068 CATS AND DOGS~せいうち日記68 [Jun 26, 2013]

梅雨時である。最近はしとしと降るよりも土砂降りになることが多い。土砂降りになると、思わず“cats and dogs”と口を突いて出てくるのは、昔の受験世代の悲しいところである。

私が受験生であった40年(!)前、「でる単」「でる熟」は英語の参考書として必読のものであった。もっとも、そうした参考書類だけきちんと押さえておけば、毎日塾へ行く必要もなかったのだから、平和な時代であったともいえる。ちなみに、「でる単(熟)」は「試験によくでる英単(熟)語」の略である。なぜか、教科書にはあまり出ていないけれど試験によく出る単語・熟語が載っているのであった。

さて、その「でる熟」の中に、“cats and dogs”が載っていたのである。意味は土砂降りである。試験には出なかったが、その後就職して、会社の近くの三井アーバンホテルにこの名前の店が入っていた。当時としてはこじゃれた店だったので、何回か飲みに行った。いまではホテル名は変わってしまったが、まだ店は残っているようだ。

この歳になっても、大雨→ cats and dogs →三井アーバンの店、と連想ゲームになるのはなぜだろうと考えると、おそらく、あの時代が自分にとって最高に輝いていたからなのだろう。学生の頃は勉強ばかりしていたので(!)、会社が終わって飲みに行ったり、気の利いた店に連れて行ってもらうのがすごく新鮮であった。何しろ、アルバイトとは比較にならないおカネが入ってくるので抑えがきかない。

だから、都内のいろいろな店に行ったし、月に何度かはゴルフに行った。いま思うと、あの時代にもう少し堅実な生活を送っていれば、今頃はローンがなかったかもしれない。でも、バブル全盛期でそんなことを考えるヒマもなかったし、ローンはいまだに大きな負担となっている。年に何回も海外遠征をしていたせいもあるが。

もっとも、若い時だから8時9時まで仕事をしてそれから飲みに行き、さらにカラオケに行ってラーメン屋で締めて、やっとつかまえたタクシーで帰るなどという生活ができたのであって、今となっては到底無理である。むしろ、いま体に不具合が出ている原因の一つは当時の不節制と思われる。何しろ、就職して1年で体重が20kg増えたのだ(結婚してさらに20kg増えた。現在はそこから15kgやせた)。

そして、若い頃は給料とボーナスは自動的に入ってきて、次の年にはもっと増えるという前提があった。ところが何十年かたって定年間近になると、あと給料が何回ボーナスが何回と数えられるようになる。しかも、減ることはあっても増えることはない。自然と、あの頃もっと堅実に暮らしていればと思うことになる。

半面、遊んだのはその頃だけれど、時間はいまの方がずっとゆとりがある。睡眠時間を例にあげると、当時は現在の半分くらいしか寝ていないはずである。体調だって同じで、いまの方がずっといい。心配事や思うに任せないことが多いのは相変わらずだが、あと何年か経てば解決する問題がほとんどである(会社などどうなってもいいのだ)。

そうしてみると、最高に輝いていたのは若い時なのだけれど、最高に幸せな時代はこれから来る可能性がある、とは言えるかもしれない。

[Jun 26, 2013]