043 浅草橋のあぶない人々~せいうち日記43 [Jun 2, 2011]

私が通勤に使っている北総線は、高砂から京成線になり、押上から都営浅草線になる。さらに泉岳寺から京浜急行となり、成田空港から羽田空港まで東京を横切って走っているのであるが、私の通常の経路は浅草橋からJRに乗り換えて新宿方面に向かう。

都営浅草線といえば、30年前には少々雰囲気の違う地下鉄であった。日本橋から銀座にかけて営団銀座線と並行して走っており、この地区に通勤する人は銀座線と都営浅草線のどちらを選んでもそれほど違いはなかったのであるが、あえて都営線で通う人はいなかった。電車の雰囲気、駅の雰囲気、乗客の雰囲気、すべて違ったからである。

(そういえば、当時は阪神間の北の方を走る電車と南の方を走る電車についてもそういうことが言われていた。)

さて、浅草橋でJR・都営浅草線を乗り換える乗客の中に、これはちょっとあぶないのではないかという人がいた。年齢は私と同じくらい(50代半ば)の男性で、一見サラリーマンのようなスーツを着ているのだが、階段を上り下りする間、断続的に「うぉーーっっ」と大声を上げるのである。

後ろからこれをやられたら、びっくりして階段を滑り落ちる人がいないとは限らず、大変に危ないことだと思って見ていた。この人は都営線のホームの端の方でも引き続き大声を上げており、時折興が乗るといきなり腕立て伏せすることもあった。この後、泉岳寺方面の電車に乗るのだが、一緒の電車の人は災難だなぁと思ったものであった。

気が付くとこの人を見ることが少なくなり胸をなでおろしていたところ、最近になって新手が現れた。今度は40代くらいの背の低い女性で、やはりスーツを着ているのだが、前任者と同様数十メートル先にまで響き渡る大声を上げ続けるのである。そして前回は意味不明の大声だったが、今回は周囲の人たちを大声で罵倒しているからやっかいである。

「どけおらーー」「もたもたあるいてんじゃねぇーー」「右側通行だろうどこ歩いてんだーー」「ホームで立ち止まるんじゃねぇよー」などなど。この人は定期とかスイカを持っていないのかそのたびに自動販売機で切符を買うのだが、ときどき自動販売機にもどなっているので、まあそういう人なのである。

さて、浅草橋駅には週に一度くらい祭り半纏にねじり鉢巻きをして、「よっしゃー!」「いってらっしゃい!」「今日も元気出していきましょうー」と駅から下りてくる人々に気合を入れているおじさんがいる。こちらはおそらくそれなりのポリシー(明るくあいさつ運動?)を持っているようであぶない人ではないと思うのだが、今朝はこの気合おじさんと罵倒おばさんが接近遭遇した。

「よっしゃー。行ってらっしゃい」
「うるせーじじい。大声出してんじゃねえよー(と大声で)」

といっても罵倒おばさんは、あさっての方を向いて大声を出しているのだが、しばらくは気合入れおじさんの声が小さくなったのは、やっぱりこちらは普通の人だったんだーと思ったものでした。

 

[Jun 2, 2011]