036 パッキャオ、落城 [Jun 9, 2013]

WBO世界ウェルター級タイトルマッチ展望(2012/6/9、ラスベガスMGMグランド)
O マニー・パッキャオ(フィリピン、54勝38KO3敗2分け) 1.2倍
ティモシー・ブラッドリー(米、28戦全勝12KO) 4.5倍

パッキャオがWBOウェルターのタイトルを手に入れたのは2009年の11月ミゲール・コット戦。以来、ジョシュア・クロッティ、シェーン・モズリー、ファン・マヌエル・マルケス相手に防衛するかたわら、一階級上のスーパーウェルターでアントニオ・マルガリトに勝っている。だからウェルターという階級には慣れたといえるが、一方でKO勝利から遠ざかっていることも確か。

かたやブラッドリー。スーパーライトではジュニア・ウィッター、ラモント・ピーターソン、デボン・アレクサンダーに勝っているが、ウェルター級での実績がほとんどない。スーパーライトでも小さめの体格なので、そもそもウェルターに上げて通用するかという問題がある。動きも早く試合運びも巧いが、KO率が示すように倒しまくるタイプではない。

オッズは意外と開いておらず、そう簡単な相手ではないことも確かだが、ブラッドリーがどうやって勝つかというイメージがあまりわいてこない。最もありうるパターンは、アレクサンダー戦と同様にバッティングで出血したパッキャオのペースが鈍ってブラッドリーのインサイドワークが活きる展開だが、アクシデントを予想する訳にもいかない。

試合はとりあえず中間距離からの探り合いから始まるだろう。そこでどちらが先制するかが第一のポイント。私の予想は、まずブラッドリーが攻めてパッキャオが迎え撃つとみている。ブラッドリーが勝つつもりならパッキャオのリズムを崩す必要があるが、それほどカウンターは巧くないしパンチのパワーもないからである。

そこでハットン戦のようにパッキャオの右フックカウンターが決まってしまうと、ブラッドリーは出られなくなりパッキャオのペース。ブラッドリーとしてはスピードでパッキャオをあおる必要があるが、それができるかが第二のポイント。それほど動きのスピードに差がないように思えるのが辛いところだが、可能性は小さいとはいえない。

年齢的に上がり目はブラッドリーの方が大きいのと、最近のフレディ・ローチが急ブレーキなのがパッキャオに気になるところかもしれないが、コットを完封した後刑務所に入ってしまったメイウェザーにプレッシャーをかけるためにも、似たタイプのブラッドリーにはっきりとした勝ち方をしておきたいだろう。

今回は久し振りに、パッキャオの左ストレートが鍵を握るとみる。パッキャオの中差判定勝ちを予想する。

 

WBO世界ウェルター級タイトルマッチ(6/9、ラスベガス)
ティモシー・ブラッドリー O 判定(2-1) X マニー・パッキャオ

私の採点は115-113パッキャオだが、僅差の判定だったことは間違いないので、こういう結果もありだろう。終わり3ラウンドは明らかにブラッドリーだったので、パッキャオ陣営としては判定リードとみて安全策を取り過ぎたのかもしれない。その意味では、フレディ・ローチの天中殺が最大の敗因。

結果的には、中盤飛ばしすぎたパッキャオがガソリン切れということになるものの、これまでもあの調子で最終ラウンドまで押し切っていた。それができなかったのは、ブラッドリーが怖がらずに打ち終わりにパンチを返していたから。予想したようにブラッドリーはカウンターがそれほど巧くないから明確なダメージは与えられなかったが、パッキャオの踏み込みが少しずつ甘くなったように思う。

中盤5~6Rで、ブラッドリーの動きが一気に落ちた。これまでのパッキャオであればあの場面で決められるのだが、鍵を握るとみていた左ストレートが今一歩の出来だった。もともとウェルターあたりまでクラスが上がると相手の耐久力があるので、ストレート系のパンチだけでは辛いところがある。

そして今回の試合で最も気になったのは、パッキャオがクラスを上げてからの主武器である右フックがほとんど出なかったこと。ブラッドリーがあれだけ左ジャブを出していたのだからかぶせて打つチャンスはあったはずである。一方で、アッパー系のパンチを相当空振りしていた。ブラッドリーが頭を下げてくると読んでいたのだろうが、アッパーの空振りはスタミナに響く。

判定が出てすぐ思い出したのは、ホプキンスがジャーメイン・テイラーに敗れた試合。あの試合も勝ったと思ったホプキンスが安全策に出て、結果判定負けした。ブラッドリーは誰がやってもやりにくい相手なので、再戦しても微差でブラッドリーが有利だろう。

軽量級から戦い続けたパッキャオには年齢的な衰えもあり、個人的にはメイウェザーとやって引退というのが一番いいような気がする。