041 石尊山再挑戦 [Feb 21, 2015]


この図表はカシミール3Dにより作成しています。今回は赤線往復。前回間違えたのが紫線

さて、前回は見事に失敗してしまった石尊山(せきそんさん)、早めに行かないと春の房総はヒルの出るのも早い。2月後半の晴れた休日に、再挑戦することにした。

前回は電車だったが、今回は奥さんも来るというので車を使う。車が使えれば小回りが利く。もっとも紛れの少なそうなコースを検討した結果、石尊山頂上直下の電波塔の下まで車で入ってしまい、歩いてすぐの頂上から麻綿原に向かって稜線を南下していくことにした。

WEB情報では電波塔への道は4m幅ということであったが、実際にはそんなに幅はなく、1台通るのがやっとですれ違いは無理である。そしてずっと急勾配の登り坂で、もし対向車が来たらちゃんと止まれるだろうかと心配になるくらいである。加えて、最後の人家を過ぎると簡易舗装のコンクリだけで、両側から雑草という状態である。

幸いにゲート前の駐車ゾーンは、工事車が入るためかなり広くなっている。ここに駐車させてもらい、電波塔の間を縫って坂道を登って行く。最後の電波塔の横が通り道になっていて、そこから登山道が始まる。5分も登らないうちにもう頂上である。三角点があって、その奥の平らなところに大小の石の祠が置かれている。

しかしWEB情報と違ったのは、頂上付近に道標がまったくないのである。情報では、「→札郷方面」と書いてある道標があるということだったのだが、そんなものはない。木につるしてある板に消えそうな字があるので懸命に解読を試みたが、どうやら「わたしは何という木でしょう?」と書いてあるようだ。仕方なく、いったん電波塔まで戻って道を探す。

三角点から頂上に登る道の他には、途中から下る「大多喜方面」の道しか標示がない。この道は、七里川温泉から上がってくる正規の参道のように思われた。これから進む方向は南なのだが、南側は傾斜が急で踏み跡も見当たらない。2度3度行ったり来たりした後に、三角点から祠の横を抜けてまっすぐ抜ける尾根道がそれらしいので、ここを下ることにした。

はじめに見た印象は前回しくじった枝尾根とよく似ていたけれど、歩き出してみると結構広く踏み跡がある。奥さんも「ここが道っぽいね」と言うので、結構な傾斜を下って行く。傾斜が緩やかになったあたりにようやく標識発見。左が麻綿原方面である。そして、この標識の書体が前回麻綿原で見たものと同じである。どうやら正規ルートに出ることができたようだ。

その後は標識にしたがって2度ほど方向転換し、ちょっと崩れたトラバース道を経て、おそらく頂上の南側、1/25000図にある分岐点に到着した。ここまで来れば、あとは南への一本道である。WEBに載っていた手書きの地図が貼り付けてあって大多喜方面に崩れた道があるということだが、ちょっとわかりにくい図で、いま来た道がそうなのか、分岐から東に行く道がさらに崩れているのかはよく分からなかった。

頂上からここまでは、例の新ハイキングのグループもかなり時間を浪費した場所である。南に下る道はなくていったん北に下りて回り込んだと書いてあったと記憶している。帰ってからGPSのデータをカシミールに落としてみたところ、私と奥さんが実際に歩いたコースは1/25000図の点線の道ではなかった。全部を回った訳ではないので、もっと安全な道があるのかもしれない。

このあたりで道端に、東大演習林の標識を発見。「N14」と書かれていた。ただし、「房総のやまあるき」に書かれていたほどには分かりやすくない。というのは、長い月日の間に、標識も泥だらけに汚れているし、インクも取れて読めなくなっているからである。とはいえ、進路を確認する上では非常に役に立った。このルートは演習林標識をたどるのが正解である。


石尊山直下の電波塔。携帯会社のものも含めて4基のうち、もっとも上のアンテナの横を抜けて行きます。


石尊山頂上の祠。大山阿夫利神社から勧請されたということなので、雨乞いの神様でしょうか。

分岐点から南はわかりやすい尾根道である。歩き始めてすぐに西の方角が大きく開けるが、見通しのいいところは結局ここ位しかなかったように思う。あとは林間で眺めが開けない道を進む。稜線だから仕方ないが、小ピークが結構多い。はじめは忠実に尾根をたどっていたが、結局巻き道と合流してしまうし、道標が巻き道の方に付いていたりするので、そちらを行くことにした。

ここでびっくりしたのは、前回昼飯の邪魔をして道迷いの原因になった(と思っている)2匹の黒犬が、ここでも現れたことである。特に吠えることもないし悪さもしないのだけれど、放し飼いというのはよろしくない。もしかしたら演習林の監視犬だろうか。まあ、前回から2週間経っているのに相変わらず毛づやはよさそうだから、どこかでエサをもらっていることは間違いないのだけれど。

20分くらいの間に小ピークを3つ4つ越えて、小広くなった鞍部に出た。稜線の東側にある小倉野集落への分岐のようだ。ここから北方向が開けていて、出発点の石尊山の電波塔が見える。結構な距離があり、もうこんなに来たのかと思う。ここから演習林の看板の前を通って、さらに南に進む。すぐに眺めのいい平地に出るが、お昼休憩にはまだ早い。

演習林の「N△」の標識を追っていくとたいへん分かりやすい。ただ、この標識はハイキング客のためにある訳ではなく、演習林の管理のためにあるものだから、ときどき番号が飛んでいたり、分岐点になかったりするのは仕方がない。N33番あたりで、大岩壁の前を通る。奇観と言うべき大岩であるが、残念ながら座って休むところがないので、写真を撮ってすぐに通過する。

