073 GGG、WBA統一戦 [Mar 19,2017]

WBA・WBC・IBF統一世界ミドル級タイトルマッチ(3/18、ニューヨークMSG)
O ゲンナディ・ゴロフキン(36戦全勝33KO)1.12倍
ダニエル・ジェイコブス(32勝29KO1敗)6.0倍

メイウェザー引退後のP4P(パウンド・フォー・パウンド)の呼び声高いGGGであるが、それほど圧倒的なオッズとはなっていない。言葉は悪いけれども、日本で行われる山中や井上のタイトルマッチより勝負に関心を持たれているということである。

それはなぜだろうと考えてみると、連続KO防衛を積み重ねてはいるものの、GGGの試合振りはそれほど圧倒的とはいえないのである。1発で決めるカウンターがある訳でもなく、強烈なパワーがある訳でもなく、際立ったテクニックがある訳でもない。基本はインサイドに入っての連打なので、接近するまでに被弾がある。GGG自身、全くきれいな顔で試合を終えることは少ない。

だから、モンソンのようなタフネス、ハグラーのようなパワー、ロイ・ジョーンズのようなカウンターの打てる相手にどうなのか考えると、未知数ということになる。せめて、マラビージャ・マルティネスやポール・ウィリアムスと対戦の機会があればその疑問はクリアできたかもしれないが、残念ながら対戦することはなかった。

ある意味、ライバル不在の名王者ということになるのかもしれないが、それでも、現時点における対抗王者はジェイコブスとソーンダースしかいないので、最強の相手ということになる。GGGが敗れるとすれば打つ前に打たれて倒れる場合だろうと思っているので、可能性としては全くないとはいえない相手である。

そのジェイコブス、1敗したのはかつてのチャンピオン、ディミトリー・ピロフのみ。2010年の話だからGGGが売り出す前である。そのピロフ戦以降12連続KO勝ち。その中にはピーター・クイリンやセルヒオ・モーラが含まれている。

とはいえ、大陸をまたいで世界上位ランカーをなぎ倒してきたGGGと比べると見劣りするのは明らかで、年齢も似たようなものなので上昇度もさほど強調できない。可能性はなくはないが、倒される可能性はさらに大きいと言わざるを得ない。

GGGも30代半ばにさしかかり、これからのライバルは若くて威勢のいい連中になるだろう。すでに名前のあるカネロ・アルバレスがリスクを冒すことは考えにくいが、チャーロ兄弟はじめ、このあたりのクラスでビッグマネーを求めて立ちはだかるであろう候補は少なくない。今回はGGGがKO勝ちするとみるが、ここ数戦の間にも危ない試合はありそうである。

WBA・WBC統一世界ミドル級タイトルマッチ(3/19、ニューヨークMSG)

ゲンナディ・ゴロフキン O 判定(3-0)X ダニエル・ジェイコブス

私の採点は116-111ゴロフキン。ジャッジ採点は1、2ポイント多くジェイコブスに振っていたが、地元だそうだからそれくらいは仕方がない。ゴロフキンの連続KO防衛記録はウィルフレッド・ゴメスに並んだところで途切れた。

ゴロフキンが右のダブルでダウンを奪って以降、ジェイコブスが左にスイッチしてディフェンシブな戦い方となった。それから後はゴロフキンも攻めあぐねてラウンドを重ね、決定的なラウンドを作ることはできなかった。オッズ通り、ジェイコブスは実力者だったということだろう。

予想記事にも書いたように、ゴロフキンのファイトには圧倒的な要素がそれほど多くはない。これまで重ねたKO記録も、渕上や石田が含まれていることから明らかなように、相手に恵まれたといえなくもない。だから今日のような判定防衛も、本来ならもっと早くあっておかしくなかった。

個人的には、連続KO防衛「記録」なんてものにほとんど意味はなく、誰にどういう内容で勝ったかということが重要なのである。その意味で、高いKO率を誇るジェイコブスにダウンを与えて判定勝ちという結果は尊重すべきであるし、現在のミドル級における最強選手であることも確かである。

一方のジェイコブス。左構えとしたことでKO負けは回避できたが、力のある速射砲連打が出せなかったことで、勝つチャンスもまた小さくなってしまった。スケールを小さくしたコバレフvsウォードのような感じで、ウォードのような戦い方ができれば僅差判定を持って行けたのかもしれないが、サウスポーにした時の攻撃力のなさが響いてしまった。

採点としては競っていたこと、ゴロフキンがKOできなかったことで、再戦という話が出てくるだろう。ただでさえゴロフキンの相手はいないのだから、今回のように150万ドルのファイトマネーということになれば、ジェイコブスも断る理由はなさそうだ。チャーロ兄もミドル級に慣れるには時間がかかるだろうし。

もう一つ、WOWOWでは空いたWBAレギュラー王座に村田が挑戦という伏線を張っていたが、クラス最強のチャンピオンを標的としないという時点で、ボクサーの志としてどんなものなんだろうかと気になった。