025 興毅vsポンサクレック、亀1号陥落! [Mar 27, 2010]

WBC世界フライ級タイトルマッチ展望(2010/3/27、有明コロシアム)
O 亀田 興毅(22戦全勝14KO)
ポンサクレック・ウォンジョンカム(74勝39KO3敗1引分け)

先週のクリチコ兄弟が世界のボクシングファンの熱い視線を集めるヘビー級兄弟チャンプであるのに対し、今週の亀田兄弟は極東の一部ファンの生温かい視線を集めるフライ級兄弟チャンプである。とはいえ、いつ負けるのかという関心を呼んでいる点では共通しているといえないこともない。

「国民の期待」内藤をワンサイドの判定で下して2階級目を制覇した兄の興毅が、実力的には弟の大毅より上であろうというのは、ほぼ衆目の一致するところ(ただし、打たれ強さでは弟が明らかに上)。弟がデンカオセーンに勝てるのだから、兄貴はポンサクレックに勝てるだろうというのも大方の予想。だから、今回の一戦、勝敗についてはそれほど盛り上がっていないようだ。

とはいえ、何と言ってもWBCの王座統一戦である。両チャンピオンには、王者にふさわしいパフォーマンスを見せてほしいものである。

興毅は前回の内藤戦でこれまでのマイナス評価を一気に挽回したものの、やる気のある外国人選手との戦いはアランブレッド、ランダエタ戦以来になる。その両者はミニマム級から上がってきた選手で体格的に有利であり、右ジャブで距離を作っての左ストレート、左からボディへのフック、ノーモーションの右といった武器が有効であった。

一方、内藤戦では体格的なアドバンテージがなかったことから、徹底して待ちの作戦。気負った内藤が前に出るところへ、狙いすました右が何度も決まった。今回は内藤戦と違って引分けでも防衛であるので、前回同様自分から出ることはないだろう。ただ、今回は相手もサウスポーであり、より距離が近くなることから打ち合いに巻き込まれる可能性は少なくない。

かたやポンサクレック。日本人選手には内藤以外ほとんどKO決着で片付けていることから、無敵チャンピオンの評価は高いものの、タイと日本以外ではほとんど試合したことがない。暫定王者となったフリオ・セサール・ミランダ戦は久々の中南米の相手で、判定勝ち。接近しても離れてもカウンターが強烈だが、年齢的にスピードが落ちてきており、過大評価は禁物だ。

試合展開としては、興毅の待機策をポンサクがどう打開していくかということになる可能性大で、そうなると、23歳対32歳のスピードの違いが出てしまうのではないだろうか。興毅の判定勝ちを予想するが、ポンサクが圧倒的なパワーの差を見せれば、それはそれで文句はない。

 

WBC世界フライ級タイトルマッチ(3/27、有明)
ポンサクレック・ウォンジョンカム O 判定(2-0) X 亀田 興毅

私の採点は115-112でポンサクレック。私が亀に振り分けたラウンドは、1、3、7、12Rとバッティング出血の減点1。

「その無作法でアンスポーツマンライクな態度で、日本で最も嫌われているボクサー」とジョー小泉氏に世界に向けて発信されてしまった亀1号・興毅だが、以前から繰り返しているようにボクシングセンスは近年の日本人ボクサーの中でも抜群であった。しかし、まともな指導者に付かず、まともな相手と戦ってこなかったツケを、この大一番で払わされてしまったという気がしてならない。

おそらく試合前の作戦としては、内藤戦と同様に距離をとっての待機策、ポンサクが無理に前に出てくるところにカウンターを合わせるということだったと思われる。しかし、誤算その1は両者サウスポーなので距離が近く、ポンサクがそれほど無理をせずにボディへの左フックやアッパーを放つことができたこと。打たれ弱い興毅にとって、軽いパンチでも細かく当てられたのはダメージとなった。

もう一つの誤算は、4ラウンド終了時の中間採点で予想外の大差を奪われたことである。私の採点ではここまでイーブンだし、正直40-36はないように思う。ポンサクの有効打を評価するなら、試合終了時に119-108というジャッジがいなければならないのだが、そういうスコアシートはなかった。これで、亀田陣営としては前に出なければならなくなった。

だから5Rにバッティングで目を切ったのも偶然ばかりではない。作戦変更で前がかりになって、しかも技術がないものだから頭だけ前に出てしまった結果である。こういう時に、適切な指導者がコーナーにいればよかったのだが、弟2人が気合を入れるばかりで局面を打開することはできなかった。6R以降は一方的な展開といっていい。

テレビで見ても有明の客席はがらがらで、一時の異常なほどの亀田人気も落ち着いたようだ。TBSがやたらとポンサクのクリーンヒットを指摘していたのも亀田離れの表われではないだろうか。まだ若いのだから修業し直せばなんとかなるかもしれないが、あの親父が付いている限りそれも望み薄なのかもしれない。