012 泡盛仕入れの旅 [Jan 25, 2010]

今回の沖縄では、泡盛古酒をたくさん仕入れた。宅配で頼んでいたものも無事届き、いま家の床下貯蔵庫はワインと泡盛で満杯である。とってもうれしい。

最初に訪問したのは、糸満市にある比嘉酒造「泡盛まさひろギャラリー」。比嘉酒造は明治創業の老舗で、琉球王国の料理長が開いた酒造所である。「まさひろ」はここで出している泡盛で、私のお気に入り銘柄の一つ。また、こちらのHPは私が泡盛を勉強するのに非常に参考とさせていただいている。

海岸沿いの工業団地にあるはずなのだが、なかなか道が分からない。電話して場所を教えていただき、着いたのが閉館20分前。ここには、返還前からの古い泡盛が多数展示されている。物資のない時代に作られた、ビールやウィスキー瓶を再利用した泡盛の多くは、長い年月の間に開栓しないのに中身がかなり蒸発して減っている。

こちらで仕入れたのは、「10年古酒・五頭馬」「5年古酒・まさひろ甕貯蔵」「古酒まさひろゴールド」の3本。3本セットで割引+宅配料無料サービスだったので、思わずまとめ買いしてしまったのであった。

次に訪れたのは国際通りの「古酒家(くーすや)」。地下の酒蔵で試飲させてもらい、新しい銘柄を発掘しようというものである。「できるだけ昔ながらの泡盛」をお願いした中から、石垣島にある池原酒造所の「白百合古酒・43度」と、甕貯蔵にこだわる石川酒造場の「甕仕込・5年43度」を仕入れる。いずれも、最近の泡盛では珍しく独特の匂いがある古酒であった。

最後は、名護市にあるヘリオス酒造。ここは、以前書いた国際通りの「百甕(ももがーみ)」の親会社で、那覇空港で買った泡盛「名水十年古酒」の蔵元でもある。今回も百甕で古酒をいただきながら島唄ライブを楽しんだ際、お店で工場の地図をもらったのである。沖縄道の終点、許田インターを出てすぐ、細い道をしばらく入っていったところにある。

樽が一杯の貯蔵庫(二の蔵)の中を見せていただく。入ったとたん、麹の匂いが一杯である。十数メートル上まで詰まれた千数百の樽を管理し、ブレンドしている責任者は一人だそうで、その方がヘリオスの泡盛の全責任を負っていることになる。貯蔵やブレンドの仕方は企業秘密だそうだ。

敷地の奥にある一の蔵は終戦直後から建っているような古色蒼然たるたたずまいであるが、実際には築20年ほどで、泡盛製造に使用する黒麹菌の作用によりそうなってしまったとのことである。

こちらでは、「平成12年限定古酒・甕原酒」と「古酒クース・43度」を仕入れて、奥さんの買った「黒麹もろみ酢」と一緒に宅配してもらった(6000円以上送料サービス)。全部で7本の古酒、一度に飲まないようにして、少なくとも今年一年は持たせたいものである。

 


勢ぞろいの古酒たち。左から、古酒クース、甕原酒9年、甕仕込5年、まさひろ5年、白百合、まさひろゴールド、五頭馬10年。


名護市・ヘリオス酒造の工場(右)と貯蔵庫・一の蔵(左)。一の蔵が黒ずんでいるのは、黒麹菌によるものだそうである。

 

沖縄には基本的に、「あ・い・う」の三母音しかない。だから「ハイサイおじさん」の歌詞でも、「夕びぬ三合瓶ぐわ、ぬくとんなー」である。「夕べ」はyuu-bi、「の」はnu、「残る」はnukuruとなる。「夕べの三合瓶は、少し残ってますか?」という意味である。

さて、本土では日本酒でも焼酎でも、一升瓶の下は四合瓶であり、三合瓶というのはあまり見たことがない。しかし泡盛の場合、歌に出てくるように三合瓶はポピュラーである。なぜ三合瓶なのか、その謎が先だって解説した「まさひろギャラリー」で解けた。米軍統治時代、物資が足りなかったため払い下げのビール瓶を使用したことにその起源があったのだった。

資料によると、琉球王朝で泡盛の製造が始まったのは15~16世紀、中国で清の時代に入った頃である。当時は王朝で認めた蔵元だけが泡盛の製造を行っており、製造・貯蔵の容器は基本的に甕(かめ)であった。そして飲む際には、カラカラ、チュウカーといった酒器に小分けして使用したのである。

そして流通する際には量り売りであって、瓶詰めにされて売られるというのは比較的最近になってからのことである。これは本土もほぼ事情は同じであり、昭和のはじめくらいまでは日本酒も酒屋での量り売りが多かったらしい。

瓶詰めでの流通が主流となったのは戦後のことであり、その時は物資が十分ではなかった。やむなく米軍払い下げのウィスキーやビールの空き瓶を使い、そこにラベルを貼って流通させた。特にビール瓶は本数が多かったので、これがポピュラーになった。ビール瓶の容量は633cc、ここに600ccの泡盛を詰めたのが、三合瓶ということである。

だから、三合は本当なら540ccで、四合瓶になると(本土に流通するようになってから、四合瓶も多くなった)ちゃんと720ccであるにもかかわらず、また今ではビール瓶の再利用ではなくちゃんと自前で泡盛用の瓶を作っているにもかかわらず、600ccの三合瓶は現在でも泡盛のスタンダードなのである。

そんなわけで、三合瓶10本のセットを仕入れた。帰ってきてからいろいろ調べたところ、八重山諸島の泡盛は小規模な蔵元が手作りで製造している特色あるもので、先日那覇市内で仕入れてきた「白百合」(石垣島・池原酒造所)もなかなか良かったので、思い切って10本セットを取り寄せたものである。これで、床下貯蔵庫は他のものが入る余裕がなくなってしまった。


そういう訳で、三合瓶10本。中央の「泡波」「宮の鶴」は品薄だそうです。

[Jan 25, 2010]