714 日光湯本温泉 [Jun 28, 2006]

昔、千葉県の小学校の修学旅行というと、たいてい日光に行ったものである。私の場合も東武電車で日光まで行って、東照宮を見て、いろは坂を上って奥日光に向かいそこで一泊。翌日は戦場ヶ原を歩いてから下りのいろは坂を経由して、再び日光から東武電車に乗って帰るというルートだった。もう40年近くも前のことになるのであまり記憶はないのだが、今よりもずっとにぎやかだったことは覚えている。

その後再び日光へ行ったのは社会人になってからである。当時の職場の仲良しグループ5、6人で、土曜の仕事が終ってからやはり東武電車で日光まで。そこからタクシーに分乗して奥日光に泊まった。ここの温泉は日光湯元温泉といい、硫化水素泉、つまり硫黄泉である。白濁した温泉というのは関東ではここらあたりまで来ないとないのだが、あの独特の匂いと湯上りの感触は若い頃は決して得意ではなかった。

だから、本当に体にいいのは上がり湯を使わずに、体をかるく拭いて温泉成分を残しておくことなのだが、そんなことに気が付いたのは結構歳がいってからである。もちろん今では硫黄泉は好きである。あの卵の腐ったような匂いは気にならないことはないが。

さて、そんな日光だが、最近の寂れ様はかなり重症である。思うに、みんな車で出かけるようになって、日光が日帰り圏になってしまったというのが一つ。もう一つにはリピーターを期待できるようなものがあまりみられない、ということがあるのだろうと思う。小さい頃は、ケーブルカーやロープウェーがあるとそれだけでうれしくなったものだけれど、最近の子供はそんなものでは喜ばない。だからそういうものがあるところ自体、昭和30年代の観光地であっていまの時代には合わない。

そういうものを喜ぶ世代は「社内旅行」という形で、大きくなってもリピーターでいてくれていたのだが、今では社内旅行がある会社は決して多くはない。そして、東照宮も華厳の滝も一度で飽きることはないものの、四回も五回も行くかというとそんなことはないし、いろは坂に至ってはただの坂である。だからひと気がなくなるのは仕方ないのだが、かといってそれを悲しむにはあたらない。

湯の湖から湯滝、戦場ヶ原に至る高原地帯は静かな方が味わい深いし、ゆっくり自然と親しむことができる。観光関係の方には申し訳ないが、いまの方がいいと思ってしまったりする。近くの霧降高原道路も償還期間が過ぎてこの秋から千円近い通行料がタダになるというし、日光へは近々行ってみたいと思っているところである。

[Jun 28, 2006]