510 八木ヶ鼻温泉 [Apr 22, 2009]

新潟の出張ついでに、どこかいい温泉がないかなとネットで探していたところ、八木ヶ鼻温泉がいいという評判である。調べてみると、公共の日帰り温泉施設「いい湯らてい」があるらしい。一抹の不安を胸に、ちょっと行ってみることにした。

この温泉があるのは三条市。三条にはかつて地方競馬があって、いまでも競馬場跡が残っている。東三条から少し郊外へ出たところにあるバス停の名前も、「競馬場」のままである。都会と違って、すぐに再開発するほどの建設需要がないのであろう。

単調な景色が続きうとうとしていたら、いつのまにかバスは水量の多い川沿いを遡っている。信濃川の支流、五十嵐川である。もう4月なので山もすっかり緑になっているから、おそらく雪解け水で水かさが増えているのだろうと思って見ていると、やがて目の前に異様な岩の塊が登場する。八木ヶ鼻である。

この八木ヶ鼻、五十嵐川沿いをほぼ垂直に200m近くそそり立っている断崖絶壁である。こういう崖が川の両岸に続いているという景色は全国にいくつかあるが、単独でひとつだけ、どかーんと鎮座しているものはあまり見たことがない。そこから少し行ったところが、バスの終点である八木ヶ鼻温泉である。

一抹の不安というのは、こうした公共の日帰り温泉の場合、温泉自体はあまり大したことがない、というケースが多いからである。さて、フロントへ行くと、受付を若いお姉さん2、3人でやっている。公共の施設ではかなり珍しい。タオル、バスタオルに館内着の貸出しもついて950円は格安である。

泉質は硫酸塩泉。公共なので、加温・加水・循環・塩素殺菌と3拍子も4拍子も揃っている。入ってみても、特に何のへんてつもないお湯である。そんなにおすすめの温泉かなあ、確かに施設の割に安いけどと思って露天風呂に入ってみて、驚いた。

露天風呂に入って振り返ると、いきなり八木ヶ鼻の絶壁が目の前に広がるのであった。息を飲むとはこういうことであろう。夕方の涼しい風で、温かいお湯が心地よい。これまで相当数の露天風呂に入ってきたけれども、景色という点ではおそらくナンバーワンである。

温泉は、泉質とか、源泉かどうかということだけでなく、環境も含めてのものなんだなあと改めて思ったのでした。なお、実際に行く人のためにいうと、真ん中の一番大きい露天風呂に向かい、「○○山の噴火口が牛に見える」という説明書きのあたりで振り返ると、最高にびっくりします。


奇勝・八木ヶ鼻と「いい湯らてい」。東三条からバスで40分ほど。

[Apr 22, 2009]