044 パッキャオ、リオスにワンサイドで復活 [Nov 23,2013]

WBOインターナショナル・ウェルター級タイトルマッチ展望(2013/11/23、マカオ)
マニー・パッキャオ(フィリピン、54勝38KO5敗2分け) 1.3倍
O ブランドン・リオス(米、31勝23KO1敗1分け) 5.0倍

パッキャオと互角の勝負をしたブラッドリーが下したプロボドニコフに、一方的に敗れたマイク・アルバラドと1勝1敗なのがリオスである。この比較からみると、パッキャオとリオスにはかなりの差があるようにみえる。

加えて、ここ数戦のパッキャオはウェルター級。リオスはアルバラド戦こそスーパーライトだが、それ以前はライト級で戦っている。パワー、耐久力の点でもパッキャオがややリードというのが大方の見方であろう。

しかしながら、この一戦はほぼ互角、オッズからみるとリオス買いではないかというのが私の見解である。

まず体格的な比較では、リオスの方が若干上背がある。パッキャオの主戦場はもともとフェザーからスーパーフェザーだったから、体格的にはむしろリオスの方にアドバンテージがある。27歳と伸び盛り、ライト級タイトルをウェイトオーバーではく奪されていることからみても、ウェルター級で戦うこと自体には不安はない。

次に、リオスの実力評価である。アルバラドにはKO勝ちの後、判定負けながら、打たれ強さをみるとリオスの方がやや上のように感じる。ブラッドリーvsプロボドニコフ戦にみられるように、ビッグネームにとって打たれても打ち返してくる相手は難しい。リオスの手数と打ち合いを辞さないスタイルは、パッキャオには脅威となるだろう。

そして最大の問題は、パッキャオがかつての調子で今回の試合に臨めるかということである。結局昨年は、ブラッドリー、マルケスに連敗。今年は試合をしていない。約11ヵ月というブランクは、デビュー以来初めてである。現在34歳、12月には35歳となるパッキャオが、再び上昇するかどうかは五分五分ではなかろうか。

戦前のインタビューでは、フレディ・ローチが「パッキャオはアウトボックスする」と言っているが、メイウェザーのように器用なアウトボクシングはできない。マルガリト戦では打たせずに打つボクシングをしたけれど、あれはマルガリトがおおざっぱだからできたので、リオスには同じことはできないだろう。

パッキャオが多くのビッグネームを倒してきたのは、ボクシングに勢いがあったからである。左ストレートにせよ、右フックにせよ、相手の反応を上回る踏み込みで急所に叩き込むことができたからこそ、これまでの試合ができた。頭のどこかでマルケス戦を覚えているとすれば、これまでのように踏み込むことができるかどうか。

もちろん、最近のボクシング界では35歳くらいではまだまだ衰えないという選手も多いし、パッキャオのブランクもちょうどいい休養期間になったかもしれない。だから勝負は五分五分。これだけオッズに差があるのならリオス買いとみる。もちろんKO決着が濃厚で、ラウンドunder9.5の1.5倍というのがお薦めかもしれない。

 

WBOインターナショナル・ウェルター級タイトルマッチ(11/24、マカオ)
マニー・パッキャオ O 判定(3-0) X ブランドン・リオス

一言で言えばリオスが弱かったということになるが、少なくとも序盤戦の戦い方によってはリオスにも十分にチャンスがあった試合。パッキャオはブランクの分動きが良くなかったし、ジャッジ2人が最大2ラウンドをリオスに与えたのは、おそらく4ラウンドまでであろう。私の採点でも119-109パッキャオ。

なぜリオスが初回から打ち合いに持ち込まず、ガードを固めて打たせる作戦をとってパッキャオを調子づかせてしまったかは疑問。勘ぐりようによっては、プロモーターから何か注文を付けられていたのかとみられないこともない。中国マーケットを開拓する試合なんだから、最初はいいところを見せてやってくれとか。

向かい合った瞬間に、マルガリト戦ほどではないが両者にかなりの体格差があった。リオスがパッキャオを攻略する可能性は、この体格差に慣れないうちにパッキャオに先制打を浴びせるしかなかった。実際、芯は食ってはいないにせよ、パッキャオはかなりいいパンチをもらっていた。序盤から総攻撃していれば、KOのリスクもあっただろうが、チャンスも十分にあった。

好意的にみれば、アルバラド2戦と世界タイトルマッチの他にはビッグマッチの経験に乏しいリオスが、リングジェネラルシップに劣ったということだろうが、普通に考えれば、慣れ親しんだいつもの戦法で戦わないことに何かのメリットがあったのだろうかということ。仮に裏目に出て2Rか3RでKOされたとしても、相手がパッキャオなのだから今後に響くこともない。

逆にこうした戦いぶりをしたことによって、せっかくアルバラド戦で上がった評価が元に戻ってしまった。アルバラドともども、世界の一線級で戦える選手ではなかったということである。つまり、パッキャオorブラッドリー>プロボドニコフ>リオスorアルバラドという式が成り立つということである。

一方のパッキャオ、序盤にはもたつきは見せたものの、中盤以降はワンサイドだった。とはいえ、相手がリオスだから楽な展開となったのであって、現役世界王者の誰とやっても今日の動きだと苦戦するだろう。

まず第一に、主武器である左ストレートも右フックも、ウェルター級以上の体格になると倒すまでには至らない。ブラッドリーはふらついてくれたが、彼はそれほど打たれ強い選手ではない。だからコンビネーションとディフェンスが大事になってくるのだが、もともとパッキャオは攻撃が最大の防御という選手であり、被弾ゼロという訳にはいかないのである。

また、スピードという点に注目が集まるが、動きのスピードはアレクサンダーやブラッドリーの方が上だし、ハンドスピードではメイウェザーやブロナーに敵わない。お互いに動く展開になった場合、ブラッドリー戦同様にこう着した試合となってしまうだろう。

ボブ・アラムによればメイウェザー戦に支障はないということであるが、いまの両者が戦った場合メイウェザーに負ける要素はほとんどないということになりそうだ。プロモーター間の確執もあるので、より実現性があるのはマルケス第5戦や、マカオに来ていたコット、プロボドニコフあたりだろうか。

個人的には、トップランク社のアジア進出にはうさんくささを感じているせいもあって、今回のパッキャオvsリオス戦は純粋には楽しめませんでした。