056 異変~せいうち日記56 [Feb 29, 2012]

体調に異変を生じたのは先週のことである。

先々週の週末、朝一番でシステム障害があって電話で起こされた。会社に出てそのまま真夜中まで勤務。その日はホテルに泊まって翌日出張、次の日は4時起きで12時間勤務というハードな日程をこなして帰った後の月曜日、この日は代休をとって医者に行った。糖尿病の薬をもらうためである。

最近血圧が高くて、隙があると血圧の薬を出そうとするので、医者に行く前には1時間ほど散歩する。そうすると不思議と血圧が20くらい下がるのだ。狙い通り血圧は正常値。血糖値も100くらいで、一時期と比べると目覚ましく改善されている。「低血糖を起こすといけないから、薬の量を減らしましょう。」と言われる。ありがたいことである。

昼からはスポーツクラブに行って、プールで歩いたり泳いだり。いつもは夕飯の後に行くのだが、この日は奥さんとワインを飲む約束をしていたので、その前に運動しておきたかったのである。

そして夕刻。奥さん特製の煮込みハンバーグに、ワインは2000年のオー・メドック、クリュ・ブルジョワである。普段飲みのワインにしては決して安くはない値段なので楽しみにしていたのだが、なぜか味が薄い。奥さんに聞くと十分おいしいというので、あるいは年数がたってこなれてきたのでそう感じるのかと思った。

異変が生じたのは1時間くらい後である。何しろ起きていられない。非常にだるいのと、手足の関節と筋肉が痛む。医者に行って風邪をもらってきたかもと思ってパブロンを飲んで横になる。念のため熱を測ってみたが平熱。だんだん頭痛と悪寒もするようになった。奥さんには、「運動不足なのに、急にたくさん動いたからだ」と言われてしまう。

夜半からは、頭痛、悪寒に腹痛も加わる。トイレに行く時も寒くて仕方ないので、真夜中だけど石油ファンヒーターで廊下を暖房。あまり眠れないものの、翌日は出勤しなければならない日である。通勤途中に腹痛を起こさないように、朝食抜きで会社へ。2時間弱の通勤を何とかやり過ごして席に着くけれど、気が遠くなりそうだ。

そこにいきなりシステム障害。ここは気をしっかり持たなくてはならない。頭はぼんやりして手足には力が入らず、このままでは仕事にならない。何とかならないかと思い、そういえばかばんの中にブドウ糖があったのを思い出した。ブドウ糖は脳のエネルギー源となるので、だめもとで食べてみよう。

そしてブドウ糖の固まりを口に入れてゆっくり溶かしていると、1分もたたない間に頭の霧が晴れ、手足にもお腹にも力が入ってきた。何と昨晩からの不調は、低血糖によるものだったのである。

 

低血糖とは、糖尿病治療中の患者にありがちな症状で、端的にいえば薬が効きすぎて血液の中に必要な糖分がなくなってしまう状態である。低血糖については投薬時に必ず注意を受けるし、すぐに糖分が取れるような準備を推奨される。だから私もちゃんとブドウ糖を持っていたのである。

ところが、糖尿病歴が10年にも及ぶ中で、異常に腹が減ってめまいがする以外の低血糖症状になったことがなかった。お腹がすくとくらくらするのは昔からだし(家の奥さんなどは半狂乱になって、食べきれない分量を注文したりする)、だからブドウ糖も持っているだけでほとんどほったらかしだし、はっきり言えば油断していたのである。

後から調べたところ、低血糖を招く要因としては、

1.必要な食事をとっていないこと。

2.過度な運動。

3.アルコールの摂取。

4.下痢。

5.投薬量が必要な分量より多い。

といった点があるそうで、そのままぴったりこの日の私の条件にあてはまる。このまま糖分を補給しなかった場合、意識不明となり最悪は死に至るというから、笑い事ではなかったのである。

なぜかブドウ糖のことを思い出したおかげで、体調は急速に回復した。すぐにパソコンで低血糖を調べたところ、具合がよくなったら食事をとって速やかに栄養を補給すること、お昼までがまんしようなどと思ってはいけないと書いてあったので、すぐに早いお昼へと向かったのであった。

この低血糖のせいで、2、3日はお腹に力が入らず、手足に血が通っていないような感覚があり、考えがなかなかまとまらない状態が続いた。もっとも、「低血糖を恐れてはならない。なぜなら、高血糖による悪影響の方がはるかに大きいからだ」そうなので、この日以来、車の中や会社の机など、あらゆる場所にブドウ糖を置いてもしもの時に備えることにしたのである。

[Feb 29, 2012]