034 奥多摩・鋸山 [Sep 21, 2014]


この図表はカシミール3Dにより作成しています。

秋緒戦の高原山は、天候に恵まれず往復で2時間程度しか歩けなかったので、日を置かずに再挑戦することにした。目的地は、前から気になっていた奥多摩、愛宕山から鋸山のコース。羽黒三田神社に登って行く道から、谷を挟んでほぼ垂直に立ち上がっている愛宕山は何とも目立つ。ここだけだとすぐに登れてしまうので、後方に続く鋸尾根まで歩くことにした。

朝一番の電車で武蔵野線経由青梅線に向かい、8時20分過ぎに奥多摩駅に着く。1本前の電車は御嶽止まりだし、それより前には家からだとどうやっても間に合わない。8時半に日原や鴨沢方面行きのバスが出るので、電車を下りた人達の大部分はそちらに向かう。私は観光案内所前のベンチで、ゆっくりと身支度をする。

ここ何ヵ月か五十肩がひどく痛んで、ジムでベンチプレスをすることができなくなってしまった。もう歳なのである。何がつらいかというと背中が掻けないのが一番つらいのだが、それはさておき、山に行くたびにタイムを短縮しようなどと考えるのは大きな間違いで、普通にしていればだんだん歩くのが遅くなるし、ケガや痛みの回復も遅れるはずなのである。

まして、今回は初めて登る山・初めてのコースなのである。個人的な傾向として、初めてのコースは非常に疲れるし、タイムがかかることになっている。計画では下りてから風呂に入ってホリデー快速奥多摩号の1本目(3時25分)で帰る予定で、ことによったら鋸山を越えて大岳山まで行けるかもしれないと思っていたのだが、もちろんそんなに甘いものではなかった。

奥多摩駅からまっすぐ進んで橋を越え、氷川駐車場の脇を抜けて進む。進行方向右側に愛宕山への登り口があるはずなのだが、いつまでたっても出てこない。とうとう学校のあたりまで進んでしまった。愛宕山はどうみても通り過ぎている。近くで立ち話をしていたおばさんに聞いて、民家脇の細い道を登って行くと、駅からの道と合流した。登り口を見逃していたようである。

坂はかなり急である。1/25000図で下調べしたところでは、この登りが本日一番の急登である。ここさえクリアすればと、息をきらせながら登って行く。はて、WEBではここの登りは階段じゃなかったのかなあ、道を間違えたので普通の山道で上まで行くのかなあと思って登っていたところ、森の向こうから暗く細い階段が見えてきた。

聞きしに勝る急勾配、しかも長い階段であった。山自体が頂上に向けて垂直に近く切れ上がっているので当然そうなるのだけれど、まあ大変である。段数を数えながら登って行く。最初の踊り場まで93段。すでに息は絶え絶えである。階段の下までかなり登ったつもりだったので、その疲れが加わっている。2つめの踊り場までさらに53段。はて、均等じゃないんだ。

そこから階段の終わりまでさらに30段と少し。年寄りには限界的な息の切れ方で、脈拍はおそらく140を超えていただろう。そして、登りはこれでおしまいということではなくて、さらに坂道を標高差で数十mは登らなければならないのであった。

登り切ったところがやや広くなっていて、よくWEBに載っている平和祈念の五重塔がある。「南無妙法蓮華経」の碑のところにリュックを下して汗を拭く。時計をみると30分しかたっていない。道を間違えた割にはコースタイムどおりにここまで来ることができたようである。


羽黒三田神社への道から見た、愛宕山と鋸山に続く尾根(今年2月に写したもの)。傾斜が半端ではありません。


ほぼ垂直に突き出た山頂に至るには、約180段のこの恐ろしい階段を登らなくてはならない。途中に踊り場は2ヵ所しかありません。

五重塔のある場所からさらに立ち上がった岩の上に、愛宕神社が建てられている。五重塔から登ると本殿の裏側に出て、正面に回って鳥居をくぐるとこちらが正門のようであった。舗装道路がここまで続いていて、軽トラックが止まっていたくらいだから生活道路なのであろう。こちらから登った方が数倍楽だったかもしれないが、まあ山歩きだから仕方がない。

