028 東横イン、苦境? [Nov 23, 2011]

前にビジネスホテルのことを書いた時、念頭にあったのは東横インであった。その後、なるべくなら東横インを使わないようにしていたのだが、時には他のホテルが満室で選ばざるをえないこともある。先週青森から帰った後の出張は、そんなわけで久しぶりに東横インに泊った。

部屋に入ってまず驚いたのは、アダルトビデオ(AV)のパンフレットが一番上に置いてあったことである。おまけにテレビ画面には、オンデマンドでAVも見られますという注意書きがわざわざ立てかけてある(下の写真)。AVを置かないというのはそれなりに品位あるサービスだと思っていたのに、東横インにとっては単なる経費節減策だったようである。

そういえば、しばらく前から部屋の備品は歯ブラシ以外なくなり、石鹸やかみそりが必要な人は、フロントから取っていくシステムである。チェックインの際には、連泊の人はエコプランに協力してほしいとのセールスが行われる。リネンの取り換えも部屋の掃除もしないのに300円しか引かないというのは、環境保護というよりさらなる経費節減のためであろう。エレベータに乗ると、フロントでカップヌードル200円(高い!)のセールスまでご丁寧に貼ってある。

前の記事では、東横インのことを以下のように書いた。<以下引用>

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これはサービス業すべてに言えることだが、売上を伸ばそうと思ったら、客を増やすか客単価を上げるかどちらかしかない。客を増やすためには客回転を上げる、リピーターを増やすなどのオプションが加わるが、基本は二つのうち一つである。ところが東横インのようなビジネスホテルでは、売店やレストランなど室料以外の売上手段がない。

だから、その日泊まった顧客についてそれ以上客単価を増やす術(すべ) がない。地方に行くと部屋まで配達してくれる宅配系の飲食店やレンタカーなどが入っている例はあるが、フロントで聞いても要領を得ないことが多い。おそらく外注先に丸投げしているからであろう。昔と違ってみんな携帯を持っているから電話を取り次ぐこともなく、チェックイン、チェックアウト以外に顧客との接点がほとんどないのである。

結果としてこれらのビジネスホテルでは、省力化だけが現場でできる最大の努力ということになる。連泊なのに昼間は部屋を使うことができなかったり、チェックインの際いくら混んでも2人以上で対応しないためフロントが大混雑したりして顧客の不満がたまっても、ホテル側には問題とはならない。いくら気分をよくしてもらっても、室料以上のお金を落とすことはないからである(自販機の売上が少々伸びるくらいであろう)。<引用終わり>

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おそらく私の泊まった東横インでも、ホテル間の競争激化により、部屋の稼働率が下がっているのだろう。上に引用したように、この手のビジネスホテルで売上を伸ばそうと思ったら、取る手段はきわめて限定される。アダルトVODやカップヌードルでは追いつかない。だとすると、さらなる経費節減策として、部屋を片付ける経費を減らすということになるのだろう。

しかしながら、そもそもサービス水準が低いのに、きれいな部屋を提供するという部分まで削ってしまったら、そのホテルをあえて選ばなければならない理由はあるのだろうか。まあ、AVが好きな人も多いのでそれなりに需要は回復するのかもしれないが、いまの世の中TVがなくても、インターネットからいくらでも見られるのである。

本来サービス業であるべきビジネスホテルを、不動産業にしてしまった東横イン。自らが低くした参入障壁により稼働率の低下を招いているとすれば、回復は相当難しい。泣くのは労働を強化される従業員と、賃貸料を引き下げられるオーナーだけということになるのだろうか。


東横インの新(?)サービス、アダルトVOD。

[Nov 23, 2011]