056 ドネアvsウォータース@カーソン [Oct 18, 2014]

WBA世界フェザー級タイトルマッチ(10/18、米カーソン・スタブハブセンター)
ノニト・ドネア(フィリピン、33勝21KO2敗) 2.0倍
O ニコラス・ウォータース(ジャマイカ、24戦全勝21KO)1.83倍

河野・亀田の対戦指示・入札をめぐるごたごたを見ていると、統括団体としてのWBAのガバナンス能力には首をひねらざるを得ないが、まだまだ強いチャンピオンがいることも確かである。この対戦は、スーパー王者とレギュラー王者の統一戦となるが、ジョニゴンがアルセあたりとやっているのを見ると、この階級で最強を決める戦いといってもいいだろう。

WBOのグラコビッチをクラス最強とみる人はいないだろうし、IBFのロマチェンコはサリド戦でミソを付けた。ドネアのベチェカ戦も褒められたものではなかったけれども、一応ダウンを与えて負傷判定勝ちであった。そしてウォータースはダルチニアンに一方的なKO勝ちである。

ダルチニアンはバンタム以上ではほとんど良績がなく、ああいうスタイルは体力差があってはじめて効果的といえるけれども、それでもウォータースはセンセーショナルなKO勝ちといっていい。何より気に入ったのは、体格差を十分に生かしたボクシングであったことである。

いまのボクシングは複数階級で戦うことが当たり前になってしまっているが、もともと階級制の競技というのは、生まれながらの体格差によって有利不利が出るのはアンフェアであるので、なるべく条件を等しくして競おうというものである。例えば重量挙げで、下の階級の成績が上の階級を上回るということはほとんどない(展開のアヤで全くないということはない)。

格闘技の場合はある程度「柔よく剛を制す」ことがあるので、重量挙げほどには体格と成績が比例しない。体重無差別の柔道日本選手権で下の階級の選手が優勝することはこれまで何度かあったし、ボクシングでもパッキャオやメイウェザーが体格差をものともせずに大きな選手を破っている。その意味では、本来ジュニアクラス(いまのスーパーなんとか級)は要らないのだろう。

しかし、そもそも階級制がある以上は、体格の上回る選手が有利なのは当然のことなのである。リーチが長ければ相手の射程外からパンチを見舞うことができるし、ウェイトが重い方がパンチにパワーがある。体格に劣る方が有利なのはスピードと敏捷性だが、それとて12R通して効果をあげるのは至難の業である。

ウォータースのダルチニアン戦は、まさに体格差を活かした戦い方であった。年齢的にはドネアと3つしか違わないが、プロデビューは2008年とまだフレッシュである。そして、アマ時代から現在まで引き続いてのフェザー級で、フライ級から上げたドネアとの体格差がある。もしかすると、フェザー級で最も強いチャンピオンかもしれないと思っている。

ウォータースのKO勝ちに一票。ちなみに、GGGゴロフキンとマルコ・アントニオ・ルビオがCo.フューチャーされたこの日のスタブハブセンターは、満員札止めだそうである。

WBA世界フェザー級タイトルマッチ(10/18、米カーソン)
ニコラス・ウォータース O KO6R X ノニト・ドネア

勝敗が予想どおりだからというだけでなく、ウォータースがこの試合でも体格を活かしたいい試合運びをしていた点で満足できる結果であった。

ウォータースの強みはなんといってもフェザー級のナチュラルな体格があることである。ドネアとの身長差がそれほどなさそうなのは意外だったが、リーチの違いは圧倒的であり、それを活かしてストレート並みの左ジャブを的確に当ててダメージを与えた。リーチの違いはディフェンスにも活かされており、グローブで顎とテンプルをカバーしなおかつ肘でボディをカバーできてしまうので、ドネアは打つ場所が限られてしまった。

2ラウンド終盤、打ち合いの中でドネアの左フックをもらってしまったのがこの試合唯一のピンチだったが、次のラウンドに右アッパーのカウンターでダウンを奪い、これでほとんど試合が決まった。ジョーさんはドネアが前がかり過ぎた点を指摘していたが、おそらく1Rで体格差とパワーの差を感じていたので、ジリ貧となることを恐れての攻勢だったように見えた。

少し気になったのは、ジャブで距離を作って右ストレート、入ってくるところに右アッパーのカウンターだけで十分試合を支配できたように思えたのに、ドネアの注文通りに至近距離での打ち合いに応じていたところ。もちろん、ウォータースとしては接近戦での打ち合いにも自信があるのだろうが、今日の試合でも危ないところはなかった訳ではない。

試合後ウォータースに、リングマガジンのチャンピオンベルトが渡されていたようなので、これまで空位だった同紙のフェザー級チャンピオンに認定されたようである(これまでは空位で1位にジョニゴン)。フェザー級のチャンピオン達の中では最も体格に恵まれており、現時点では最強とみてよろしいのではないかと思っている。

ただし、あえて打ち合ってしまうところがあるのと、必ずしも打たれ強くはなさそうなので、ジョニゴンとやったら必ず勝つとはいえなさそうなのが微妙なところである。

WBC暫定世界ミドル級タイトルマッチ(同)
ゲンナディ・ゴロフキン O 2RKO X マルコ・アントニオ・ルビオ

 

ルビオがウェイトを作れなかったため、ゴロフキンのWBAタイトルは懸けられなかったものの、もともとこの対戦はタイトル云々ではなく、タフなルビオをゴロフキンがどう倒し切るかだけが興味あるところだったので、むしろウェイトオーバーしてでも体力を温存してもらった方が見る方としてはよかったのかもしれない。

実際、試合時のルビオはライトヘビー級はあるのではないかと思われる体の太さ。ゴロフキンとは体格が一回り違ったので、少しは苦労するのかと思ったら、2Rの左フック一発で終わってしまった。あのパンチは昔タイソンが身長が20cm違うルー・サバリース相手に決めたパンチと同じで、おそらくルビオは脳しんとうを起こしていたに違いない。

さて、この階級のリングマガジン王者はセルヒオ・マルティネスに勝った関係でミゲール・コットであるが、コットにしろジャーメイン・テイラーにしろ、ゴロフキンには敵わないとみている。チャベス・ジュニアやマルティネスが出てきてもおそらく無理で、可能性があるのは一つ上のクラスのアンドレ・ウォード、カール・フロッチあたりだろう。メイウェザーはウェイトが違い過ぎてやらないだろうし。