613 白壁の湯(ロマンの森共和国) [Feb 7, 2014]

高宕山のあたりに清和県民の森がある。平安時代の終わりに清和源氏の拠点があったことから、このあたりを清和というようだ。いまでこそ千葉県は東京に近い北西部が都会だが、時代をさかのぼると県南部が先進地だったのである。また、明治・大正時代には鋸山や石射太郎山は石材の生産が盛んであり、東京に向けて建設資材を出荷していた。

石射太郎山の山頂には森林組合の記念碑があり、組合から県に森林を譲渡したことが記されている。林業も盛んで木材も出荷されていたということだろう。その立地を引き継いだ清和県民の森の敷地は膨大で、今回歩いた丘陵地帯の他、スポーツ施設なども整備されている。そのすぐ近くにあるのが、ロマンの森共和国という宿泊・レジャー施設である。

もう二十年以上前になるが、子供がまだ小さくて、鴨川シーワールドや行川アイランドによく行っていた時には、木更津からこのあたりを通って外房に出た。その頃からこの施設はあって、県民の森のすぐ近くなので県営の施設かと思っていた。改めて行って見ると、県民の森とは運営が違って、民営のようだ。

車を止めた高宕第一トンネルからここまで、歩いた山域の外周をぐるっと回ることになるので、20分近く走らなければならない。しかしながら地理的にはすぐ近くなので、地質は同じである。この立ち寄り湯の名前になっている「白壁」とは、川沿いにそびえている石の壁を指しており、この日足下が滑って苦戦した山歩きにふさわしい立ち寄り湯である。

白壁の湯入口は、ホテルの奥になる。ホテルとはいってもバブル期に作られたものではなく、4階建てのこじんまりしたものである。昔はリゾートホテルはこういう規模であった。バブル期のリゾートホテルというと洞爺湖の山の上とかトマムのタワーが有名だが、あんなものは日本国中が遊び回らない限りやっていけない。

さて温泉である。受付に行くと、おばさんが愛想よく対応してくれる。実はこの日タオルを忘れてしまい道中で汗を拭くのに大変難儀したが、お風呂でタオルがないと体を洗えないので、ここで買う。100円だった。「これは返さなくていいんですよね。」と確認すると、「お持ち帰りいただいていいんですよ。車の掃除とかに使いやすいですよ。」とのことであった。

お風呂へは階段を下りて行く。脱衣所が広いのは、きっとホテルの宿泊客も使うからであろう。内風呂は6~8人、露天風呂は4人くらいは一緒に入れそうだが、ありがたいことにこの時間は私とあと2人くらいしかいない。しつこいようだが、房総のとある古い温泉で痛い目にあっている。そこそこ広くて清潔であるので合格である。

やや残念だったのは成分表示がなかったことである。おそらくは井戸水の沸かし湯なのではないかと思うのだが(飲用できませんと書いてあった)、それならそれできちんと書けばいいのにと思った。循環させている鉱泉よりも、かけ流しの井戸水の方がいいに決まっている。

露天風呂は、ここの売りである川岸の石壁を望む。静かである。山帰りに寄る日帰り温泉はたいてい騒がしいので、ありがたいことである。ゆっくり足をマッサージしたら、1日の疲れが飛んでいくような気がした。房総の低い山でも上り下りが結構あるのだが、幸いに筋肉痛にならなかったのはこのお湯のおかげかもしれない。


ロマンの森共和国の中にある白壁の湯。名前のとおり、露天風呂から川を挟んで対岸には、白い岩の壁がある。このあたりの山は石が露出しているので、昔は採石場として利用された。

[Feb 7, 2014]