512 多摩源流・小菅の湯 [Jun 3, 2013]

小菅村は山梨県に属するのだが、主な公共交通機関は西東京バスである。ここからJR奥多摩駅までバスで約1時間だから、相当の山奥ということになる。その小菅村に、村営の温泉施設である小菅の湯がある。行ってみてびっくり。ハイキング帰りのたくさんの人でにぎわっていた。

大菩薩峠から小菅林道を下りてきた最初の集落、橋立から村営バスが出ていて、これに乗ると小菅の湯に行くことができる。料金は100円、コミュニティバスはたいていこの値段である。小菅の湯からは再び村営バスが西東京バスと接続していて、次の奥多摩行きまで1時間と少し余裕がある。ひと風呂浴びて着替えるにはちょうどいい時間である。

単純アルカリ泉であるが、軽く硫黄の匂いがする。内風呂は打たせ湯、寝湯、バイブラ湯と普通の浴槽、それにサウナと源泉かけ流しの水風呂がある。その他に露天にも2つほどの浴槽が見えたが、日差しがきついのでこの日は内風呂のみ。標高差で1500m近く下りてきたので、さすがに足がだるい。

これだけ多くの湯船があるのだから、鉱泉とはいえ、湧出量は豊富ということであろう。さすがに、多摩川源流だけのことはある。それにしても、これだけの施設を山の中に作ってしまうのだからすごい。それも作るだけでなく、結構人が来ている。人が来るということは、施設を維持管理していく経費がまかなえるということである。

いまから40年くらい前だろうか。まず最初に田中角栄の日本列島改造ブームがあって、しばらくしてテーマパークのブームがあった。何しろ田中角栄だから、ハコものというか、施設の建設が主体のブームで、作ったものをどう運営していくのかという発想はほとんどなかった。建設業にとって工事需要は売上になるが、維持管理は売上にならないからである。

結局、全国至るところに、作ったはいいが赤字経営で放棄された施設の残骸が残ることになった。だから、「千と千尋」でお父さんは驚きもしなかったのである。ああいった鉄とセメントと木材のムダ使いが後で祟ることはないのだろうかと思うけれど、それはそれとして、ここ小菅の湯のように維持管理がしっかりなされている施設を見るのはうれしい。

ゆっくり風呂に入ってしまったので、食事の時間が20分ほどしかとれなくなってしまった。山菜の天ぷらなど、ゆっくり楽しみたいメニューもあったのだけれど、時間の関係でビールと定食にする。定食は、こちらの名物であるおそばとますのお刺身がメインである。もともとそばは、水田のあまりない、つまり米のとれない山間地の作物である。

川魚は刺身よりも塩焼きの方がおいしいと常々思っているが、この日のお刺身はなかなかのものであった。たくさん歩いてお風呂に入って、ビールと一緒に食べたこともあったのかもしれないが、くせがなくて、しかも生きがいい。思わず、時間もないのにわさび焼酎のグラスを頼んでしまった。

山梨側から東京側に抜けるという今回の山行は、こうして無事に終了したのでありました。小菅の湯から村営バス、西東京バスを乗り継ぐと、ちょうどJRの「ホリデー快速奥多摩号」に接続する。奥多摩から乗って御茶ノ水まで1本というのは、とてもありがたい。


小菅の湯正面玄関。JR奥多摩駅からさらにバスで1時間先とは思えない、整備されたきれいな施設です。

小菅の湯レストランの定食。なかなかのものでした。

[Jun 3, 2013]