033 ホプキンス vs ドーソン [Oct 15, 2011]

WBC世界ライトヘビー級タイトルマッチ展望(2011/10/15、ロサンゼルス・ステイプルズセンター)
バーナード・ホプキンス(米、52勝32KO5敗2引き分け) 1.9倍
O チャド・ドーソン(米、30勝17KO1敗) 1.9倍

老いてますます盛んなホプキンスだが、チャド・ドーソンが本来の調子であれば若さと体力の差が出る。46歳vs29歳の年齢差は如何ともしがたいとみるが、さてどうなるか。

30代後半でミドル級の4団体を統一したホプキンス。まだ誰もこの偉業に追いついた者はなく、少なくともあと4、5年はそれに近付く者すら現れないだろう。その後クラスを上げて、アントニオ・ターバー、ロナルド・ライト、ジョー・カルザゲ、ケリー・パブリック、ロイ・ジョーンズらと戦い、遂にジャン・パスカルを破ってWBCのライトヘビー級の王座を手にした。

確かに40を超えてばりばりの一線級と戦うこと自体驚異的だし、敗れたカルザゲ戦もダウンを奪ってスプリット・デシジョンだから評価を下げるべきではない。それでも、ミドル級時代の底知れない強さまではないのではないか。

というのは、ミドル級時代は自らの強さに自信を持っているので、ある意味どこからでも行けるという横着な戦いぶりであった。ジャーメイン・テイラー戦ではそこを逆に突かれる形となったが、ライトヘビー級に上げてからは、常に一杯一杯の試合をしているように見えるのである。

2度のパスカル戦でも、私が見る限り、ペースを握られたら押し切られてしまうと思っているかのような余裕のない戦い振りに思えた。ディフェンスは堅いしパンチはハードなので自分のペースになればもちろん強いが、そう簡単には勝てないということが自分でも分かっているのではないか。

かたやドーソン。かつては若手のスーパースター候補として脚光を浴びたけれど、ターパー戦、ジョンソン戦あたりから切れ味が鈍くなり、とうとうジャン・パスカルに初めての敗戦を喫した。一度沈んだところからの挽回は簡単ではないが、何しろまだ29歳なのである。

もともとスピードスターとして売り出した選手で、動きのスピード、ハンドスピードともホプキンスを上回る。変に色気を出さずに12Rアウトボックスするつもりで戦えば、いまのホプキンスでは捕まえ切れないのではないかとみる。

ハンデも五分というのはホプキンスに人気が集まりすぎで、これならドーソンの狙い目だろう。ドーソンの判定勝ちに1票。ターバー戦以来買い続けてきたホプキンスだが、さすがにここは厳しいとみている。

 

WBC世界ライトヘビー級タイトルマッチ(10/15、ロサンゼルス)
チャド・ドーソン O TKO2R X バーナード・ホプキンス

チャド・ドーソンのタックルでホプキンスが試合続行不能を訴え、なんとTKO負けになってしまった。実況でジョーさんが、①ドーソンの反則負けか、②ノーコンテスト、とコメントしていたが、可能性としては当然、③ドーソンのTKO勝ち、もあった。最近の例ではイーグルがタイトルを失った試合のように、不可抗力で試合続行不能となればできない側のTKO負けである(4Rまで引分けとなるのは、「偶然のバッティング」)。

ただし問題は、ドーソンの行為に反則性はなかったかということで、今回の場合意図的にリフトアップしており、反則をとられてもやむを得ないところ。だからレフェリーの措置としては、ひとまずホプキンスに休憩を与え、その上で続行できなければTKO負けにするという判断が妥当であったと思われる。

それをしなかったのは、レフェリーがサッカーでいうところの「シミュレーション」、つまりホプキンスが意図的に反則をもらおうとしたという判断ということだが、その判断にもやはり無理がある。ホプキンスが持ち上げられて落とされたのは事実であるし、肩から落ちていないとしても腰やひじを打って肩にダメージを負うことは十分にありえることである。

ホプキンス陣営としてはWBCに提訴ということになるだろうし、その裁定はおそらくノーコンテスト=王座移動なしになるような気がするが、さて再戦した場合にホプキンスに勝ち目があるかどうかは微妙なところ。というのは、今回の試合を12R続けたとしてもドーソン優勢は変わらなかったはずだし、ホプキンスにもそれは分かっているはずだからだ。

それは、予想記事で書いた「年齢差」に加えて、「体格差」が歴然としていたからで、ライトヘビーの経験が長いドーソンの方が体の大きさ、厚さ、ふところの深さで上回っていた。だからドーソンはホプキンスの右を警戒しながらも、ノーガードで打たれなければ大丈夫と思っていたような気がする。

ホプキンスがこれまで長くこのあたりのクラスで君臨してきたのは、常に相手に対して体格的アドバンテージを有していたからである。パスカルからタイトルを取れたのも、もともとパスカルがスーパーミドルの選手で体格的にはホプキンスの方が上であった要素が大きい。

私はホプキンスのファンなので、このあたりで第一線から退いてもらいたいと思うのだが、さてどうなるだろうか。