067 今年もラスベガスに行けない~せいうち日記67 [May 31, 2013]

新年度になってまた仕事が変わった。理由のひとつは会社の組織替えでポストがなくなったためである。定年間近であっちこっち動かされて全く落ち着かない。いまのご時世そんなことで贅沢は言えないし、会社が働けという場所で働くしかないのは分かっているけれども、せっかく頂上近くまで転がした巨石が谷底に落ちていくような気分である。

カミュによればそこでくじけず谷底に再び巨石を持ち上げに行くのが誇りある態度ということになるのだが、この年になっても人間ができていないので、どうしても気分が落ち込むのは仕方のないところである。

新しい仕事で何がつらいかというと、せっかく前の年に整理した仕事の恩恵を受けるのが後任者で、自分は前任者のやり残した仕事をやらなければならないということである。もっと端的にいえば、来年こそはラスベガスに行けるようにと6月の仕事をやりくりしていたのに、新しい部署に行ってしまえばまた一からやり直しということなのである。

そういう訳で、6月第三週のWSOPシニアには今年も行けない。エントリーフィー($1000)はドルでとってあるしJALのマイルも十分あるのに、休みが取れない。何年か前には、急に思い立ってロスでボクシングを見てラスベガスに移動したこともあったというのに、悲しいことである。(でも、奥さんに言わせると、「さんざん遊んだんだから文句言わない!」ということになる)

この際すべて放り出してあり金持って長期渡米して、資金の続く限りトーナメントに出たりしたいと思うこともあるけれど、ここは森須先生の「打たれ越し」である。オールマイティの明日を夢見て、現実の今日をやり過ごす。サラリーマンのほとんど唯一のメリットは、潰した時間をおカネに代えることができる点なのである。

とはいえ、もう何年かすると還暦を迎えるわが人生を振り返って、どこかで違う電車に乗っていればそういう可能性があったのかとも思う。しかし、どこでどの電車に乗ればよかったのか残念ながら思いつかない。ということは、いまの境遇で何とかがんばって明日を夢見るというのが、ほとんどベストの選択なのだろう。ちょっと悲しいけれど。

ところで、そんな気分で村上春樹の新刊を読んだら、いまの気分にまさにぴったりくる場面がいくつかあって驚いた。たまたまiPODにはセロニアス・モンクが入っていたので、”Round Midnight”を聞きながら通勤の行き帰りで読み終わった。そして(ミーハーなので)、ラサール・ベルマンの「巡礼の年」も買ってしまったのである。

[May 31, 2013]