112 別府・明礬(みょうばん)温泉 [Dec 22, 2009]

今年は温泉というと出張の行き帰りに立ち寄るくらいしかできないのであるが、今回も同様である。ただし、別府温泉の八湯といわれる中で、最もディープといわれる明礬(みょうばん)温泉へ行って来た。もちろん、評判の「別府温泉保養ランド」である。

別府駅西口から立命館アジア・パシフィック大学(APU)行きバスに乗って約30分、山をまたいで走る高速道路の大きな橋梁部を背景に、別府温泉保養ランドがある。いろいろなサイトに、とても古くてあまりきれいでない、と書いてあったので相当に身構えて行ったのだが(出張なのにジャージを持って行った位である)、一部を除いてびっくりするほどではない。

入口でおばさんに1050円払って入場。200円のコインロッカーに貴重品を入れようとすると、「中に100円のがあるよ」と親切に教えていただく。都会のと違って、おカネが戻ってこないコインロッカーである。休憩所兼大広間までしばらく歩く(後から、露天風呂の周りを回っていたと分かった)。

畳敷きの大広間には、温泉の来歴や注意書き、藤波辰巳がここへ来て治療して行った時の写真などが掲示してある。また、「県警の指導により、撮影機能のある携帯電話の持ち込みを禁止します」とも書いてある。なんと、後から地元の人に聞いたら、ここは混浴温泉のメッカなのだそうである。

大広間から奥へ進むと脱衣所、そこから扉・戸もなしに、すぐに内湯のコロイド湯である。洗い場には2つの蛇口があるが、どちらからも水しか出ない。そして、石鹸は使うなと書いてある。ディープな温泉なのである。ゴボゴボとお湯の湧き出る音と、硫黄の臭いが温泉の雰囲気をかもし出す。確かにいいお湯だが、中が見えずに足を石で切ってしまった。

コロイド湯から脱衣所に戻る方向に、地下の泥湯への階段がある。この泥湯がこの保養ランドの売りだったはずなのだが、残念ながら泥はほとんど沈殿しておらず、浴槽の底は石だらけでちょっと期待外れ。しかし、そこから外へ出た露天風呂は、確かに温泉ファンの間で有名になるだけのことはあるすぐれものであった。

さし渡り20メートル以上ある巨大な露天風呂で、中には泥(湯の花)が沈殿している。そして、その泥の中からまさに温泉が沸いて出てきているので、湯温はすごく熱いところからそれほど熱くないところまでさまざま。それで自分の気に入った温度のところを選ぶことができる。下からすくった泥を腕や胸に伸ばしたりするのも心地よい。

湯船からは、自動車道の橋も見えて雄大である。そして湯船の一角には「女湯」という表示があって、暗くなると女性も入ってくるらしい。確かに湯船は泥でにごっているので、混浴とは言ってもそれほど抵抗はないのかもしれない。

ただ個人的には、見えない湯船の中にいろいろ危ないものがある(ごつごつした石、パイプのような仕切り、浴槽の段)のが気になって、内湯のコロイド湯の方にした(それでも足を切った)。脱衣所からの入口にあたるので、入ってくる人達をさりげなく観察する。私と同年輩はそれほど多くなく、若いグループが何組か。外人さんを連れているグループもいた。

この温泉は昭和時代の泉質表では「明緑礬泉」、平成のものでは「単純酸性温泉」と書いてあった。明礬(みょうばん)は硫酸アルミニウム、緑礬(りょくばん)は硫酸鉄であり、いずれにしてもこの温泉以外ではあまり見たことのない泉質である。

石鹸もシャンプーもなく、またシャワーもない前近代的なこの温泉、このまま次の時代まで生き残れるかどうかという興味も含めて、確かにディープな温泉である。


湯煙りの上がる、別府温泉保養ランド。


大分自動車道の鉄橋。露天風呂からの眺めは圧巻。

[Dec 22, 2009]