049 原発を運営できる新たな主体? [May 30, 2016]

いま単身で暮らしている社宅は国道沿いにあるので、一日中車の音がやかましい。だから二重ガラスを締め切りにしている。それでも音が漏れてくるので、iPODで昔の曲を聴いている(TVはほとんど見ないのだ)。Breadの”Make it with you”とかCarpentersの”Close to you”が流れると、1970年のビルボードNo.1だなあと思う。もう46年も前のことだ。

他にも1970年のビルボードNo.1には、Jackson 5の”ABC”、”I’ll be there”、Simon &Gerfunkelの”Bredge over troubled water”、Beatlesの”Let it be”、”Long and winding road”、B.J.Thomas”Rain drops keep holding’ on my head”、Shocking Blueの”Venus”などなど、いまでもスタンダードナンバーとしてよく流れる曲が多く含まれている。

この年のビルボードチャートには長く聴き継がれる曲が多かったということだが、それに加えてよく覚えているのは、当時暇さえあればFENを聞いていたからである。あの頃は、いずれは外国で仕事をするという野心があったのだが、結局のところ、仕事ではなくて遊び(カシノやボクシング)で行くだけであった。

これから46年経つと105歳になるから、まず九分九厘生きていないだろう。逆に46年前は、それほど昔ではないように感じるのは不思議なものである。

さて、新聞をとっていないしネット環境もないものだから、朝起きて1時間くらいはニュースをつけて見ている(BSジャパンかNHKだ)。画面が14インチしかないので遠くからだとよく見えないので、ほとんど音だけである。それでも、自宅のある千葉県北部で震度4の地震があったり、毎日いろいろなことが起きているようだ。

そんなときに、福島以来ずっと懸案になっている原発問題について、こんなニュースを耳にした。

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安全管理上の問題が相次ぎ、原子力規制委員会から新たな運営主体を示すよう勧告されている福井県にある高速増殖炉「もんじゅ」について、文部科学省の検討会は、報告書の案に具体的な運営主体は示さず、外部の専門家が経営に入ることなどを盛り込む方針です。(NHKオンライン)
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ちょっと聞いただけで、うさんくささがにじみ出てくるようなニュースである。

高速増殖炉もんじゅは、基本的に試験研究用施設として位置づけられており、設立当時は動燃、現在は原子力研究開発機構が運営している。その原子力研究開発機構の運営のもと、あまりに多くの不手際が出て来たものだから、新たな運営主体を検討するよう勧告された文部科学省が、検討結果を公表する前に内容をリークし、世間の対応をさぐっているというステータスである。

たとえは悪いかもしれないが、泥棒除けの猛犬「もんじゅ」は、相手が泥棒であろうとなかろうと誰彼かまわず噛みつく上に、体内から放射能を発散するため飼い主の健康に悪い影響を及ぼすことが明らかとなった。だから、「具体的に誰とはいえないが」飼育係を交代させましょうということである。

問題が噛みつくという問題だけならば飼育係で解決できるかもしれない。しかし今回の猛犬「もんじゅ」は放射能を発散させるのである。飼育係を代えれば解決できるのだろうか。それに、新しい飼育係が「もんじゅ」を飼い馴らすノウハウがあるのだろうか。原発の運営経験がある組織が日本全国にそんなにたくさんあるのだろうか。

そもそもの問題として、どこが元請けとなろうが結局のところ業務の大部分は下請けに出すのだから、実態は変わらないのである。想像するに、原発運営の中枢業務は関西電力とか三菱電機、日立、東芝から出向した技術者が行っており、末端の仕事を地元の中小企業が請け負っている。そうやって地元企業におカネを落としていることにより原発が存続できるのだ。

飼育係の例を再び引けば、派遣元がリクルートからテンプスタッフに代わるだけで、実際に派遣される人は同じという構造である。表面的には見直したことになるのかもしれないが、実態は何も変わらない。

そして、組織を運営する人は、良心的であればあるほど、そこで現実に働いている従業員やその家族、仕入れ先や販売先など関係者とその家族のことを考えている。だから、いまある組織を安定的に継続させるということに注力しがちであり、もしかしたらその仕事がいらないのではないかという方向に頭を働かすことができない。

一方で、実際に動いている仕事を回すことにおいて、いま現在実際に働いている人よりもスムーズに運営できる人は存在しない。「新たな運営主体」が安全管理上格段にすぐれているとなどということは、ありえないのである。せいぜい経費節減するのが精いっぱいであって、それをすると現場のモラールは確実に下がるので、安全管理上よくなることはない。

本来であれば、「いま自分がしている仕事は本当に必要なのか、他の手段で代替できないのか」を考えなければならないと思うのだが、文部科学省の役人にはそういう発想はないようだ。とにかく目先の批判に応えるふりだけして、現状維持ということだけしか考えていないようにみえる。これで仕事が務まるのだから、うさんくさいとしか言いようがないのである。

[May 30, 2016]