034 パッキャオ・マルケスⅢ [Nov 12,2011]

WBO世界ウェルター級タイトルマッチ展望(2011/11/12、米ラスベガス)
O マニー・パッキャオ(53勝38KO3敗2引分け) 1.12倍
ファン・マヌエル・マルケス(53勝39KO5敗1引分け) 6.00倍

パッキャオ・マルケスもいよいよ3度目の戦い。2004年のフェザー級ではマルケスにやや分がある引分け、2008年のスーパーフェザー級ではパッキャオのスプリット・デシジョン。そして今回はウェルター級。ウェイト的にどちらがフィットしているかというと、やはりパッキャオということになるのではないか。

戦績を書いていて気がついたが、両者ともに53勝、KOの数もほとんど同じ。マルケス兄は、オルランド・サリド、マルコ・アントニオ・バレラ、ホエル・カサマヨル、ファン・ディアス、マイケル・カチディスらに勝ち、フレディ・ノーウッド、クリス・ジョン、パッキャオ、メイウェザーに敗れている。ただし、ライト級を超える試合での良績はない。

かたやパッキャオのライト級超の試合はいずれも圧勝。デラホーヤ、リッキー・ハットン、ミゲール・コット、アントニオ・マルガリト、シェーン・モズリーをいずれもKOないし一方的な判定に下している。世界戦での負けは、1999年のメッグン戦(フライ級)、2005年のエリック・モラレス第一戦(フェザー級)までさかのぼらなければならない。

この試合は、ウェルター級タイトルマッチ144ポンド契約で行われるとなると、パッキャオの方がよりフィットしているのではないかというのが常識的な判断だろう。特に最近の試合では、マルケスがいずれも激戦で打ちつ打たれつの試合、パッキャオはほとんどまともに打たせていないため、ダメージの蓄積度もかなり違う。

ただ一つパッキャオに懸念材料があるとすれば、マルケスをやや苦手としている点であろう。第一戦の中盤以降は完全にマルケスペースだったし、第二戦でもカウンターをもらいたたらを踏む場面があった。いずれの戦いでもダウンを奪っているのだが、KOまで追い込むことはできなかった。

現在各階級を通して、最も負けそうにないのがパッキャオとセルヒオ・マルティネスと思うのだが、マルティネスは前回のダレン・ベイカー戦で大苦戦した。ボクシングには相性というものがあって、ベーカーがポール・ウィリアムスとやればおそらくウィリアムスの圧勝だろう。パッキャオもマルケスにやや相性が悪いので、カウンターを決められる場面は出てくるはずである。

それでも、ウェルター級にフィットしたパッキャオとライト級のマルケス兄では、最後は体力の差が出ると思う。パッキャオが判定勝ち。終盤でストップする可能性も少なからずありそうだ。

この試合は日曜日の昼、WOWOWでライブ中継される。しかし私は、出張に出ているため当分見ることができない。断腸の思いとはこのことであろう。

 

WBO世界ウェルター級タイトルマッチ(11/12、ラスベガス)
マニー・パッキャオ O 判定(2-0) X ファン・マヌエル・マルケス

ようやく今朝早くに録画を見ることができた。私の採点では115-113パッキャオで、ジャッジのデイブ・モレッティと同じ。各ラウンドの採点もほとんど同じなので、あるいはテレビと同じ角度から見ていたのかもしれない。

パッキャオが過去数戦のように攻められなかったのは、やはりマルケスを苦手としていることが大きな要因と思われる。他のボクサーのパンチにはひるまず前進するパッキャオが、マルケスの左アッパーとボディへのフックで動きを止められた。アッパーで口の中を切り、レバーへの左フックが再三にわたり決まった。試合全般を通じて、クリーンヒットではマルケスの方が多かったのは間違いない。

フライ級からウェルター級まで増量したパッキャオの弱点がボディだというのは、対戦相手にも見当がつくはずなのだが、これまでの相手にそれができなかったのは、一つはパッキャオの右フックが速いから、もう一つには相手にとってパッキャオは小さいので、ボディを打ちにくいということがある。

実際に、マルガリトのボディでパッキャオの動きが止まった場面があった。その際にマルガリトが追い打ちをかけられなかったのは、下手をすればリッキー・ハットンの二の舞になるからである。ところが、マルケスはパッキャオ同様動きが速いし、体のサイズ的にもボディを打ちやすい。

かといって、この試合マルケスの勝ちと判定できるかというと、ちょっと首をひねるところ。Fightnewsのアンケートをみるとマルケス勝ちという視聴者が多いのだけれど、各ラウンドが独立した10ポイント・マスト・システムという採点方法をとるのであれば、やはりマルケスの手数は少なく、試合全体の主導権はパッキャオにあったと思われる。

各ジャッジの採点も私と同様、8Rまではイーブン(ジャッジの一人だけ2ポイントパッキャオ)で、最後の4ラウンドで差がついた判定となっており、9R以降お互いにクリーンヒットが少なく、手数とアグレッシブでパッキャオが上回ったといえる。タイトルマッチとしてはマルケスが挑戦者なので、勝つためにはもう少し手数が欲しかったところだろう。

とはいえ、向かうところ敵なしだったパッキャオと接戦の判定という結果は、マルケスの大健闘といていいだろう。逆に言えばパッキャオの弱点として、体が同等あるいは小さな相手でスピードが五分だと、なかなか局面を打開できないという点が明らかになったといえる。

その意味では、この日のセミファイナルに登場したティモシー・ブラットリーやアンドレ・ベルト、ましてやフロイド・メイウェザーと戦った場合には、相当厳しい展開になりそうだ。