037 マルティネスvsチャベスJr.[Sep 15, 2012]

WBC世界ミドル級王座統一戦展望(2012/9/15、ラスベガス トーマス&マックセンター)
O セルヒオ・マルティネス(アルゼンチン、49勝28KO2敗2引分け) 1.53倍
フリオ・セサール・チャベスJr.(メキシコ、46勝32KO1敗) 2.50倍

ダイヤモンド王者マルティネスとレギュラー王者チャベスJr.の統一戦。どちらが勝ってもダイヤモンド王者となり、レギュラー王座は空位になって決定戦やるんだろうなーと思うと、世界チャンピオンの権威って何だろうと思う。日本でも亀1号が統一戦やるみたいだけど、亀1がバンタム級最強だと思っている人は、世界中で誰もいないだろう(本人を含めて)。

しかしこの試合は、懸かるタイトルにかかわらずミドル級の頂上決戦である。率直に言えばチャベスJr.にはちょっと時期尚早のような気もするけれど、過去の名王者のほとんどは時期尚早と言われながら前世代の安定王者を倒してきた。マルティネスの年齢を考えれば、チャベスJr.が世代交代しても全然おかしくない。

オッズがこれだけ接近しているのもそのせいだが、チャベスJr.は買われ過ぎだと思う。確かに、ここ数戦のタイトルマッチは強かった。それでも、戦ってきた相手はマルコ・アントニオ・ルビオ、セバスチャン・ズビック、アンディ・リーだから、マルティネスとはかなり差がある。先々週統一戦を戦ったシュトルム、ゲールのクラス、あるいは過去引き分けているモリナとか、カークランドと戦ってからの方が良かったような気もする。

マルティネスの死角は37歳という年齢であることは間違いない。米国におけるメインイベンターとなったのは2009年のカーミット・シントロン、ポール・ウィリアムス戦からだからそれほど長く戦っている印象はないのだが、2000年にはモラレスvsバレラ第一戦のアンダーカードでマルガリトと戦ってKO負けしている。

もしかするとこの試合でいいところなく敗れて、後から年齢的限界というコメントが出る可能性もなくはないのだけれど、それでもポール・ウィリアムス第二戦以降の勝ち方を見ると、まだまだチャベスJr.とは格が違うように思う。

マルティネスはサウスポーだからという訳ではなく、マルティネス・スタイルだから相手にとって戦いづらいのである。チャベスJr.も接近して打ち合う展開になれば相手の右左は関係ないけれど、接近する前にマルティネスの一撃をもらってしまった場合にどうなるか。個人的にはチャベスJr.のディフェンスには改善の余地が大きいし、タフネスもそれほどでもないと思っている。

どちらが勝つにせよKO決着になると思うが、このオッズならマルティネス。

 

WBC世界ミドル級タイトルマッチ(9/15、ラスベガス)
セルヒオ・マルティネス O 判定(3-0) X フリオ・セサール・チャベスJr.

11、12Rがなければ、チャベスは何を考えて試合をしていたのかと言われても仕方のない試合。ところが終盤でチャベスが追い上げ、マルティネスがKO寸前に追い込まれることとなった。最後の2ラウンドだけで今年のベストバウトになるかしれない。

マルティネスが初回から飛ばし過ぎという印象はあったが、英国勢との連戦もああいったパターンで終盤KOしているので、本人はスタミナに自信があるのだろうと思っていた。ところがあの失速は、チャベスの前に出る圧力が戦前の予想より強かったのか、あるいはマルティネスの年齢的な衰えなのだろうか。

10Rまではジャッジの採点もフルマークだったと思われ、チャベスは前に出てはマルティネスの軽い連打をもらいダメージを蓄積させていった。ところがその時点でマルティネスの余力はほとんど残っておらず、10Rのスリップダウンも予想以上にスタミナがなくなっていることを示していた。

それならば最終ラウンドに、足を使って打ち合わないという選択もあったはずであるが、マルティネスはあえて打ち合いに応じた。おそらく、それまでチャベスのガードが固く思うようにクリーンヒットを決められなかったため、フラストレーションがたまっていたのだろう。ところが、自分も疲れていて思うように体が動かなかった。

試合後のインタビューで「あれはミステイクだ」と言っていたのは、自分のスタミナの残り具合や体が思うように動かないことを考えに入れず、打ち合いに行ってしまったことを指すように思う。ところが千載一遇のチャンスにチャベスは大振りのパンチでマルティネスに決定打を打ち込むことができなかった。このあたりは修羅場のくぐり方の差であろう。

さてこの一戦、直接となるかどうかは分からないが、リマッチとなることは確実である。マルティネスが今回の不具合を修正してくるのか、あるいはさらに体力をつけたチャベスのペースとなるのか、非常に興味深い戦いとなりそうだ。