023 亀田大毅vsデンカオセーン2 [Feb 7, 2010]

WBA世界フライ級タイトルマッチ展望(2010/2/7、神戸)
O デンカオセーン・カオヴィチット(タイ、48勝20KO1敗1引分け)
亀田 大毅(亀田、15勝11KO2敗)

昨年10月、デンカオセーンが小差判定勝ちした試合のダイレクト再戦。日曜午後8時にTBS中継が入るが、正直言って試合内容は惨憺たるものになる可能性が大きい。

というのは、デンカオセーンはもはやモチベーションを維持しておらず、やる気がないだけでなくウェイトも作れないのではないかという噂があるからだ。事実、一昨年の大晦日に坂田をKOしてチャンピオンとなってから、昨年行った試合は久高戦と亀田戦のみ、いずれも手数がほとんど出ない不出来な防衛戦であった。

タイの選手はあまり試合間隔を開けないのが普通で、世界タイトル防衛戦の合い間にノンタイトルを入れることもしばしばである。それが大きなケガもないのに年2試合しか行えないというのは、通常のコンディションにはないと考えざるを得ない。

坂田がタイトルを取った試合も、ロレンソ・パーラにやる気がなくウェイトオーバーだった。俗に「タイトルをカネで売る」ともいわれ、挑戦者陣営のマネージメント力(つまりカネ)がモノを言う世界である。そのこと自体の是非を論じても始まらない。ボクシングでは割とよくあるパターンで、特にキャリア晩年の軽量級選手に多い。

さて、その場合デンカオセーンはパンチを出さない。一方が手を出してもう一方が出さなければ、クリーンヒットやダメージに関係なく判定は出した方に行く。亀2号の唯一の武器であるフックが決まるならともかく、そういう盛り上がらない試合になれば入場料を払っているファンはいい面の皮ということになる。ところが、噂ではそうなる可能性がかなり高いようなのである。

とはいっても、まじめに戦えばデンカオセーンのキャリアとテクニックが上位なのは間違いない。マネージャーとごたごたしていた位だから、ここで防衛して坂田戦でもうひと稼ぎという心変わりがあるかもしれない。その場合は、前半戦である程度勝負の目処をつけてしまうだろう。

ということで、この試合を見るとすれば2、3Rまで。ここでデンカオセーンにやる気がなければ、99%惨憺たる試合になるので、精神衛生上それ以上見ない方がいいかもしれない。幸い、関東でテレビ観戦の方は、裏番組で「ビフォー&アフター」をやっている。生観戦の人にはお気の毒である。

(そういえば、以前スーパーアリーナにウィラポンvs西岡4を見に行った時、ダブルタイトルマッチの後半、戸高の試合がとんでもない凡戦で、7~8Rで席を立ってしまったことがあった。相手のフリオ・サラテも相当だるい選手だったので。)

 

WBA世界フライ級タイトルマッチ(2/7、神戸)
亀田大毅 O 判定(3-0) X  デンカオセーン

亀2号こと大毅が勝って、これで兄弟同時世界チャンピオン。同じ兄弟同時チャンプでも、ビタリとウラディミールとはちょっと格が違うけど・・・。

前日計量後に、亀3号和毅がデンカオセーンを挑発、あわや乱闘というニュースがあったので、もしかするとデンカオがやる気になるかと思った。実際、前半のボディ打ちはそれなりに気合が入っていたのだが、レフェリーの余計な減点でやっぱりやる気をなくしてしまった。減点なしでも採点結果は同じだったが、あれで試合の流れが決まってしまったのは残念である。

中盤ではやっぱりクリンチとレスリング行為の連続で、デンカオのパフォーマンスが落ちていたのは確かだが、試合前に予想したほどには惨憺たる展開にはならなかった。デンカオも大毅もいいパンチを入れていたし、迫力のある打ち合いもあった。世界タイトルマッチという水準にあったかどうかはともかく、両者それなりに見せ場は作ったといえるのではないか。

大毅の強みは、何と言っても打たれ強いことである。坂田が2度の対戦で、かなりひるんだところがあったデンカオの右ストレートに対して、全く効いたそぶりを見せなかった。ボディは前の試合と同様かなり打たれており、レバーを狙う左フックではなく大部分が右からとはいえ、あれで嫌になってしまう選手は日本ランカークラスでも結構いるはずだ。

加えて、これまでのフック一辺倒から、左ジャブ、右ストレート、左フックのコンビネーションが使えるようになったのは改善された点である。特に、出会い頭の左フックにはなかなか見所があった。兄・興毅のいいところを取り入れたことで、試合ぶりに幅が出来たといえそうだ。1ラウンドに足を使ってジャブを打ち込んだのを見て、「何だこれは」と驚いてしまったくらいである。

さて、デンカオセーン不調が伝えられていた中で、大毅勝利 → 減量苦でタイトル返上 → 坂田は王座決定戦登場、はほぼ規定路線。大毅はこの勝利を手土産に上の階級へ向かうことになると思われるが、Sフライに名城、バンタムに長谷川、Sバンタムに西岡がいるのに、彼らに挑戦することはなく、おそらく再び世界前哨戦商売(?)となりそうだ。

それにしても、内藤に挑戦したときには反則三昧で1年間出場停止だった選手が世界チャンピオンとは、タイトルの価値も落ちたものだが、これもデンカオごときにタイトルを取られた坂田のせいである。それを考えると、本来は今日の試合でタイトルを取り戻せるはずだった坂田にも、あまり同情する気にはなれない。