410 長良川温泉 [Jul 16, 2009]

関ヶ原を歩いた後は、岐阜まで戻って長良川温泉へ。この温泉、社会人になって間もない二十五年くらい前に、確か社内旅行で来たことがあったのではないかと思う。

正直なところ、「思い出したくもない相手との、思い出したくもない」(c.村上春樹)旅行だったため、ほとんど記憶がない。本当にここだったのかどうかも定かではない。当時、同じく社内旅行で山陰地方に行っているはずなのだが、これも城崎温泉だったのか三朝温泉だったのか、はたまた皆生温泉だったのか、覚えていないくらいである。

つまり人間、思い出したくないことは何十年かたてば思い出せなくなるということなのであるが、それはさておき、長良川温泉である。この温泉はJR岐阜駅から長良川方面へバスでしばらく行くと川岸にある。ご存知、長良川の鵜飼いをやっているところである。

バス停で下りると、目の前に金華山がそびえ、その頂上には岐阜城(稲葉山城)が見える。代表的戦国武将の一人である斉藤道三の居城であり、道三の死後もここを拠点に美濃は強大な勢力を誇った。織田信長の天下統一にあたり、最も困難であった戦いの一つが美濃攻略である。山の頂上にちょこんと城が乗っているこの景色は、かすかに覚えがあるような気がする。

鵜飼い船乗り場のすぐ近くにある旅館「十八楼」、宿の名前は、松尾芭蕉の句にちなんでいるようだ。万延元年(1860)創業というこの宿で、日帰り入浴ができる。宿の玄関口で尋ねると、仲居さんがわざわざ大浴場まで案内してくれた。入浴料は1000円、タオル付き。風呂場を出たところに休憩スペースがある。

中は結構ひろびろとしており、内湯と露天に分かれている。どちらにも温泉と薬湯の湯船があるけれど、温泉の方は2、3人入ると一杯になってしまうくらい小さい。源泉は鉄の冷鉱泉で、沸かして浴用にしている。鉄泉だから赤茶のさび色をしているが、それほど刺激があるというわけではない。薬湯の方は普通のお湯のようであった。

広い方の薬湯の湯船を窓際まで行くと、長良川の流れを一望することができる。いい景色である。対岸のスタジアムらしき施設でナイター照明が光っているのは、何かの試合をやっているのだろうか(翌日調べたら、サッカーJ2の試合だったようである)。昼間、関ヶ原を歩いたため膝やふくらはぎがつらかったので、景色とお湯はたいへんありがたい。

前回の長良川温泉は忘却の彼方だけれど、今回の長良川温泉は長く記憶に残ることになると思う。


十八楼(正面の高いビル)と、観光鵜飼い船が並ぶ長良川。

[Jul 16, 2009]