615 石尊山山麓・七里川温泉 [Apr 4, 2015]

石尊山の山麓、西側に位置するのが七里川温泉である。地図では房総の山深くになるが、車を使えば養老渓谷温泉郷から15分もあれば着いてしまう。その養老渓谷、昔はそれなりに名の通った観光地であったが、現在は大規模旅館のほとんどがクローズとなり道路沿いの廃墟となっている。やっている宿もあるにはあるが、比較的小規模であり、廃墟の方が目立つ。

一方、こちらの七里川温泉は、下の写真にあるように結構予約客が多い。宿の周りは車が一杯で、立ち寄り湯の利用客もかなりいるようだ。訪問したのは休日の夕方なのだが、玄関入ってすぐの囲炉裏スペースは満員のお客さんで、それぞれ干物やら川魚やらを焼いている。フロントに「炭代△円」と書いてあるのは、食材を持ち込んで焼くお客さんが多いためだろうか。

施設的には、決して新しくはない。温泉のあるのが2階なので、動線やバリアフリーの問題もある。畳敷きの休憩室も暖房が利きすぎていて、空調もリプレースの時期を迎えているようだ。ただ、こういう宿の難しいところは、施設改修をしてしまうとせっかく付いているお客さんが離れてしまうということだろう。

温泉は硫黄泉のかけ流しということであるが、湧出温度が15度くらいなので少なくとも加温している。水質分析表をみると硫黄というよりも食塩泉、炭酸水素泉のウェイトも高いようだ。そしてわずかではあるが黄色味を帯びているような気がする。もっともこのあたりは東京湾の黒湯とも近いし、養老渓谷には食塩泉も炭酸水素泉もあるし、久留里の名水にはかすかに硫黄臭があるから、それらのハイブリッドであっておかしくはない。

成分はともかく、入ると気持ちいいお湯である。内湯はそれほど広くなくて同時に入れるのは3~4人ほど。浴槽脇のパイプから常に新しいお湯が供給されている。そして特色があるのは露天風呂である。いったん脱衣場に戻って、逆方向の扉から外に出る。こういう作りだと脱衣場がびしょびしょになってしまうので、このあたりも改善の余地がありそうだ。

そして、露天風呂は2つの浴槽があって、内風呂よりもかなり広い。広い分、戸外を歩く距離も長くなるが、コンクリの上を歩かなければならないのがちょっと気がかりである。湯加減は、2人用の小さい方がちょうどよく、5、6人入れる方がちょっとぬるい。せっかくの露天風呂だが足の裏がよごれてしまうので、再度内風呂に戻って洗い直しが必要となる。

いろいろと施設的な改善の余地がみられる温泉ではあるが、こういうところを今風の温泉施設にしてしまうと良さがなくなってしまうような気がするし、いまのままでは客層が限られてしまうだろう。難しいところではあるが、それなりに集客できているようであるし、家族経営に近いから当面このままでいいのかもしれない。


七里川温泉エントランス。入口を入ると、たくさんのお客さんが囲炉裏でいろんなものをあぶっています。


建物の中に入り、座敷を抜けて階段を上がると浴室入口。露天風呂はプール(?)サイドにある巨大なもの。

[Apr 4, 2015]