065 アルバレス、パワーでコットを圧倒 [Nov 21,2015]

WBC世界ミドル級タイトルマッチ(11/21、ラスベガス・マンダレイベイ)
ミゲール・コット(プエルトリコ、40勝33KO4敗)3.5倍
O サウル・アルバレス(メキシコ、45勝32KO1敗1引分け)1.4倍

155ポンドキャッチウェイトの試合をミドル級タイトルマッチと呼んでいいのかどうかは大いに議論のあるところだが、勝った方がGGGゴロフキンと戦うのであれば文句はない。その場合は157ポンドキャッチウェイトになるのだろうか。特に文句を言うボクサーもいないようだが、チャベスJr.がぎりぎり160ポンド作れる状態でなかったのがむしろ幸いということかもしれない。

コットも35歳。ケルソン・ピントをKOしてスーパーライトのタイトルを獲ったのが2004年だから、もう11年前になる。その頃予想されたように人気ボクサーとはなったが、ティト・トリニダードに匹敵するほど強かったかといえば、それほどでもない。私のイメージでは、エステバン・デ・ヘススよりやや上でウィルフレッド・ベニテスとほぼ同じというところである。

その評価も、もしこの一戦で勝てば修正する必要が出てくる。というのは、コットの評価がそれほどでもない最大の理由が、実力伯仲と思われたビッグマッチにほとんど勝てないというところにあったからである。

かつてマルガリトにKO負け、パッキャオにKO負け、メイウェザーにも敗れた。必ずしも一流チャンピオンとはいえないオースティン・トラウトにも敗れてコットももう終わったと思われていたところ、昨年セルヒオ・マルティネスに勝ってミドル級チャンピオンとなり四階級制覇、再浮上を果たした。

マルティネス戦からコンビを組んでいるフレディ・ローチとの相性も良かったのだろう。初防衛戦のダニエル・ゲールを全く寄せ付けずにKOした試合はよかった。一時期のパッキャオ的な雰囲気もあり、カネロとしても油断はできないものの、やはり気になるのは基本的にミドル級の体ではないということである。

スーパーライト時代から減量苦が伝えられていたし、パッキャオのようなシェイプアップされた体を計量で見せたこともない。逆に、シェイプアップされたコットは想像できない。公称では身長170cmだがおそらくそんなにはないし、170あったとしてもミドル級では小柄である。

かたやカネロ・アルバレスはまだ25歳。メイウェザー戦ではキャリアのなさも影響してあと一歩の踏込みがなく、メイウェザーの老獪さにしてやられてしまった。再起後は3連勝。ディフェンシブな戦いに終始して打ってこなかったエリスランディ・ララには判定だったが、アングロ、カークランドはKO結着。そろそろ大舞台に戻ってきていい時期である。

アルバレスも175cmとミドル級ボクサーに混じると体格的なアドバンテージはないが、首が短く肩幅もあり、体の厚みもある。ディフェンスも巧みで打たれ強さもあるので、GGGとやって勝負になるのはカネロの方だろう。ただ、コットにあってカネロにないのは、スピードである。マルティネスのようにまともに左フックをもらうことはないとは思うが、やはり警戒すべきではあろう。

とはいえ、コットにはメイウェザーほどの老獪さはないので、カネロがいつものようにディフェンスを固めつつプレッシャーをかけていけば、それほど紛れがあるようにも思えない。判定でカネロを予想するが、もしかすると中盤KOもあるかもしれない。

そしてこの興行のセミファイナルでは、帝拳の三浦隆司チャンピオンが、メキシコの全勝ホープ、フランシスコ・バルガスと防衛戦を行う。バルガスはファンマを序盤KOしているので楽な相手ではないが、この晴れ舞台をいい試合で防衛し、次のビッグマッチにつなげてほしいところである。

 

WBC世界ミドル級タイトルマッチ
サウル・アルバレス O 判定(3-0) X ミゲール・コット

私の採点は117-111カネロ。コットに振ったラウンドは1、5、10Rで、1Rは10-10もあるかと思ったので、それをカネロに振ればジャッジとほぼ同じ採点だった。だからWOWOWでジョーさんが1~3をずっとコットに振っているのを見て、多分違うだろうと思っていた。

カネロとコットの差は、やはりパワーだった。コットも鋭いコンビネーションを見せてはいたものの、カネロの出足をそぐぐらいの効果しかなく、一方でカネロの一発は、コットがその効果を殺してはいたものの、芯まで効きそうなパンチであった。

中盤7Rあたりでは、カネロが決めてしまうのではないかと思ったが、さすがにコット、9Rくらいからは盛り返して、終盤では五分五分の展開となった。これは、カネロがいいパンチを食らうと手が止まってしまうことに起因していて、ジョーさんのいうようにメイウェザー戦から進化していないということになるだろう。

10Rにコットが反撃していいラウンドを作ったことにより、カネロも追い込む(倒す)意欲がなくなってしまった。これがカネロのいいところでもあり、悪いところでもある。打たれすぎないことはボクサー生命を長持ちさせるのは間違いないが、紙一重の勝負になった場合、必ずしもいい点ばかりではないだろう。

カネロの出来はメイウェザー戦より良かったし、コットの出来はパッキャオ戦よりも上であった。コットもこのくらいの動きができれば、パッキャオにもマルガリトにも負けなかっただろう。とはいえ、今回も1階級下のウェイトでおさめたように、本来はミドル級の体格ではなかったということである。

試合後のインタビューでは、カネロはGGGとの対戦に前向きの姿勢のようである。だが、現時点でGGGとカネロとでは、ミドル級における実績がかなり違う。本当のことを言えば、カネロにはもう少しミドル級における実績を積んでからGGGというのが望ましいと思われる。

いずれにしても、カネロもコットもコンディションがよく、きびきびしたいい打ち合いが見られた。ダウンの応酬こそなかったものの、試合内容としてはメイvsパックより上であり、今年のベストバウトといっていいのではないだろうか。

ダウンの応酬といえば、三浦は残念な結果。何と言っても1Rに受けそこなったダメージが最後まで響いた。反射神経は途中でやや持ち直したように見えたが最後までおかしかったし、左の軌道もおかしかった。基礎的な体力やパンチ力では上回っていたように思うので、日本で再戦すれば勝てるだろう。ただセニョール本田がオプションをどのように使うつもりなのか、興味深い。