0711 コバレフvsウォード無敗対決[Nov 19,2016]

WBA/IBF/WBO統一世界ライトヘビー級タイトルマッチ(11/19、TモバイルアリーナLV)
Oセルゲイ・コバレフ(30勝26KO1引分け)2.2倍
アンドレ・ウォード(30戦全勝15KO)1.8倍

ともに全勝の統一ライトヘビー級タイトルマッチ。両者とも勝つ気満々でオッズも均衡している。はじめは2対3くらいでウォード有利だったのだが、試合が近づくにつれてコバレフに人気が集まり、現在は5対6くらいに差は縮まっている。

2013年に当時無敗だったネイサン・クレバリーをKOしてWBO王座を手に入れたコバレフ。その後、バーナード・ホプキンスからWBA/IBFのベルトを吸収、ジャン・パスカルやナジーブ・モハメディをKOして防衛回数を増やしている。P4Pでも上位にランクされる強いチャンピオンである。

何と言ってもその魅力は攻撃力で、ライバル王者のスティーブンソンのようにいかにもパワーのある大振りのパンチというのではなく、接近して堅いパンチを打ちこむというタイプである。ジュニア時代から豊富なアマ経験があり、プロの試合のほとんどを米国で行っているものの、かつてはロシアの国内チャンピオンだったアマ・エリートである。

かたやウォード。こちらはアテネ・オリンピックのゴールドメダリストで、アマ・エリートとしては一枚上ともいえる。やはり全勝で、スーパーミドル時代はスーパー6で優勝して名前を上げた。スーパー6はWOWOWを見ている人にはミッケル・ケスラーやアーサー・アブラハムをアメリカで売り出すための企画のように思われたが、実は当初からウォード優勝という見方は強かったようだ。

スーパー6ではその両者に加え、アラン・グリーン、サキオ・ビカ(いずれも代理出場)、決勝ではカール・フロッチを判定で下した。その後ライトヘビーから下りてきたチャド・ドーソンもKOし、1年半のブランクを経てライトヘビー級に上げ今日に至る。

さて、この一戦を予想するに当たり、最も気になるのはウォードのライトヘビー級がどうなのかということである。スーパーミドル級時代でさえパワーでは対戦相手に一歩譲り、それはこのクラスで50%というKO率の低さにも表れているのだが、パワーも耐久力もスーパーミドルより上のライトヘビー級において、それが通用するのかということである。

ウォード有利という現時点のオッズをみると、最近のスーパーミドル→ライトヘビーの成功例であるロイ・ジョーンズJr.が人々の頭の中にあるように思う。確かにライトヘビーで統一チャンピオンだった頃のロイ・ジョーンズは強かったし、アマチュアの実績ではウォードも引けを取らない。

とはいえ、ロイ・ジョーンズも最後はターバーやグレン・ジョンソンにKO負けしたように、パワーや耐久力はこのクラスではやや見劣りするものであった。ナチュラルなライトヘビー級のパワーを持つ相手と戦ってどうなのだろうかという疑問はどうしても残る。そして、もし本当にこのクラスに自信があるのなら、なぜよりくみし易いスティーブンソンと先に戦わなかったのだろう。

私の予想では、コバレフが前進しウォードが足を使う展開になると思われる。もし、ウォードが打ち合って勝てるパワーがあれば面白いが、打ち合ったらコバレフだろう。ウォードが勝つとすれば12R動いてまともに打ち合うことがなかった場合で、そうなると、たいへんつまらない試合になる。ウォードもKOされないだろうから、コバレフの判定勝ち。

 

WBA/IBF/WBO統一世界ライトヘビー級タイトルマッチ(11/19、米ラスベガス)
アンドレ・ウォード  O  判定(3-0)X セルゲイ・コバレフ

私の採点では114-113コバレフだが、ラスベガス採点なので逆もあるかなと思っていた。予想記事で書いたとおり、面白くない試合でウォードが勝った。

2Rにダウンを奪ったコバレフが3Rに決められなかったのが結果的に勝負を分けた。ウォードにまだダメージが残っているうちに、KOできなかったのはウォードがそれだけ強かったということだし、試合後半ではコバレフに懸念されていた長丁場のスタミナという弱点が出てしまった。

ウォードがスティーヴンソンと先に戦わなかったのはなぜだろうと疑問に思っていたのだが、コバレフの一発ならなんとか耐えられるという見通しがあったのだろう。個人的には、前半の爆発力ならスティーヴンソンで、試合全般通してならコバレフの攻撃力が上と思っていたのだけれど、なるほどコバレフはバーナード・ホプキンスも倒し切れていないのだった。

コバレフの弱点がスタミナだということは、以前から指摘されていたが、ホプキンス戦以降その懸念はなくなったとされていた。しかし、今回の試合、おそらく7R以降ほとんどのラウンドはウォードに行っていたはずで、やはりコバレフの弱点はスタミナだったということである。

だから、3Rくらいからクリンチのもみ合いが多くなったことはウォードの思う壺で、ダメージから回復するまでの時間稼ぎをするとともに、コバレフのスタミナを奪った。その意味では見事な作戦勝ちである。とはいっても、ウォードがコバレフをKOできる試合ではなかったし(ダウン位は奪えたとしても)、ウォードにもそのつもりはなかっただろう。

今回の試合で、本筋以外で気付いたことが2つ。1つは赤コーナーと黒コーナーとなっていたことで、前にも一度そういう試合を見たことがあるような気がするが、赤黒の方がラスベガスらしくていい。ただ、ルール的にそれでいいのだろうかとちょっと気になった。

もう一つ、WOWOWはP4P決定戦とあおっていたが、これまで帝拳の手前ロマゴンを推していたはずなのにそれでいいのだろうか。個人的には、コバレフがウォードをKOすればP4Pの資格はあると思うけれど、ウォードが勝つとすればこうした塩漬けの試合なので、玄人受けするとしてもP4Pには推したくない。やっぱり現段階のP4Pはゴロフキンだろう。

私としては、ウォードの試合はメイウェザーよりつまらないし、リゴンドーよりもっとつまらないので、今後は月曜夜の放送で構わないと思う。むしろ、来週のロマチェンコvsウォータースの方が見たい試合である(たとえ、結果的に判定となったとしても)。