをせずに、チャンピオンのパンチが予想以上に重くてビビってしまったとしたら情けない。

かたやアムナット。今日は勝ったものの、それほどレベルの高いチャンピオンではない。同じタイのボンサクレックと比べるのはかわいそうなくらいである。しかしそれは必ずしもビジネス上の不具合を意味しない。ロマゴンやエストラーダ、セグラと戦うことはないけれども、ゾウ・シミンにとってかなり魅力的なチャンピオンであることは間違いないからである。

願わくば井岡が性根を入れ替えて精進し、いまあげたメンバーに挑戦するくらいの気概を見せてほしいものである。