070 GGG、ブルックも相手にならず [Sep 10,2016]

WBC/IBF世界ミドル級タイトルマッチ(2016/9/10、ロンドンO2アリーナ)
Oチャンピオン ゲンナディ・ゴロフキン(35戦全勝32KO)1.17倍
挑戦者 ケル・ブルック(36戦全勝25KO)6.9倍

WOWOWによると、9月はボクシング祭りだそうである。確かにこれから3週間、好カードが目白押しであるが、その中でも注目なのはGGGとロマゴンであることは言うまでもない。この両者は3試合前から同日にカップリングされてきたのでローテーション的に一緒にはなるのだが、今回はともに無敗の相手との対戦で、絶対とは言い切れない要素がある。

カネロvsアミール・カーンが「階級を超えた対決」というキャッチフレーズだったが、あの試合はキャッチウェイト(スーパーウェルター+1ポンド)で厳密にはミドル級とはいえない。この試合は本来のミドル級の戦いで、まさに階級を超えた戦いとなる。ただし、ケル・ブルックはいずれ階級を上げたことは間違いないので、全く勝負にならないとはいえない。

それでも、GGGが有利であることは間違いない。ケル・ブルックはショーン・ポーターと僅差の判定であり、KO率も6割程度とウェルター級にしては特に高くはない。つまり、体格差がない相手であっても倒し切るところまでは難しいということであり、パワーではGGGに一歩も二歩も譲ることになるのではないだろうか。

かと言って、ブルックは足を使ってうまく戦うという選手ではない。仮に足を使えたからといって12RにわたってGGGをかわすことは難しいとみているが(その意味で、エリスランディ・ララとGGGは結構面白いかもしれない)、ブルックの場合は攻撃力で相手を上回って押し切るパターンなので、正面切っての打ち合いではどうかという懸念がある。

ではGGGには死角はないのかというと、必ずしもそうではなかろうと思う。まず挙げられるのが、攻撃力に自信があるものだから無造作に打たせるところがあるということ。これまでの相手は、腰が引けてきちんと打てなかったが、ブルックはそういうことはないだろう。間違いなく、決して大きくはないチャンスを広げるべく狙ってくるはずである。

もう一つは、GGGはワンパンチで決めるタイプではなく、連打で攻めるタイプだということである。また、相手の打ち終わりを狙うことがない訳ではないが、やや攻防分離のきらいがある。打ち合いの中でカウンターを狙ってくるということは必ずしも多くはない。

だから、クラスはかなり違ってしまったが、アンドレ・ウォードのようなタイプと戦って倒せるかというと、それほど楽ではないような気がする。現在のミドル級は、マルティネスが引退し、その前にはウィリアムスが交通事故に遭い、コットやアルバレスはキャッチウェイトでしかやらないなど、一流のチャンピオンクラスが見当たらないクラスなのである。

ただ、私が思うに、GGGは無敗記録の継続は気にするだろうけれども、ウィルフレッド・ゴメスの連続KO記録にはあまりこだわっていないのではないか。記録記録と騒いでいる人はいるけれども、もともとクラスが違うし、相手も違う。ミドル級のような歴史のあるクラスで、これだけ無敗で防衛記録を伸ばしていることの方が価値があるはずである。

一方のブルック、時間さえかければ、ミドル級タイトルをFavoriteで戦うことはそれほど難しくはなさそうだ。1ヵ月前計量で、GGGよりもウェイトが上だったというのも面白い。とはいえ、ミドル級の相手と、それも一流のチャンピオンと、チューンナップマッチなしに戦うというのは、いかにも準備不足である。

上にあげたようにGGGのボクシングには付け入る隙がない訳ではないので、打たせずに打つことを徹底できれば、逃げ切るチャンスはないとはいえない。例えば、ロイ・ジョーンズがジョン・ルイスに、パッキャオがマルガリトに勝ったような戦い方である。幸いにブルックとGGGにはそれほどの体格差はない。

とはいえ、GGGはジョン・ルイスやマルガリトのように動きが鈍いことはないし、体格差がない分打ち合いになった場合に的も大きい。あれこれ考えるとGGGの防衛は9割方堅いと思うが、何とかブルックにがんばってほしいと思ってしまうのは仕方のないことかもしれない。

 

WBC/IBF世界ミドル級タイトルマッチ(9/10、ロンドンO2アリーナ)
ゲンナディ・ゴロフキン O TKO5R X ケル・ブルック

ウェイトではむしろブルックの方が上だったのだが、パワーの差が歴然であった。ゴロフキンは例によってプレッシャーをかけてパワーパンチを打ち込み、ブルックは2Rまでは果敢に打ち返して試合を盛り上げた。しかしながら、ゴロフキンのパンチはブルックを倒しそうなのに対し、ブルックのクリーンヒットはブロフキンにダメージを与えることができなかった。

ゴロフキンもかなり被弾しており、クリーンヒットは4、5発ではきかなかったように見えたが、特に顔を腫らすこともなく、これまでの試合に比べてもダメージは少なかった。逆に、1、2Rでブルックのパワーを見切ってしまい、3R以降はお構いなしに前進したのでそうなってしまったという見方もできる。

ブルックとしては、攻撃力でゴロフキンに及ばず、ディフェンスでも対抗できないとなると、残念ながら今回は勝ち目がなかった。予想記事でお伝えしたように、ウェルター級でもきっちりKOで仕留めるだけのパワーはないので、いきなりミドル級は無理だったとしか言いようがない。

とはいえ、ここまでウェイトを上げてしまうと、ウェルターに戻すのは難しい。今後はスーパーウェルター級が主戦場になるのではないだろうか。現在、ウェルター級のライバルはキース・サーマン、ショーン・ポーター、ダニー・ガルシア。そしてスーパーウェルターにはカネロ・アルバレス、チャーロ兄弟とエリスランディ・ララがいる。スーパーウェルターの方が、ビッグマッチのチャンスが大きそうだ。

さて、ゴロフキン。これで世界戦17連続KO防衛となるが、今回の防衛戦をWBAは公認しなかったので、次の防衛戦はWBAが17度目、WBCが6度目、IBFが4度目となる。連続KO防衛記録などと騒ぐのは日本だけのような気がしてしようがない。連勝記録、連続KO記録だけで十分ではないだろうか(と書いていたら、WOWOWでも言っていた)。

予想記事の繰り返しになるが、ゴロフキンには無造作にパンチをもらうという課題があるので、打たせずに打つアンドレ・ウォードのようなタイプとか、体格的に上回るポール・ウィリアムスのようなタイプが出てきたら面白い。個人的には、カネロよりも、エリスランディ・ララとやってほしい。

もう一つ課題があるとすれば、年齢。なんと私と同じ誕生日のGGGは、私より四半世紀遅れて生まれたので、来年35歳になる。比較的年齢層の高い中重量級とはいっても、30台後半になって力を維持するのは容易ではない。セルヒオ・マルティネスも、35歳を過ぎてめっきり老け込んだ。