913 鹿部温泉 [Mar 30, 2007]

北海道の玄関口函館から道内に入り北上すると、しばらくして登場するのが景勝地大沼公園である。この公園は、駒ヶ岳の噴火によりできた大沼、小沼、じゅんさい沼を中心とする湖沼地帯であるが、ここから駒ヶ岳に沿って東進し海岸線に出たところにあるのが鹿部(しかべ)温泉である。

今を去ること二十数年前、鹿部温泉は本当にひなびた温泉だった。ほとんど普通の民家と変わらないせいぜい数室程度しかない温泉旅館が何軒かと、共同浴場のような施設があるだけだった。当然あるのは温泉だけで、レジャー施設や飲食店街などは見当たらなかった。

その鹿部郊外に、ダイワロイヤルホテルズが一大リゾートである鹿部ロイヤルホテルを建設したのはバブル末期、昭和から平成に年号が変わる頃だったと思う。駒ヶ岳を望む客室の目前にはゴルフ場が広がり、ホテル内には寿司屋やレストラン、カラオケが揃い、ホテルから海に向かっては分譲別荘地が広がっているという、まさに別天地とでもいうべき光景であった。

この鹿部ロイヤルができる前とできた後、いずれも行ったことがある。できる前はバスで函館市内のバスターミナルから。ほんとに何にもないところで、温泉があるだけだった。できた後は車で、森(駒ヶ岳の北側)から海岸周りで行ったら突然大リゾートが現われ、これでやっていけるのだろうかというのが第一印象だった。

あれから二十年が経ち、どうやら潰れもせず廃墟にもならずに今日を迎えているようなのは何よりである。あの頃全国的なバブル景気、リゾート大開発の波に乗って、北海道でもアルファリゾートトマムとかキロロリゾートとか、周辺の雰囲気とは全く合わない巨大リゾートが開発された。洞爺湖の山の上にある超豪華ホテルも、今でこそ営業しているようだが確か十年近くは建てたまま放置してあったはずだ。

それらに比べるとここ鹿部ロイヤルとかグリーンピア大沼とかは、交通の便がいいためかまだ少しは望みがありそうなのは何よりである。ホテルの温泉は食塩泉(ナトリウム・塩化物泉)だが、街中の旧温泉街では硫酸塩泉や重曹泉など種類が豊富。やはり供給量の制約があるんだろうと思う。

[Mar 30, 2007]