063 河野 beats 亀1 @シカゴ [Oct 16,2015]

WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ(10/16、米シカゴUICパビリオン)
O 河野 公平(ワタナベ、30勝13KO8敗)
亀田 興毅(ヘイモン、33勝18KO1敗)

世界的なビッグマッチの前日に、日本ローカルで注目を集めるこの一戦。一言でいえば何年か前にピークを過ぎてしまった両者の、劣化度を測る戦い。どちらも負けそうだが、予想としては弟2人が負けている亀1の負けにツラを張ってみたい。

亀1のバンタム級は、モレノがスーパーチャンピオン時代のレギュラーチャンピオンで、戦った相手も一流クラスはおらず、評価するにあたらない。WBAレギュラー王者がすべてそういう体たらくではなく、キース・サーマンとかスコッド・クィッグとかちゃんとしたチャンピオンもいるから、これは本人の責任だろう。

そのバンタム級で最後の試合、Boxrecに写真も載っていない急造ランカー相手に、ダウンを奪われてスプリット・デシジョンだから実質は負け。その後調整試合まで1年開いて、さらに今回まで1年開いた。「練習しなくても勝てる」と言っているくらいだから本当にしていないんだろう。

かたや河野、ノンストップで打ちまくるアグレッシブさは2008年の名城戦あたりがピークで、ロハス、佐藤、戸部と3連敗したあたりでは、完全に終わったと思われた。昨年になってデンカオセーンに勝ってチャンピオンになったものの、いいのがうまく当たっただけのようにも思うし、その半年後に松本亮にあっさりKOされたデンカオが往年のデキにはなかったともいえそうだ。

繰り返しになるが、両者ともかつての力がないだけに、モチベーションの有無が勝敗を分けそうだ。亀1にとってはここで負けると兄弟揃ってリリースされるという危機、河野にとっては何度も世界戦の機会を作ってくれた会長への恩返し、どちらともいえないが、亀1が足を使って丁寧に戦えるとは思えない。まともに打ち合ったらいくらなんでも河野だろう。

 

WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ
河野公平 O 判定(3-0) X 亀田興毅

オッズを聞いた時は、ラスベガスまで買いに行こうかと思った。興毅1.1対河野7.0などというハンデはありえないからである。おそらく、河野ファンはスポーツブックなど買わないが、亀ファンには大口投票をする人がいるのでこうなったのだろう。(念のためいえば、William Hillなど「まともなところ」はこの試合のオッズは出していない)

試合展開はほとんど予想どおり。興毅は足を使えないだろうと予想したがその通り。打ち合いになったらいくらなんでも河野というのも予想どおり。あとはお互いのモチベーションと打たれ強さの勝負となった。

興毅はバンタム級最後の防衛戦ほどひどくはなかったが、ほとんど一本調子の河野に対して打ち合いという最も相手が望む対応をしてしまった。ラスベガスでサラストレーナーに教えてもらって、「もう少し早く教えてもらっていたら」と言ったというけれども、そんなことは十年前から分かっていたことである。(10年前の当ブログにこんなことを書いている)

ちなみに、私の採点は115-109河野。試合としては、両者ほとんど休まずに打ち合ったのでスリルがあった。河野が効いたのは3回くらい、興毅が効いたのはダウンも含めて4回くらいで、これも河野の優勢。もらったダメージも、顔のハレをみれば明らか。そして、河野が2Rに受けたローブローはかつて多くの外国人選手が煮え湯を飲まされたもので、中立レフェリーでやれば当然反則である。

興毅に内藤戦の頃の力が残っていれば、足を使って河野の前進をいなし、細かくジャブを当て(もちろんガードの上に)、ポイントアウトしてチャンスにカウンターを決めることができたかもしれない。そうされた場合、河野には作戦の引出しがないから、逆の結果が出たことは十分ありえることだったと思う。

しかし、興毅にはそれができなかった。力が衰えていることが一つと、成長期にきちんとしたトレーニングをせず、日頃の生活から節制していなかったからである。私は、いくら態度が悪くても、コミッションといざこざを起こす人間であっても、ボクシングが強ければすぐれたボクサーであると以前から思っている。

例えばメイウェザーの性格の悪さは有名だし(なんたって「カネの亡者」である)、マイク・タイソンは禁治産者かつ性格破綻者である。エドウィン・バレロに至っては家庭内暴力の末に奥さんを殺して自分も死んでしまった。それでも、彼らがすぐれたボクサーであることには誰も異議をはさまない。リングの上で文句のつけようのない実績を示したからである。

亀田ブラザースを私が(そして多くの人々が)評価しないのは、リング外のパフォーマンスは達者だが肝心のボクシングがつまらないからである。これは、長男、次男、三男いずれも同じである。でも、少なくとも長男は、きちんとトレーニングすればそれなりのものを見せてくれたと思うけれど、十年遅かったようである(どうやら引退らしい)。

一方の河野。とにかく全米TV放映のある(あったと思う)試合で勝てたことは、本人にとっても、ジムメイトの内山にとっても、意味のあることだったと思う。ただ、今回は劣化度において亀1が上回っていたというだけのことで、河野が力を付けたということではない。残念ながら、他団体のどのチャンピオンとやっても劣勢だろう(もしかするとフライ級のチャンピオン達にも)。

あと、米国のリングで日本人選手同士が戦うというのは、やはり無理があったと思う。レフェリーが何を注意していたか二人には分からなかったと思うし(なにしろ河野は、「Still」とアナウンスされているのにきょとんとしているし)、「クリーンにファイトしないと試合中止だ」と言われた後、相手のバッティングやローブローのアピール合戦になってしまったのは、完全にレフェリーの趣旨を分かっていない(あのレフェリーも?だが)。

最後にもう一つだけ。テレビ東京でインターバルに流したスニッカーズの宣伝のセンスの悪さにはあきれた。あのCMを見て、スニッカーズに好意を持つ人が何人いるのだろうか。