914 再び、十勝川温泉 [Oct 12, 2010]

以前(2005年だからずいぶん前)、十勝川温泉の記事を書いた。その中で、「最初に行った頃と比べると、ずいぶんと色が薄くなった」ということを述べたのだが、どうやらこれは、大ホテルの大衆化路線のせいなのかもしれない。今年行った宿は、昔と同じくモール温泉の濃い色をしていたのである。

今回訪問したのは、「はにうの宿」といって、ホテル街から少し山の方に上がったところにある。宿泊施設はちょっと古いし、風呂も男女の内風呂だけである。いわば昭和の温泉宿といった風情なのだが、泉質は大したもので昔入った十勝川温泉の雰囲気を残している。宿泊の他に入浴のみも受け付けており、地元の方々と思われるお客さんも結構来ていた。

説明書きをみると、源泉はホテル街のものとは別にここで掘ったものらしい。とはいえ、何kmも違わないところだから、源泉の濃さがそれほど違うとは思えない。だとすると、この宿のように男女の内風呂だけなら昔と同じになるが、ホテル街のように大浴場や露天風呂を揃えると薄くなるのではないかと推測されるのである。ちょっと寂しい話である。

日帰りの人が帰ってから、広い浴槽を一人占めする。たいへん気分がよろしい。モール温泉とは簡単にいうと、温泉が地下の泥炭層を通過する際にその成分を溶かし込んだもので、普通の温泉が硫黄とか重曹とか鉱物由来であるのに対し、植物性の成分を多く含むところに特徴がある。肌触りはなめらかで、長湯しても疲れない。日頃のストレスを癒すにはうってつけなのである。

ただ物足りないのは、設備の古さとサービスが今ひとつなところである。何しろ、ここはもともと町営なのである(もともとは音更町サイクリングターミナルといった。現在は民営化されている)。この日も、まだ風呂に入っているのに掃除を始められてしまった。案内には午前1時まで入浴可と書いてあって、遅いとはいえまだ日付が変わっていなかったのに。

それはそれとして、山の手にあるので、景色は雄大である。十勝川温泉の昔の雰囲気を味わいたいという方には、ぜひお奨めしたい宿である。


はにうの宿。Lの字型になっている向こう側が、浴室。泉質は昔の十勝川温泉を思い出させてくれる。建物の入口に「十勝婦人会館」と書いてある。おそらく施設の一部が共用となっているのであろう。宿の入口は、写真よりもっと手前にある。


宿の前から、十勝平野を望む。

[Oct 12,2010]