奥多摩駅が標高350m、愛宕神社が509mだから150mの標高差。ここを登るのに30分。自分の平均ペースが1時間に標高差300mだから、道を間違えた割には健闘している。そして鋸山が1109mだから、あと標高差600m。だから 計画では、ここから2時間ほどで鋸山に着く予定であった。

有害動物(鹿と猪)対策の銃声が時折響く中、最初はなだらかだった登り道が徐々にきつくなって行く。展望はなかなか開けない。この鋸尾根は大岳山から続く北側の尾根になるので、日が当たらなくて暗いのである。途中で、石尾根方向に景色の開けた場所に出た。同じくらいの高さに森の中に少しだけ家が見えているのは、以前歩いた城とか三ノ木戸の集落と思われた。

一時間ほど歩いて、ようやく尾根らしきところに出る。愛宕山のように切り立った岩盤があり、ここは巻いて行くのかなと思っていたら上に足場が続いていてそこを登るのであった。切り立った先の小ピークまで登ると、WEBによく載っている烏天狗の2つの石像が現れた。本日数少ない好展望地であった。周囲には奥多摩の山々が連なり、すぐ後ろに見えているのは御前山だろうか。

ここまでほぼ単独で歩いてきて、ここで2人組に抜かれる。「大岳山まで行かれるんですか」と聞かれたので、「できたらそこまで行きたいですね」と答えた。そう、隠れ目標として、鋸山に早めに着いたら、大岳山まで行って往復するか、そこから御岳山に抜けようと思っていて、1/25000図は奥多摩湖だけでなく武蔵御岳も持ってきていたのである。

烏天狗の石像を過ぎると、鎖場が現れた。鎖がなくても登れるそれほど難易度が高くない場所であったが、これはWEBで名高い鋸尾根の鎖場ではなくて、もう少し先に昔からの鎖場が出現した。いずれにしてもそれほど長いものではなく、再び稜線に出て傾斜が緩くなった。鋸山の途中にあるという烏天狗と鎖場を過ぎて、もうそろそろと思ったところで道標が現れた。

しかし、なんと、鋸山まであと2.5kmと書いてある。逆方向に愛宕神社までは2.3kmとあるから、まだ半分も来ていない。正直なところ、愕然とした。愛宕神社からここまで1時間半かかっている。2時間でクリアするつもりが、このままだと3時間以上かかってしまう。

そう思った途端、どっと疲れが出た。大岳山どころか、鋸山まで行って帰ってくるだけで予定時間オーバーである。見通しの甘さを非常に後悔するとともに、何のために1/25000図を見ていたのかと思った。

この日の計画は、8:30に奥多摩駅を出て、愛宕神社を経由して鋸山に11:00に着き、お昼休みの後2:00には麓に下りお風呂に入って3:25のホリデー快速に乗るというきわめておおざっぱなものであった。普段はもう少し1/25000で予習して、途中の小ピークやそこまでの目標時間を設定しているのに、若干の経験を重ねたこともあって、油断していたようだ。

帰ってからよく見てみると愛宕山から鋸山までは結構距離があるし、小ピークもあるなど微妙な上り下りのあることは予測できたはずである。「地図を見るのは、道中のイメージを明確化して、できるだけ余裕を持って山歩きをするのが目的」と書いてあったように思う。いずれにせよ、うかつであった。

 


