055 メイウェザーvsマルコス・マイダナⅡ [Sep 13,2014]

WBA/WBC世界ウェルター級タイトルマッチ(2014/9/13、MGMグランド)
O フロイド・メイウェザー(米、46戦全勝26KO) 1.14倍
マルコス・マイダナ(アルゼンチン、35勝31KO4敗) 6.5倍

今年5月の第一戦に続くダイレクトの再戦。メイウェザーは5月と9月のMGMグランドでしかやらないと決めているようなので、イスラム教徒のアミール・カーンが希望しなかった(ラマダンのため)こともあって、スムーズに再戦となった。メイウェザーにとって、2002年のカスティージョ戦以来の同じ選手との再戦になる。

マイダナ戦のメイウェザーが2-0判定となるほどの接戦だったかというと、必ずしもそうは思わない。マイダナは終始攻勢をとったしメイウェザーの明白なクリーンヒットも多いとはいえなかったが、それでもポイントを振り分ければメイというラウンドが多かったように思う。とはいえ、メイにとっては久々にてこずった戦いであり、マイダナもアレクサンダー戦よりは改善された。

メイウェザーのこれまでの戦いぶりを振り返ると、2001年のディエゴ・コラレス戦、2007年のリッキー・ハットン戦ぐらいが完勝といえるもので、最近はテクニックで上回るところは見せてくれるものの、「これは強い」という印象はあまり受けない。最近のサウル・アルバレス戦も前回のマイダナ戦も、負けないというだけで明確に打ち負かしたという戦いではなかった。

ボクシングの姿として、相手の攻撃を無効にするのが本来なのか、それとも相手を打ち倒すことが本来なのかは難しい問題である。ただ、エリスランディ・ララの試合とゲンナディ・ゴロフキンの試合のどちらを見たいかといえば95%のボクシングファンはゴロフキンを選ぶだろうから、どちらかというと後者に比重があるとはいえそうである。

さて、試合前の様子をみると、メイウェザーのモチベーションは前回よりかなり上がっているようである。確かに、苦戦が予想されたカネロ・アルバレス戦では万全の状態に仕上げて、ほとんどのラウンド、カネロに何もさせなかった。それと比べると、マイダナ戦にそれほど苦戦の要素はないように思えたので、油断というか慢心があったことは確かだろう。

そして、マイダナとメイウェザーの相性という要素も軽視できないだろう。かつてメイが最も苦戦したカスティージョはディエゴ・コラレスといい勝負であり、そのコラレスの全盛期にメイウェザーは4度ダウンを奪って圧勝している。だから、マイダナがアミール・カーンやデボン・アレクサンダーに敗れているからといって、メイと勝負にならないとは限らないのである。

とはいっても、今回もメイが判定をものにするだろうと思っている。というのは、メイウェザーにはKOしなければならないというプレッシャーがなく、テクニックで上回ってポイントアウトすればいいという、ある意味ハードルの低さがあるからである。

序盤では明確な決着に向けて多少のアクションはあるかもしれないが、それが効果を現わさなければ、例によって安全運転で12Rを受け流すだろう。マイダナが勝つためには後頭部だろうがバッティングだろうがとにかく乱戦に持ち込む必要があるが、メイウェザーも打たれ強いので、マイダナ程度の攻撃力では厳しいと思っている。メイウェザー判定に一票。

 

WBA/WBC世界ウェルター級タイトルマッチ(9/13、MGMグランド)
フロイド・メイウェザー O 判定(3-0) X マルコス・マイダナ

ようやく出張から帰ってVTRを見ることができた。私の採点は浜田さんと同じく117-110メイ。ジャッジがマイダナにあと1~2ラウンド与えていたのは、ラスベガスらしからぬ攻勢点だろうか。

8Rにマイダナが噛んだかどうかはインタビュアーが言うほど明らかだとは思わないが、マイダナの主張するように目に指を入れられたとも見えなくはない。いずれにせよ、メイウェザーはクリンチのしすぎであり、レフェリーから注意があってもよかったように思う。あの場面だって、グローブの手のひらで顔をつかまなければ、噛みようがないのである。

試合自体はメイウェザーの完勝で、第1戦よりも明らかな判定となった。その要素の一つが展望記事にも書いたように「ハードルの低さ」である。メイウェザーにはKOする、ないし明らかなダメージを与える必要がないのだから、その分リスクを取る必要がない。試合全般を通じてメイのインサイドワークとマイダナの空振りばかりが目立つこととなった。

1~3Rに徹底してフットワークを使ったのは、序盤に強いマイダナに対して有効な戦い方だった。マイダナには前進してロープに詰めて強打を叩き込む以外の作戦がないので、足を使って回られるとなすすべがなかった。多少はボディも狙ったけれども徹底することはできず、中盤以降は逆に弱点のボディを狙われてしまった。

試合後にメイウェザーが鼻血を出していたように、マイダナの強打も何発かは入っていたけれども、メイウェザーは結構打たれ強いので、足が止まったりヒザに来ることもなかった。残念ながらマイダナにはあれが精一杯であり、メイウェザーがきっちり仕上げていれば前回だってこういう試合になったはずである。

とはいえ、メイウェザーが引き続きパウンド・フォー・パウンド最強かというと、やや疑問符が残る。そもそもこの試合の発端となったブロナーvsマイダナ戦でも、ブロナーはラスト2ラウンドでマイダナをKO寸前まで追い詰めているのに、メイは24ラウンド戦ってああいう場面を結局作れなかった。ボクシングの質が違うとはいえ、物足りないのは確かである。

カネロ・アルバレスを完封してしまうくらいだから余計な心配なのかもしれないが、ベテラン相手のビッグマネーファイトばかりやっている間に、若い選手たちとの差が詰まっているような気がする。来年5月にはまた歳をとる訳だし、ホプキンスのように体格差がある訳でもないから、これからますます厳しい戦いとなるだろう。

まあ、(インタビュアーの言うところの)パッキャオは力が落ちているし、アミール・カーンはマイダナより打たれ弱いので、それほど脅威にはならないだろうと思う。むしろキース・サーマンなど生きのいい若手と戦うことがあれば注目である。