311 長岡京・小倉山荘 [Sep 12, 2012]

京都に行っておみやげといえば、高校時代の修学旅行以来ワンパターンで八つ橋であった。最近それでは面白くないと思っていたら、奥さんがあいしいあられ屋さんが京都にあるというので、行ってみることにした。長岡京にある小倉山荘というお店である。

京都市西部から向日市、長岡京市を経てサントリー山崎醸造所に至るあたりの地名を「乙訓」という。これでなぜか「おとくに」と読む。万葉の時代から続く古い地名である。意味は弟の国ということなので「弟国」でもよさそうなものだが、あえてこういう字で書くというのはそれだけ古い地名ということになる。

漢字を表意文字として使うようになったのは平安時代以降で、それ以前は中国語として使うときは表意文字として、やまとことばを表すときは表音文字として使ったと考えられている。いわゆる万葉仮名である。万葉集はこの万葉仮名で書かれており、平安時代に和漢かな混じり文ができるまで、中国語としての漢文とやまとことばが併存していたと考えられる。

だから古今和歌集の序文も、仮名序(やまとことば)と真名序(中国語)がある。そういう経緯もあって、この時代に使われた固有名詞は現代ではなぜそう読むか分からないものがある。「乙訓」は地名であり中国語と万葉仮名の両方が残っていたため読み方が分かるけれど、そうでなければもしかすると正確な読みが分からなかったのかもしれない。

この小倉山荘、JR長岡京から20分ほどバスに乗って行く。バス停を下りると辺りは田園地帯で、頭を垂れた稲穂が実る田んぼと住宅地が混在している地域である。道路は開けている南北方向に走り、東西には山が見える。西は嵐山あたりから続く山並みであり、はるか東に見えるのは淀川をはさんで男山あたりだろうか。

このお店、小倉山荘という店名といい、小倉百人一首をモチーフにしていることといい、まるで藤原定家がここで百人一首を選定したかのような演出であるが、定家も藤原一族、実際に住んだのはここよりは御所に近い嵐山だったとされる。ただし千年前のことで著作権もすでに期限切れであり、小倉山荘もそれぞれの和歌も自由な使用が認められているようである。

ともあれ、奥様ご推薦のあられ詰め合わせを購入する。ただし、私自身はせんべい類の堅いものが苦手であり、お饅頭の「名月小倉山」を買った。この商品は通販で買うと小倉あん、白あんの詰め合わせとなるので、好みの小倉あんのまとめ買いをする。ただしこの名月小倉山、賞味期限が4、5日しかないので食べるだけしか買えないのである。

実はここには甘味とかを食べさせてくれる「小倉山荘カフェ」が併設されており、買い物の後はあんみつでも食べたいなと思っていたのだが、おばさま方が大挙して押し寄せており、みんな大声でお話し中なのでとても入れる雰囲気ではなかった。仕方なく外で30分に1本のバスを待ったのでありました。


小倉山荘本店。全国に支店もあり、通販にも力を入れているようです。

[Sep 12, 2012]