081 消費が減るって当り前では?~せいうち日記81 [Feb 5, 2015]

会社をしばらく休んで、いま奥さんと与論島に来ている。無理やり休んだ訳ではなく、会社の制度に基づく永年勤続休暇である。この休暇は10年ごとに取ることができて、10年前はテニアンに行った。10年後には会社にいないので、これが最後の永年勤続休暇ということになる。

10年前のテニアンでは、資金が尽きるまでカシノで過ごそうと思って行ったのだが、残念ながら4泊しかできなかった。休暇が1週間残ってしまったので、仕方ないからスポーツジムへ行って、エアロバイクやプールで過ごした。10年経ってみると、その後カシノはだんだん行けなくなってしまったのだけれど、スポーツジムは今でも続いているから妙なものである。

テニアンに行ってカシノで遊ぶのと、与論島に来てまったりするのと、どちらがGDPに寄与するのかは微妙なところだが(少なくともカシノの負け分は国内景気に寄与しないだろう)、少なくとも自分自身のふところから出たおカネは相当少なくなった。前回は一人、今回は二人で来ていても、かなり違う。デフレの効果や規制緩和(特にLCC)は確かにあるけれども、それにしても少なくなったはずである。

ケインジアンの誰かが言っていたことだが、消費は現在の所得に影響を受けると同時に、これから得られるであろう所得と、所有している資産に大きな影響を受ける。だから、若い頃とか、株が値上りする時期には消費が増える。10年前と現在とでほとんど収入は変わらないにもかかわらず(減らなかっただけありがたいと思うべきなのだろう)、10年前には使えたおカネがいまは使えないというのは、経済学的に正しいことなのであった。

景気拡大といまだに言っているけれど、高齢化は進む一方だし、そもそも日本の人口は数年前から減っている。一人当たり支出が変わらなくてもGDPが減ってしまうのに、だんだんおカネを使わなくなる世代が多くなるのだから、消費が頭打ちになり経済が収縮するというのは当り前のことではないのだろうか。

アベノミクスの成長戦略を私なりに解釈すると、おそらく輸出を増やすことにより景気拡大しようということのようだが、いうまでもなく全世界の輸出と輸入はトータルすると同じ金額になるから、一つの国が輸出を増やせば輸入が増える国がどこかにあって、結局のところ不景気のツケをどこかの国に回しているだけのことなのだ。

それはそれとして、与論島といえばお気づきのとおり、たそがれに来たのである。宿はもちろん、「ハマダ」こと与論島ビレッジ、「めがね」のロケ地である。映画と違って、ちゃんとベッドもあるしレストランもある。食堂になっていた建物は休憩室になっている。現実の与論島は「めがね」とは違って携帯も通じるしネットもできる。

テニアンで30秒に1回グリーンチップ($25)をやり取りして過ごすのも1日なら、1日(2人で2000円)レンタサイクルで南の島を走り砂浜で「たそがれる」のも1日である。今回は雲が多くて空模様は今一つなのだけれど、あまり日焼けしなくてすむと思えばそれほどアンラッキーなことでもない。

わずかな間とはいえ南の島でまったりしていると、残る人生をどうやって過ごしたらいいか、考えるともなしに考える。おカネは全然ないとちょっとつらいけれど、たくさんあってもそれで不安がなくなる訳ではない。少なくとも、月に30万なんていらない。春の海ひねもすのたりのたりしている間に、月は昇るし日は沈むのである。

 


与論島の海岸。この日はちょっと風が強くて、たそがれることはできませんでした。

[Feb 5, 2015]