030 パッキャオ vs モズリー [May 7, 2011]

WBO世界ウェルター級タイトルマッチ展望(2011/5/7、米ラスベガスMGMグランド)
マニー・パッキャオ(フィリピン、52勝38KO3敗2引分け) 1.11倍
O シェーン・モズリー (米国、46勝39KO6敗1引分け) 6.00倍

デビッド・ディアス戦以降のパッキャオは神がかり的としか言い様のない快進撃で、このあたりのクラスではメイウェザー以外には止められないだろうというのが大方の見解であろう。また、秋には40歳になるモズリーが全盛期の出来にないだろうというのも、否定しがたいところ。それでもモズリーを推すというのは、もはや意地になっていると見られても仕方がない。(ご存知のとおり、デラホーヤ戦以来5戦続けてパッキャオ負けで予想している)

モズリーのオッズが6倍で、ちょうどこれまでの負けを挽回できるオッズであるというのも一つの要因であるが、もう一つには、最近乗りに乗っていた選手が次々と敗れているということもある。確かにベルトvsオルティスは意外とオッズが接近していたが、ファンマ・サリドはオッズが立たない、つまりアクシデントなしにサリドが勝つとは思われていなかったのである。

こういうケースはツラが続くような気がする。もともと、体格に劣るパッキャオが勝ち進んできたのは、心技体の充実や参謀フレディ・ローチの手腕、対戦相手が名前の割に下り坂であったことなど複合的な要因によるもので、断然のfavoriteに支持されるべきものではない。本人もそういう意味のことを言っているように、常に厳しい相手との戦いであって、勝って当然などというマッチメイクではないからである。

一方、モズリーもあまり強調はできない。年齢のことは置くとしても、最近はフルラウンド動き続けることができない傾向があって、しかもサウスポーはあまり得意とはしていない。若いときから出来不出来の差が大きく、どちらかというと戦い方も横着である。

とはいえ、メイウェザー戦でも序盤に一瞬だけ主導権をとりそうな場面があった。マヨルガやバルガス、マルガリトをKOで沈めているようにパワーはスーパーウェルター上位のものがあり、パッキャオの出来が悪かった場合には主導権を握ることは十分可能である。

逆にパッキャオ側にとって、速さではこれまでの相手の中では上位、パワーでは最上位に当たる相手なので、作戦には一工夫必要だろう。少なくとも、ハットン相手の右フック、マルガリト相手のコンビネーションではモズリーに通じないとみる。モズリーが苦しむのは、むしろ昔ながらの踏み込み鋭い左ストレートのような気がする。

マッチメイク的には、パッキャオにここを勝ってもらってメイウェザーというのが主催者側の希望かもしれないが、そううまく行かないのはこのところの番狂わせが示すとおり。モズリーとしても、同じゴールデンボーイ・プロモーションのホプキンスがさらに年上でがんばっている以上、ここ一番できっちり仕上げてくるはずである。

 

WBO世界ウェルター級タイトルマッチ(5/6、米ラスベカスMGM)
マニー・パッキャオ O 判定(3-0) X シェーン・モズリー

今年のゴールデンウィークは出勤が多くて、一昨日から昨日までは泊まり。レジャーの予定もなくこの試合だけを楽しみにしてきたのに、多くの方の感想と同様期待外れの試合となってしまった。ファイトマネーをsuspendされるほどではないが。

WOWOWで浜田さんが言っていたようにモズリーは出来不出来の差が大きくて、こういう結果も当然予想された範囲なのだけれども、序盤にダウンを食らって手を出せないで終わるというのは昔のフォレスト戦と同様だし、サウスポー相手にジャブが出ないというのもよくあること。一体何の準備をしてきたのだろうというのが正直な感想である。

確かにモズリーはもうすぐ40歳になる。フルラウンド動けないのはここ1、2年の傾向だとしても、だったら序盤で逆に打って出る作戦もあったはずなのに、左ストレートでダウンを奪われると(このパンチが効いたのだけ予想が当たった)、腰が引けて逃げ回ってしまったのはいただけない。MGMグランドがブーイングだったのもやむを得ない。

35歳を過ぎてからマルガリト、マヨルガ、バルガスをKOしていたのだけれど、さすがにバーナード・ホプキンスのようには行かなかったということで、おそらくこの試合が最後の<本気の>世界戦ということになるだろう。

さてパッキャオ。前のコット戦、マルガリト戦と比べるとパンチに適確さがなかったのは、モズリーが専守防衛だったので仕方がない。そして相手が距離を詰めてこなければ、左右のフックやコンビネーションも当てにくい。だから左ストレートが鍵だと思っていたのだけれど、最初のダウンの後警戒されてしまい続くクリーンヒットがなかった。

その意味では、パッキャオにとってウェルター級はベストではないということで、格下の相手に今日のような試合をしていたらお客さんは徐々に離れていくだろう。だから今後のマッチメークは非常に難しいことになりそうだ。もしメイウェザー戦が組めるとすれば今のタイミングがベストであり、それ以外の適当な相手はなかなか思い浮かばない。

パッキャオが注目されるのは「小よく大を制す」からなので、いまさらティモシー・ブラッドリーやデボン・アレクサンダーと戦ってもどうかという感じである。また体格的にスーパーウェルター以上がきついのはここ数戦で明らかだから、セルヒオ・マルティネスやらポール・ウィリアムスという訳にもいかない。

パッキャオ陣営とすればメイウェザー戦の可能性を探りながら、「名前があって実力は下り坂」路線を継続するならフェザー級時代のライバルであるマルケス兄、モラレス、バレラとの再戦、再々戦あたりが今秋の照準となるのではないだろうか。個人的にはこのあたりのクラスなら、マルコス・マイダナ戦が面白いと思っている。