323 談山神社 [Nov 27, 2013]

箸墓古墳のある巻向から桜井線を南下すると2駅で桜井に着く。ここから談山神社まではバスである。WEBでは紅葉の時期には臨時バスが出ると書いてあったが、JRの到着に合わせてちょうど待っていてくれた。ここから山道を多武峰(とうのみね)・談山神社に向かう。

談山(たんざん)神社は藤原(中臣)鎌足を祭神とする神社である。藤原氏の氏寺である興福寺は全国的に有名だが、談山神社はそれほどでもない。談山の「談」は、ここで中大兄皇子と中臣鎌足が蘇我氏討伐の密談をしたところから名付けられていて、クーデターを起こした飛鳥から山を登って2時間余りのところにある。

もちろんそうした歴史的背景を知ってここに来る人も少なくはないのだが、645年から1400年経過した現代では、紅葉の名所であり十三重塔で有名な場所である。訪れた時も、ちょっと早いながら赤や黄色に色づいた景色がみごとで、さすがに近畿圏でも有数の紅葉の名所と言われるだけことはあった。

さて、十三重塔というのはそもそも仏教のもので、元来はお釈迦さまの遺骨を入れた仏舎利塔だったはずである。神社なのに塔とは不思議だと思っていたら、鎌足の子で僧の定恵(じょうえ)が開いた寺であったそうである。石造の十三重塔はよく見かけるが、木造建築物としては世界でも唯一とのことである(あまりそう言っていると、どこかの新興宗教が建てるかもしれない)。

寺であったということは、興福寺のライバルだったということである。事実、興福寺僧兵の襲撃に遭って、この神社の施設は一時期焼失しており、ネームバリューで一歩譲るのはそのせいもある。何しろ興福寺は、室町時代まで幕府が守護を置けなかったくらい、この地域では勢力が絶大だったのである。現在の十三重塔は江戸時代の再建で、比較的新しい。

バス停の終点から境内までの間は、土産物店がにぎやかである。餅やこんにゃく、柿やみかんを売っている。その奥に多武峰観光ホテルがあって、正面が神社入口である。拝観券売場を抜けると、本殿までの長い登り階段に驚かされる。これを登るのかと思うとちょっと落ち込むが、幸いに回り道をするルートも用意されている。

回り道ルートを進むと、中大兄と鎌足がアイコンタクトで蘇我氏討伐の意志を通じあったという「蹴鞠の庭」に至る。この庭から本殿のある方向を見上げると、十三重塔と裏山の紅葉が絶妙である。観光地によくある記念写真の業者さんがスタンバっていたが、この日は手持ち無沙汰のようであった。

さらに回り道ルートを進むと、山から湧き水が流れてきている場所がある。そのあたりは荘厳な雰囲気である。「パワースポット」と書かれている。心なしか空気がひんやりして、霊地という感じである。寺ができる以前は、修験道の聖地だったかもしれない。

境内はそれほど広くはないが、高低差があるのでずいぶんと歩いたような気がする。十三重塔の裏にある、談(かた)らい山、御破裂山に向かう道もある。その途中に鎌足の墓もあり、大和盆地を望むすばらしい展望なのだそうだが、すでに午後2時を回っているので先を急ぐ。

境内を出て西にしばらく坂道を登ると、昔の山門である西門跡に至る。「下乗」の大きな石碑があり、ここから先は神域であることを示している。現在では、ここから境内までの間に何軒かの民家が建っている。さらに西に進むと今度は下り坂で、明日香石舞台まで標高差300mほどのハイキングコースとなる。

 


蹴鞠の庭から、紅葉に映える十三重塔を見上げる。木造建築物としては唯一の十三重塔で、江戸時代の建築。戦前にはお札の絵柄にもなった。


談山神社西門まで登ると、そこから明日香までハイキングコースとなります。

[Nov 27, 2013]