049 メイウェザーvsマルコス・マイダナ [May 3,2014]

WBA/WBC 世界ウェルター級タイトルマッチ展望(2014/5/3、米ラスベガス)
O WBC王者 フロイド・メイウェザーJr.(45戦全勝26KO)1.06倍
WBA王者 マルコス・マイダナ(35勝31KO3敗) 8.00倍

ここ数年、パウンド・フォー・パウンド最強の評価はメイウェザーで固まりつつある。ライバルと目されていたパッキャオは後退、カネロ・アルバレスを自ら完封して、その地位はゆるぎないものとなった。ブロナーがマイダナに敗れ、スウィフト・ガルシアやキース・サーマンも拙い試合をしており、ポスト・メイウェザー候補もなかなか台頭しない。

とはいえ、メイウェザーも37歳である。世界の第一線に登場したディエゴ・コラレスとのスーパーフェザー級統一戦から数えても15年。そろそろピークを過ぎている可能性は常に想定しておくべきだろう。

来年50歳を迎えるバーナード・ホプキンスがライト・ヘビー級で君臨していることから、メイウェザーもまだまだやれるとみることは可能だし、選手の健康管理が相当に前進していることも確かではあるが、そこには個人差があることを忘れてはならない。日本人とは単純に比較できないが、バンタム級時代あれだけ強かった長谷川穂積が30代前半でああいう負け方をするくらいである。

年齢的な衰えはすべての要素で一斉に現れるとは限らない。一般的に、スピードや防御カンの良さが衰えるのが先で、パンチ力やインサイドワークの衰えは後になるだろう。試合全般にわたるスタミナや耐久力は、インサイドワークでカバーできる範囲もある。年齢的衰えの前兆として、スピード、防御勘を注意して見ることは、それほど的外れではないだろう。

こうした点から考えると、カネロ戦のメイウェザーには目立った衰えはなかったことは否定できない。そして、ボクシングは相手次第である。パンチのパワーという点では、マイダナよりもカネロの方が上であることもまず間違いない。となると、オッズどおりメイウェザー完封勝ちが最も妥当な予想ということになりそうだ。

一方、マイダナで特筆すべきは、何と言っても昨年末にブロナーを2度倒して判定勝ちしたことである。しかし、この一戦の価値を目減りさせる要素が出てきた。ブロナーが2-1判定で破ったマリナッジを、IBFチャンピオンのショーン・ポーターがワンサイドでKOしていることである。

この試合の映像はまだ見ていないので断定はできないにせよ、ウェルター級においてブロナーの実力に疑問符が付いたということになると、マイダナのupsetもそれなりの評価にならざるを得ないのかもしれない。もともとマイダナはスーパーライト級の選手であり、メイウェザーに対し体格的にそれほどアドバンテージがある訳ではない。

結論としては、メイウェザー判定勝ちに1票。マイダナのボディの弱さからKOを予想する向きも多いと思われるが、そこまで無理をしないのがメイウェザーである。

 

WBA/WBC世界ウェルター級タイトルマッチ(5/3、ラスベガス)
フロイド・メイウェザー O 判定(2-0) X マルコス・マイダナ

私の採点は116-112メイウェザー。114-114をつけたジャッジはちょっと?だが、攻勢点だけとればそうなるのかもしれない。メイウェザーにとって、カネロ戦より大分と苦労した戦いであった。

メイウェザーがかつて戦った中で最も苦労した相手が、ホセ・ルイス・カスティージョである。マイダナもカスティージョと同じラテン系のファイター。足を使って捌けばそれほど苦しむ展開にならないはずだったが、例によってロープ際で横着をしようとしたため少なからず被弾があった。

それでも決定打を打ち込ませなかったのはL字ガードを使わなかったからで、ブロナーと違ってそこまで相手をなめることはしなかった。逆にガードの隙間からアッパーを決めてはいたものの、手数の差があって一部ジャッジ(とSHOWTIME)はマイダナに振ったラウンドもあったようである。

リング中央でのジャブからストレートの差し合いでは明らかにレベルの差があっただけに、なぜメイウェザーがこの展開に持ち込まなかったのか疑問。もしかすると、年齢を考えてスタミナ温存を図ったのかもしれない。バッティングもかなりアピールしていたが、トニー・ウィークス・レフェリーにあまり取ってもらえなかったのは計算外だった。

一方のマイダナ。デボン・アレクサンダー戦と違って見どころがあったのは、メイウェザーがロープに詰まってくれたためだが、12Rがんばって攻め続けたということは、それなりの練習をしてきたのだろう。例によってボディを打たれて露骨に嫌がるところをみせたが、顔だけならば打たれ強いのはもとからである。

ただ、今回はメイウェザーとの相性が悪くなかったことが善戦の最大の要因で、実力的に上積みがあった訳ではない。再戦しても今回同様の結果だろうし、今でもアレクサンダーには完封されてしまうだろう。再戦をアピールしていたが、やっても仕方ないのではという感想。

セミファイナルのアミール・カーンvsルイス・コラーソは、カーンが相変わらずのスピードと打たれ弱さをみせてくれた。個人的には、メイウェザーの次の相手はカーンの方が面白いと思う。