043 ブラッドリーvsマルケス [Oct 12,2013]

WBO世界ウェルター級タイトルマッチ展望(2013/10/12、米ラスベガス)
O ティモシー・ブラッドリー(米、30戦全勝12KO) 2.3倍
ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ、55勝40KO6敗1分け) 1.6倍

パッキャオを破った両者による対戦。タイトルマッチとしてはブラッドリーがチャンピオンで、WBO的にいうとウェルター級とスーパーライト級のチャンピオン対決となるが、そういうお題目よりどちらが強いのかという関心の方がかなり大きい。先月のメイウェザーvsカネロは期待外れだったが、熱戦を期待したい。

スーパーライトのタイトルを獲った相手がジュニア・ウィッター、その後ラモント・ピーターソン、デボン・アレクサンダー、パッキャオといった錚々たるメンバーに勝っているにもかかわらず、評価は決して高くないブラッドリー。その理由は勝利最優先の渋い試合運びにある。KO率が示すようにハードパンチャーではないし、速射砲の連打も相手が面食らう以上の効果がない。

そのブラッドリーがイメージチェンジを図ったのが前回のプロボドニコフ戦である。相手を甘くみたせいもあるが打ち合いに応じ、僅差の判定は拾ったものの再三パワーパンチを被弾、最終ラウンドには自ら座り込むダウンも喫した。それから半年、今回underdogとなったのは、やはり前の試合が響いているだろう。

プロボドニコフ戦苦戦の原因をブラッドリーがどう考えているかが問題。まともに打ち合う戦い方がまずかったと分析しているとすると、いい意味でずるいブラッドリーだから、今回はまともに打ち合わず早い出入りを心がけるはずだ。そうなると、マルケスが非常に苦手とするタイプである。

ファン・マヌエル・マルケス40歳。軽・中量級にあってとっくにピークを過ぎている年齢だし、実際に力は衰えてきていると思う。前回の試合でパッキャオをKOできたのは自身の力が上がっているからというよりも、パッキャオの力が落ちているのと、タイプとして噛み合ったからである。

引分けor負けの3戦を含めて、パッキャオはマルケスにとって戦いやすいタイプであった。マルケスが苦手とするのは、メイウェザーはともかくとして、クリス・ジョンとかオルランド・サリドとか、まともに打ち合わずインサイドワークが巧みなタイプである。つまり、以前のブラッドリータイプである。

予想としてはブラッドリーが以前の戦い方に戻して判定勝ちとするが、もしかするとブラッドリーの前回苦戦の原因が、年齢と体重増からのスピードの衰えにあるのかもしれない。だとすると、ブラッドリーは前回同様に打ち合うことになるが、そうなるとマルケスの餌食という可能性はない訳ではない。むしろそちらの方が試合としては面白くなる。

 

WBO世界ウェルター級タイトルマッチ(10/12、ラスベガス)
ティモシー・ブラッドリー O 判定(2-1) X ファン・マヌエル・マルケス

WOWOWでは月曜夜のタイムリー・オン・エアながら、「メンバーズ・オン・デマンド」でインターネットのライブ中継が視聴可能であった。回線が足りるのかやや心配ではあったものの、11時の放送開始を待つ。なかなかつながらず、いったんつながったのが切れてしまう。幸いに、ラモスvsクルス戦からは回線が安定した。

音が速く届いて映像が遅れるという大変見づらい中継だったので、もしかするとWOWOWの放送では印象が違うかもしれないが、私の採点では116-112ブラッドリー。どっちに行ってもおかしくないラウンドが3、4ラウンドあったので、スプリットデシジョンか、もしかすると引分けがあるかもしれないとは思っていたので、判定には大して驚かなかった。

印象としては、最終ラウンドでマルケスが腰を落としたシーンが決め手となったように思うのだが、ジャッジの採点をみると最終ラウンドは全く勝負には関係しなかったようだ(仮にマルケスがダウンを奪っても2-1は変わらない)。

展開は予想通り。ブラッドリーはプロボドニコフ戦の反省を生かし、速い出入りで深追いをせず、最後までマルケスの距離で戦わなかった。ジャブや速射砲の連打で相手にダメージを与えられないのは最初から分かっているので、相手の攻勢を無効にする防御、インサイドワークでマルケスをかく乱し、ポイントアウトすることができた。

もっとも、ペースこそ握っていたもののマルケスに明白なダメージを与えた訳ではないので、採点が割れるのも仕方がない。試合後のインタビューで、「接戦じゃないよ。ペースは完璧に俺だったじゃないか」と言っているけれど、印象に残ったのがジャブと最終ラウンドだけなのだから、威張るくらいならもっと明白なラウンドを重ねるべきだろう。

ああいう勝利最優先のボクシングは面白みがないし、メイウェザーのような華やかさもない。とはいえ深追いしたり打ち合いに応じればプロボドニコフ戦の二の舞だし、ブラッドリーにとって、あちらを立てればこちらが立たずというところかもしれない。この勝利により、現時点ではダニー・ガルシアと並んで、メイウェザーに次ぐ位置に付けているといえるだろう。

来週、プロボドニコフとマイク・アルバラドがデンバーで戦う。マイル・ハイのデンバーだけに地元の利はかなり大きいと思われるが、ここでプロボドニコフがいい戦いをすれば、実は前回ブラッドリーが苦戦したのはプロボドニコフが強かったからということになる。そうなると、ブラッドリーvsプロボドニコフⅡで決着をつけることになるだろう。