069 ロマゴン、大苦戦も4階級制覇 [Sep 10,2016]

WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ(2016/9/10、米イングルウッド・フォーラム)
チャンピオン カルロス・クアドラス(35勝27KO1引分け)7.7倍
O挑戦者 ローマン・ゴンサレス(45戦全勝38KO)1.14倍

9/10は英米で注目のビッグマッチが行われる。こちらはロマゴンの4階級目の挑戦。ただし、ミニマムからスーパーフライまでのウェイト差は10ポンド、ウェルターとミドルの差は13ポンドだから、単純計算はできないにせよケル・ブルックは大したものだということはいえそうだ。

無敗のチャンピオンに挑戦するのに、圧倒的なFavoriteだからさすがにロマゴンである。全勝全試合1RKOで日本に現れたのは10年前、まさか超軽量級で世界的なビッグネームになるとは思わなかった。そして、この分でいくと再来年あたりにメイウェザーの無敗記録に並ぶ。そうなるとメイウェザーは意地でもカムバックということになるのだろうか。

さて、フライ級でさえ余裕含みの体をしているロマゴンがまた1階級上げるのは、ビッグマッチの相手がいないからというのが唯一の理由だろう。とはいっても、スーパーフライでも相手になりそうなのはクアドラス、井上とオマール・ナルバエスくらいで、わざわざクラスを上げてもビッグマッチというのはそうなさそうなのは気の毒だ。

フライ級のウェイトを作るのは難しくないはずだから、4階級の後は再びフライ級に戻って、エストラーダとかカシメロ、ゾウ・シミンあたりと戦う方が本人にとってメリットは大きいしリスクも小さいと思われる。

さて、ロマゴンの魅力といえば何と言っても攻撃力だが、ミニマム時代に高山、ライトフライではエストラーダ、フライ級では前の試合のアロヨに判定決着となっているように、それなりの相手となるとそう簡単には倒せていない。だから今回のクアドラスもKOできないのではないかと思う。

ところが、それらの判定決着でも、ロマゴンがあまり苦しんだという印象はない。確かにクリーンヒットは許すのだが、芯で食うことはほとんどないので、顔を腫らしたこともない。大田区体育館の八重樫戦でも、八重樫は結構いいパンチを決めていたように見えたのだが、後からVTRでみると見た目ほど効いたパンチはない。つまり、ロマゴンは攻防兼備なのである。

ロマゴンの攻撃をかわし続ければ勝てるのなら相手にチャンスはあるが、ロマゴンは無理に倒しに来ないし長丁場も平気である。少なくともロマゴンに出て来させない、できれば下がらせるだけの攻撃力がないと、ポイントを取るだけでも相当大変である。

かたやクアドラス。無敗のチャンピオンにして圧倒的なUnderdogは結構プライドが傷ついているのではないか。とはいえ、勝った相手でそこそこ一流といえるのはルイス・コンセプションくらい(でも、河野といい勝負)で対戦相手の比較でもロマゴンに劣る。もちろん、ここで勝てば一気に世界のビッグネームだから、モチベーションは間違いなく高いはずである。

体格的にはロマゴンを上回るし、ロマゴンの体は絞れていない。であれば、勇気を振り絞ってボディを攻めてほしい。これまでの相手はロマゴンの攻撃を恐れてボディ攻めを徹底できていないし、メキシカンであればボディ打ちはお手のものである。おそらく、クアドラスの突破口はそこにしかない。

まさかそんなことはないだろうが、何の工夫もなくロマゴンと打ち合えば、パワーの差、ディフェンスの差でいずれはロマゴンのペースとなる。クアドラスが勝つためには、前半でボディを効かせて、ロマゴンを出て来れなくするしかないと思うのだが、さてどうなるか。

ロマゴンの4階級制覇を予想するが、決着は7割方判定になると思う。

 

WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ(9/10、米イングルウッド・フォーラム)
ローマン・ゴンサレス O 判定(3-0) X カルロス・クアドラス

私の採点は116-112ロマゴン。高柳さんが「New!」と聞いて「怪物敗れました」と絶叫してしまったのはご愛嬌としても、117-111がいて3-0判定ならロマゴン勝ち以外はありえない。

WOWOWの採点は両者帝拳ということに遠慮したのか、クアドラスを贔屓した判定を付けていたが、6ラウンドまではほぼロマゴンのラウンド。確かに空振りが多くいつもの追い上げがきかなかったロマゴンだが、クアドラスをロープにつめてクリーンヒットを奪っていた。いくらジャブ重視の北米とはいえ、クアドラスの逃げ足と逃げジャブにポイントはつけられない。

ところが7R以降、ロマゴンが急激に失速した。追い足が鈍ってパンチが出ないところをクアドラスに反転攻勢を受け、まともにパンチをもらっていた。このままラストラウンドまで進めば、ジャッジの2人くらいは引分けにつけるかもしれないと思っていたら、11R中盤以降クアドラスもいっぱいになってしまった。

ロマゴンがこれほど苦戦した最大の理由は、ウェイトだろう。ミニマム級から上がってきたボクサーはこのあたりが体力の限界のはずで、ロマゴンも体格に勝るクアドラスからダウンを奪うことはできなかった。ただ、これは当初から予想できたことで、今回の場合、これまで鉄壁だったディフェンスが破られたという意味は大きい。

つまり、同じように防御していたとしても、相手の体が大きくてパンチにパワーがあれば、ダメージは大きくなるという当り前といえば当り前の話である。それも、ハンドスピード重視で手打ちのクアドラスのパンチにあれだけ顔を腫らしてしまったということは、このクラスはちょっと厳しいとみるのが妥当ということになる。

ただし、今日の苦戦をみて、エストラーダやカシメロ(今日の英国の試合でKO防衛)が名乗りを挙げてくることは十分に考えられるし、フライ級に戻った方がロマゴン本人にとってもファンにとってもいいことのように思う。軽量級では仕方のないこととはいえ、相手が少しでも大きくなることでKOが難しくなるし、ロマゴンの魅力は一にも二にもKOなのである。