310 詩仙堂 [Feb 14, 2007]

昔の国鉄の時代から、「京の冬の旅」という企画が結構長く続いている。私の学生時代(約30年前)にはすでにあったので、それなりにニーズがあるのだろう。思うに、春・秋は修学旅行をはじめとする行楽シーズン、夏は祇園祭をはじめとするお祭りや鴨川べりの川床料理でにぎわう京都だが、冬は結構寒くて客足が伸びない。そこで観光に理解のある寺社の特別拝観を目玉に集客を図ろうとしたのが始まりではないかと思う。

そのせいもあって、よく冬の京都に行っていた時期がある。この3連休は結婚23周年の記念日でもあったので、奥さんと久しぶりに京都・奈良(キョナラ?)観光を楽しんだ。最初は特別拝観のあるところも考えたのだが、二人とも人が多いところは苦手なので、あまりひと気がなくしかも雰囲気のいいところということで、今回は詩仙堂を中心に回ってみた。

昔、京都からそれほど遠くない枚方市に住んでいたことがあるし、学生時代からよく京都に旅行していたので有名どころにはほとんど行ったことがあるのだが、名前が通ったところだから必ずしもいいとは限らない。もちろん天気とかたまたま行った時に工事中だったとか団体客と鉢合わせになってしまったとかいうタイミングの問題もあるのだが、印象がよくなかったところにはあまり足が向かない。今回訪れた詩仙堂は市街からはちょっと離れたところにあるのだが、静かで落ち着くところである。

叡山電鉄の一乗寺から東に向かってしばらく行くと、宮本武蔵と吉岡一門の決闘で有名な「一乗寺下り松」が現れる(松の木自体は代替りしている)。そこからさらに坂道(八大神社参堂)を登っていくと、右手に詩仙堂の入り口がある。ここは徳川家康の家臣であった石川丈山が引退後に三十余年を過ごした山荘で、ししおどしで有名なところである。詩仙堂の名前のもとになった中国の著名な詩人の肖像画(狩野探幽作)とそれぞれの代表的な作品(丈山自筆の書)がちょうど国技館の優勝力士の額縁のように、奥の部屋の四方の壁の上に飾られている。

ここのいいところは居室にじゅうたんを敷いて、来館者が座って庭園を臨むことができることである。それほど人も多くないので、1時間でも2時間でもゆっくり座ってししおどしの音を聞きながら静かな時間を過ごすことができる。前にここに来たのはもう20年以上も前になるはずだが、その時と同じようにゆっくりすることができた。いったん外へ出てから、庭園に回る。結構広くて、丹精こめられた庭の造作は時間を忘れてしまうくらいである。

 


詩仙堂。赤く見えているのがじゅうたん。ここに座ってゆっくり庭園を楽しむことができる。

[Feb 14, 2007]