064 ロマゴン、GGG@MSG [Oct 17,2015]

WBC世界フライ級タイトルマッチ(2015/10/17、米ニューヨークMSG)
O ローマン・ゴンサレス(ニカラグア、43戦全勝37KO)1.12倍
ブライアン・ビロリア(米、36勝22KO4敗) 9.0倍

今週のMSG興行、メインイベントはGGGゴロフキンの統一戦なのだが、残念ながら勝敗はほぼ見えている。こちらもゴンサレス有利は動かせないものの、ビロリアが簡単にやられるとも思えないところが注目である。

ビロリアの4敗の中には、ファン・フランシスコ・エストラーダとエドガル・ソーサが含まれている。この2人とも、ゴンサレスはすでに下している。この比較からすると、ゴンサレスの勝ちはまず動かないと思われるのだが、一つ考慮しなければならないのは体格である。

ビロリアの4敗のうち3敗はライトフライ級時代のもので、その頃から減量苦がパフォーマンスを下げていると言われていた。フライ級に上げて(戻して)からは、ジョバンニ・セグラ、オマール・ニーニョ、エルナン・マルケスをKO、エストラーダ戦もスプリット・デシジョンである。エトスラーダとロマゴンが小差判定だから、これを物差しにすると二人の差はそれほど大きくはないと考えることも可能である。

一方のゴンサレスは、ご存じのとおりミニマム級スタート。20歳前から戦っているから体の成長はあるとしても、フライ級、スーパーフライ級あたりはそろそろ体力的なアドバンテージが少なくなる。そして気になるのは、ゴンザレスは「攻撃は最大の防御」で勝ち進んできた選手なので、これまで何度もパンチをまともにもらうことがあったことである。

ここ数戦の体つきをみると、フライ級ではややゆったりした体、有体にいえば本来もう少し絞れるように見えるので、パワーバンチをまともにもらえばやっぱり効いてしまうことはありうる。とはいえビロリアも34歳、ピークは過ぎたとみているので、全米進出の成功に向けてロマゴンKO勝ちが妥当な予想か。

それにしても、ロマゴンがこのままPPVで戦っていけば、いずれメイウェザーの勝ち星を上回ることになるが、さてどうなるか。

 

WBC世界フライ級タイトルマッチ(10/17、米ニューヨークMSG)
ローマン・ゴンサレス O 9RTKO X ブライアン・ビロリア

ビロリアでさえ八重樫状態になってしまうのだから、ゴンサレス恐るべしである。過去50年で私が見聞きしたフライ級ボクサーの中でも、文句なしに最強である。

今回のビロリアはいいコンディションを作ってきていて、1Rのコンビネーション、特にロマゴンのボディを攻めた左フックにはパワーがあったし、ロマゴンも面食らったようである。しかし、それでも全くあわてないのがロマゴンである。2Rにビロリアの手が止まると逆に細かいコンビーションを叩き込み、以降はロマゴンのペースで試合が進められた。

それでも、ロープに追い詰められると足を使って立て直し、パワーパンチを返していたビロリア。さすが2階級王者というところを見せたけれども、7R以降は手が止まったらTKOという状態となり、最後はレフェリーが割って入った。

ロマゴンの未知数な点として打たれ強さがあったのだけれど、今回ビロリアにかなりいいのをもらっていたにもかかわらず、それほど効果があったようには見えなかった(試合後に、「ビロリアに打たれて痛かった」とインタビューに答えていたようだが)。となると、ほとんど弱点はないということになりそうである。

次はエストラーダとの再戦になるだろうが、おそらく問題にしないだろう。タイでアムナットとやれば多少は苦労するだろうが、それでも勝ちは動かない。ゾウシミン、井岡あたりでは相手にならない。結論としてフライ級には敵はなく、あとは階級を上げて、体格差のある相手とどう戦うかということになりそうだ。早くメイウェザーの無敗記録に並んでほしいところである。

WBA/WBC/IBF世界ミドル級タイトルマッチ(同)
ゲンナディ・ゴロフキン O 8RTKO X デビット・レミュー

ゴンザレスが盤石の勝ち方だったのに対し、ゴロフキンの防衛は薄氷だった。試合自体はゴロフキンの圧勝で間違いないのだけれど、今日の相手がホプキンスだったら、よくてノーコンテスト、悪くすると反則負けになるところであった。

(ちなみに、レミューはゴールデンボーイ・プロモーションの所属であり、ホプキンスも試合前にリングに上がっていた。自分だったらと思っただろうか。)

いうまでもなく、5Rのダウン後の加撃である。確かにボディブローだったので一瞬置いて膝をついたし、ゴロフキンもパワーパンチを入れた訳ではないものの、それでも反則は反則。あれでレミューが倒れたら、レフェリーがどう判断したかは分からない。

ホプキンスは同様のケース(チャド・ドーソン第一戦)で続行不可能を主張し、後にノーコンテストとなっている。そういえば、ロイ・ジョーンズ全盛期に喫したただ一つの負けは、ダウン後加撃による反則負けである。

なぜああいうパンチを入れてしまったのかというと、ゴロフキンに余裕がなかったからである。14連続KO防衛中(これで15連続)の安定チャンピオンなのに、なぜこんなに必死になるんだろうと思うほど、試合中のゴロフキンには余裕がない。相手にペースを握られたらやられると思っているのだろうか。もっとリラックスして休むラウンドを作ったり、急に攻勢をかけたり、チェンジ・オブ・ペースがあってもいいと思う。

ゴロフキンは、この間までマルティネスがこのクラスの中心であったので、ポール・ウィリアムスとも、チャベス・ジュニアとも戦っていない。ウィリアムスのような体格のある相手、ホプキンスのようなダーティーな相手、ロナルド・ライトのような変則サウスポー、そしてロイ・ジョーンズのような天才と対した時にゴロフキンが対抗できるかどうかは、まだ何とも言えない。

ゴロフキンがかわいそうなのは、コットとアルバレスのどちらが勝つとしても二人とも本当のミドル級ではないし、やってくれそうなアンドレ・ウォードは8ポンド(4kg)上ということだろう。普通ならミドル級には強い奴がごろごろいてビッグマッチが可能なのに、たまたま現在はスーパーウェルター以下とスーパーミドル以上に集まってしまって、ミドル級が一種の空白区となっているのである。