088 30年越しの念願 EPOコンサート@原宿~せいうち日記88 [Dec 23, 2015]

先週の土曜日は奥さんと原宿へ。人混みが大嫌いな家の夫婦がわざわざ東京でも有数の激戦地に出かけたのは、EPOのコンサートを聴きに行ったのである。

EPOは私が単身大阪に転勤した時にたいへんよく聴いていて、そのことは前に書いたことがある。当時(1984年前後)、職場からすぐ近くの大阪厚生年金会館でコンサートがあって、何とかして行きたいと思ったにもかかわらず、その頃は午後9時10時まで仕事するのは当り前という環境だったのであきらめてしまった。

何かのはずみでそんなことを思い出してWEBで調べてみると、一時期引退していたと思ったが音楽活動を再開していたようで、年に何回かはコンサートも開いていた(ギリヤーク師と同じような回数である)。場所や日時の都合がなかなか合わなくて、ようやく年末のチケットを入手したのが9月。それ以来、かなり楽しみにしていたのである。

まず、会場にたどり着くまでが一苦労。時間が早かったので表参道の駅から歩いたのだけど、すごい人!前を歩く人も隣を歩く人も至近距離で、子供の頃の明治神宮の初詣を思い出した。横断歩道も、待つ人が多すぎて赤になる前に渡りきれない。お茶でもしようと思ったのに、それらしきところはすべて満員。人混みの大嫌いな家の夫婦には過酷な環境だった。

会場は4時半、開演は5時。会場は縦十数行の横30列だったので、400人ちょっとのキャパシティ、私よりも前の席には空席はないようであった(誰かが、前の方はファンクラブ席だと話していた)。

客層を見るとわれわれ夫婦と同年配か少し上、平均すると60歳前後で、もう少し上の人もいたけれども下の人はほとんどいなかった(家の奥さんによると、若作りしているだけで40代はいなかったそうだ)。男が3に対して女性は7くらいの比率で、顔見知りの人が多かったらしく、方々で「お久しぶり」と挨拶している。

インドアとアウトドアの違いはあるが、ギリヤーク師の路上公演とよく似た雰囲気である。年齢層が10くらい若いのだが、ギリヤーク師は路上47年、EPOは芸能活動35年だそうだから、あと12年経つと同じになるということである。

コンサートが始まりEPOが現れた。二の腕や背中、お腹周りがお太りになられた堂々たる体であるが、「このメンバーでピアノに挑戦してみました」とのことで両肩を出した黒いドレス(後半戦は白)である。思わず、「EPO神さま」という言葉が頭に浮かんでしまった。

最近の傾向なのか歌詞のよく分からないスピリチュアルな曲が多く、それでも会場の多くの人達が合図に合わせてコーラスしていたので、常連の人達にとってはこれが当たり前なのだろう。楽器もシベリアとかモンゴルの部族が使っているという見慣れないものが使われている。

そうした曲や楽器の紹介もそれなりに興味深かったものの、やっぱり一番うれしかったのは「ダウンタウン」と「土曜の夜はパラダイス」のメドレー、クリスマスということで「12月のエイプリルフール」。これを聴いただけで、30年前のことを思い出して胸がいっぱいになった。知っている曲はこの3曲だけだったのが残念だが、本人はいまでも現役だから、30年前の曲を歌ってほしいと思う方がわがままなのである。

村上春樹のエッセイで、誰だったがジャズプレイヤーのコンサートを聴きに行った時、いまひとつ物足りない。自分のところに彼が来てくれて「何か聴きたい曲はある?」と聞かれたらこの2曲をリクエストしようと思っていたら、何も言わないし聞かれてもいないのに、アンコールでその2曲を弾いてくれた。自分には超能力があるんだろうかという文章があった。私には超能力がないので、残念ながらそういうことはなかった。

それにしても思ったのは、一度逃したチャンスを取り返すのには結構な時間が必要で、できるならば宿題は後に残さない方がいいということである。EPOの宿題を解決するのに30年の月日が必要であった。いま現在残した宿題の解決に同じくらいかかるとすれば、その頃まで生きている確率はかなり低いだろう。

そして、30年前のコンサートに行かないで私が得たものは、ほとんど何もなかったということに気がつく。他人と同じことをすることにより得られる評価とか、その結果としての仕事のしやすさとか経済的利益があったとして、そうしたことはいまとなってはほとんど価値もないし、現在の自分にプラスとなっていないことは明らかなのだ。

だとすれば、いま現在、自分が何をすべきか、何を優先して判断すべきか、そんないろいろを考えさせられる夕べでした。


会場のクエストホール・エントランス。2Fはローラ・アシュレイ、ホールは3F。ここまでたどり着くのにすごい人でした。

開演前の会場風景(開園後は撮影禁止だったので)。客層は50代以上が中心で、ギリヤーク師よりやや若いとはいえ相当高い年齢層。

[Dec 23, 2015]