この岩壁が中間点と書いてあった記憶があったものだから、ここまで歩いた約1時間と、標識にある「石尊山←→麻綿原 120分」の記載と合わせて、あと1時間歩けば着くだろうと思っていた。だから休憩も取らなかったのだけれど、このコース、それほど簡単ではなかったのであった。

N40番台に入ると、大きなモミの木が登場する。石尊山寄りが「もみじ郎(次郎)」、麻綿原寄りが「もみ太郎」で、ともに名札がついている。尾根をふさぐほど太く、樹齢二~三百年にはなっているだろう。幹はまっすぐ空に向かい、はるか数十メートル上で四方に枝を伸ばしている。「ごみを捨てないでね」と環境保護を訴えているところがかわいい。

もみ太郎を過ぎたあたりから、起伏が大きくなり道が谷に向かって下って行く。そして、倒木や土砂崩れで進む方向が紛らわしくなっている。ただしピンクテープがこまめに貼ってあるので、これを追っていけば道に迷うことはない。結構登り下りがあって息が切れる。

それにしても、なかなか麻綿原に着かないのが不思議である。進行方向左(東)に続く枝尾根が見えるたびに、あれが間違えたところだろうとGPSを確認するとまだまだ先である。石尊山から休みをとらずに歩いたのに、もみじ郎を過ぎ、もみ太郎を過ぎ、もう一つ保護樹木を過ぎて坂を登って、ようやくGPSの表示は前回間違えた地点にたどり着いた。

演習林のN番標識が何番まであるか確かめてこなかったので、50番台、60番台と続くといつまで続くんだろうと思ってしまう(麻綿原の林道から登った地点がN72)。結局、大岩壁から前回間違えた横瀬分岐まで1時間、麻綿原までさらに1時間かかり、石尊山から麻綿原まで、120分と書いてあるのに3時間かかってしまった。

 


歩きはじめは気持ちいい尾根道が続きます。が、ぬかるんだトラバースが多くて難儀する。


石尊山・麻綿原の中間点にあると書かれている大岩壁。中間というよりも、1/3かなあ。

 

さて、前回間違えた分岐である。GPSの記録によると、下の写真のところで間違えて尾根をそのまま進んでしまっている。

石尊山から麻綿原に南下してくると、写真左から谷を上がって来てこの分岐になるから間違いようがない。いってみれば、新ハイキングのパーティーが間違えた真根坂と逆バージョンである。分岐点にはまったく標識が見当たらないが、よくよく地面をみると、粉砕された標識の破片が残されていて、分岐点ということは分からなくもない。

それにしても、ここは間違えるだろうなと思う。最新の地図を確認してここに分岐があると分かっていなければ、見たとたんに尾根道に進む。今回のように演習林のN番標識をこまめにチェックすれば何とかなったかもしれないが、そうでなければ尾根を北に進めばいいと思ってしまうだろう。演習林だから標識はいらないと言わずに、何とかしてほしいものである。

じつは、今回道迷い対策として、主要な確認ポイントの緯度・経度のデータを前もってメモしておき、GPSのデータと確認しながら進んだ(わがGPSは並行輸入の普及品なので、地図データが入らないのだ)。GPSの測定には若干の誤差があるが、10秒単位で違うことはほぼないから、前回のような500m違う尾根を歩いていたような大間違いには有効である。ちなみに、地球1/4周=1万kmだから、経度1度は約100km、1分は約1.5km、10秒は約250mとなる。

12時過ぎにようやく麻綿原に到着。天拝園(妙法生寺)にお参りした後、お手洗いをお借りし休憩所で休ませていただく。休憩所脇に自動販売機があったので何か買おうと思ったのだけれど、シーズンでないためか電源が入っていなかった。4時には車のあるところまで帰りたいので1時前には出発する。

ところが、帰り道は非常に快調だったのである。歩いた時間でいえば往路が3時間に対して復路は2時間くらい。疲れ方はそれ以上に違っていて、私も奥さんも余力を残したまま石尊山に戻ることができた。

なぜかというと、往路は登りが多く復路は下りが多いということがあるだろうし、同じ道を通って目が慣れたということもあるだろう。天気も良かったので、朝よりも道が乾いて歩きやすかったということもあるかもしれない。そして奥さんによると、演習林のN番標識が、往路は番号が増えていき、復路は番号が減っていくのが微妙に疲れに影響しているというのである。

確かに帰りはN72あたりからスタートしてN14くらいまで、カウントダウンしながら歩くと正しい道かどうか確認できるし、あとどのくらい残っているか分かる。そして、番号が少なくなっていくので達成感がある。そういう精神的なことが大きいということはあるのかもしれないと思った。

分かりにくいという評判の尾根道だけに、往路と同じ道だというのに、2度ほど行き先に迷う場所があった。この稜線歩きに限っては、小ピークにこだわらずに太い巻き道を進んだ方が迷わないような気がする。

この冬の房総は撤退を2度やってしまった結果、2つの山にしか行けなかった。今年は去年のような大雪にならなかったので、そろそろ1000m級(w)に向かう季節である。


前回間違えた分岐。写真中央の尾根を右に進んだが、それは横瀬方面で、正解は谷に下る左の道。石尊山から来る際には間違えようがない。


小倉野分岐のあたりまで戻って来ると、石尊山のアンテナが見える。石尊山・麻綿原間には景色の開けている場所はあまり多くない。

 

この日の経過
電波塔 8:30
8:45 石尊山 9:00
9:15 山頂南分岐 9:20
10:10 大岩 10:12
11:30 横瀬分岐 11:35
12:20 天拝園(昼食) 12:50
13:50 もみ太郎先(coffee) 14:20
16:00 電波塔
(GPS測定距離  14.0km)

[Mar 23,2015]