標高726mの小ピークにある、烏天狗の石像。下には「天聖神社」と彫ってあったように見えました。


烏天狗のすぐ後に出現する階段と鎖場。鋸山はもうすぐと思い込んだのが間違いでした。

鎖場のあったあたりは、後から調べると標高800mあたりで、鋸山まで残り標高差300mだから、距離的にも標高差からも愛宕山と鋸山のちょうど中間地点にあたるようであった。もう少しで着くと思い込んでいただけにショックは大きい。そして、そこからさらにペースを乱される要因となったのが、どこかの学校らしい女子の大集団であった。

登っている途中にはるか後方から、けたたましい声が聞こえていた。うるさいなあと思って下をうかがっても、かなり距離が開いているのか全く視界に入らない。せっかくの山歩きに迷惑なことだと思ってしばらく登っていたら、とうとう追いついてきた。先頭と最後尾は先生らしき男だが、あとはすべて女子生徒。中学生か高校生だろう。そして、その人数は40~50名いる。

脇を通過させるのに5分近くかかるのはともかく、遠くからさわがしかったのも当然と思えるくらいの大騒ぎである。ちゃんと普通に登っているのは最初の何人かだけで、あとは悪ふざけをしている奴、けたたましい声をあげる奴、後を向いてしゃべりながら歩く奴、なんで静かなところでこんなに騒ぐかと思われるくらいの状態であった。

まあ、いまどきの女の子が山を歩いているというだけで健康的で珍しい部類に入るのかもしれないが、これが騒がしいおばさんになり、騒がしいおばあさんになるのである。もっとも、その頃私は生きていないだろうが。そして次に何をしたかというと、なんと、道端に座り込んでの休憩である。もちろん、道に足を投げ出して、他の人に迷惑をかけないなどという礼儀は心得ていない。

そもそも、このコースには大岳山まで大人数が休憩できるのに十分なスペースはないはずである。どこをどう歩くかは勝手とはいえ、明らかに周囲の迷惑になることを平気でするのは、教育上いかがなものだろうか。日本人の常として、団体で行動すると仲間内ばかり見ているので、周囲の人への気遣いは完璧に欠けている。これには参った。

そんな訳で、天地山の三角点も鋸山の頂上も、全く休むことさえできずに通過するだけになってしまった。そういうところでは、50人が先に休んでいるので、空きスペースがないのである。愛宕神社から鋸山まで時間的にはちょうど3時間、予定よりも1時間多くかかった。抜いたり抜かれたりのタイムロスがあったし、そもそもストレスフルであった。

これ以上けたたましい声が聞きたくなかったので、大ダワの駐車場まで出て昼ご飯とする。何人かの登山客や、車で来てお昼を食べに来ている人がいてにぎやかだったが、神経を逆なでするような大騒ぎをしている人は当然ながらいなかった。

ここからは鋸山林道を下る。林道を歩くのは好きだし、登っている間に太ももがけいれんするのが気になっていたので安全策をとった。林道自体は約7kmで、プラス青梅街道の歩きが加わる。東京都の管理する林道なので、日原林道などと同様にキロポストがあって安心である。2時間弱とみていたが、1時間45分で三河屋旅館、麻葉の湯に到着した。

お風呂に入ってゆっくりした分、ホリデー快速の1本目には間に合わず、青梅線の各駅停車で都心に向かう。始発なので座れたのだが、前に立ったおばさんがまたしゃべりまくる。この日は女難の日だったのかもしれない。それとも、ただ単に自分が偏屈なだけなのだろうか。


あまり広くない鋸山の頂上は、女子中学生(高校生?)の団体で一杯。あまり大人数でせまい山に来るのはどんなもんでしょうか。


鋸山林道を半分くらい来たあたりで、上方を振り返る。ガードレールの見えるあたりから、手前の山をずっと回り込んで下りてきました。

この日の経過
JR奥多摩駅 8:35
9:05 愛宕神社 9:15
10:30 聖天神社 10:35
12:20 鋸山 12:20
12:40 大ダワ休憩所 13:15
15:00 麻葉の湯
(GPS測定距離 12.7km)

[Oct 29, 2014]